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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第627話 領都への帰郷

 タウロ一行は途中、留守の間鉱山までの道の整備を行ってくれていたシオンと子供型自律思考人形(ゴーレム)セトに出会えた。


 これはセトとの『思考共有』で伝えていたからこそ、タウロの帰還に合わせて会えたのであるが、シオンとセト、そしてロックシリーズ十体は、ギリギリまで例のものが採掘できる鉱山近くを整地して、ドワーフ達が住める丸太小屋などの整備も始めていたから、二人共大活躍である。


「シオン、セト、お疲れ様! こっちはドワーフ自治区と交流を再開できる事になったよ」


 タウロはセトからシオンには伝わっていたと思うが、改めて報告を行う。


「みんなお帰りなさい! さすが、タウロ様です! こちらは鉱山までの道の整備は終わり、タウロ様からの指令通り、セトとロック君達みんなで移住提供できる土地を整地してました。今も他のロック君達が整備中です」


 そう答えるとその背後でロックシリーズの二体が、ガッツポーズを取る。


「みたいだね。はははっ! こちらはローガスさん。シオンも知っている竜人族の村にいたドワーフの革職人、ランガスさんの弟だよ。こちらは僕らの仲間でシオンと、子供型自律思考人形のセト、そして、ロックシリーズの二体です」


 タウロはそう言うと、ローガスに仲間を紹介した。


「え、ランガスさんの!? そう言えば、面影有りますね!」


 シオンはローガスを見てすぐ納得する。


「よろしくな! それにしてもこいつはたまげた……! 狼型人形(ゴーレム)のガロだけでもその出来に驚いていたもんだが、この人型のセト? は、ぱっと見、普通に人かと思ったよ。それに、背後の大きな二体も結構動きが滑らかだな……!」


 ローガスはドワーフの職人魂に火が付いたのかセトやロックシリーズにも興味を示した。


「セト、ローガスさんを鉱山まで案内してくれるかな?」


 タウロはローガスの目的が鉱山だったから、セトにお願いした。


 セトは手を挙げて頷くと、ロックシリーズを使ってローガスをガロの背中から降ろし、そのままロックシリーズの肩の上に乗せる。


「乗り心地は狼型人形ガロに劣るが、こっちはこっちで夢があるな。がははっ! じゃあ、タウロ殿、ここでしばらくお別れだな!」


 ローガスは笑うとタウロ達に手を振ってセトとロックシリーズと共に鉱山方面へと向かうのであった。


 シオンはすっかりセトやロックシリーズと土木作業の楽しさに目覚めていたから、また、そちらに行きたそうであったが、タウロがシオンの労を労う意味でも引き止めた。


「シオン、そっちはセト達に任せて一度、領都シュガーに戻ろうか」


「はい、わかりました!」


 シオンもそう言われてようやくもう何日もの間、人里に戻っていない事を思い出す。


 そして、タウロ達が留守の間、預かっていたマジック収納付きの鞄を返す。


「道の整備の間にセト達と一緒に狩った魔物は鞄に入れておきました!」


 タウロが中身を確認すると、行く時にもシオン達が討伐していた『剣角魔鹿』が四体、ヘルボアと呼ばれるイノシシに似た四本牙でとても大型な魔物が十二体など結構な大物である魔物の数々が収納されていた。


「シオン、大活躍だったね……!」


 タウロは感心するのであったが、「セトとロック君達のお陰です!」と謙虚に元気よく答えるシオンであった。


 こうして、久し振りに合流を果たしたシオンをガロの背中に乗せて、タウロ一行はブサーセン商会の馬車と共に、領都シュガーに帰郷したのであった。



「最初はBランク帯冒険者を雇っただけのつもりが、まさか領主様だったのは驚きましたが、当初の目的以上の成果が挙げられてこちらも満足ですよ。ありがとうございます、はははっ!これからも、末永いお付き合の程よろしくお願いしますよ!」


 ブサーセン商会のブサーセン会長は、笑ってタウロに感謝すると、今回のクエストの依頼達成であるサインをしてからタウロに依頼書を渡し、使用人達に荷解きを命じるのであった。


 タウロ達一行はここでようやく任務達成となり、冒険者ギルドに移動する。


「あ、お帰りなさい、『黒金の翼』のみなさん! 予定よりかなり時間掛かったみたいですが、依頼は達成できましたか?」


 新人受付嬢のミュウが貴重なギルドの戦力冒険者として考えている『黒金の翼』の無事の帰還にその大きな胸をなでおろして聞く。


「こちらが、達成証明の依頼書です」


 タウロが数分前にサインしてもらったばかりの依頼書を受付嬢のミュウに提出した。


「ほっ……。よかった……、無事に依頼達成ですね! お疲れ様でした!」


 ミュウは達成を確認すると事務処理を行い、報酬を支払う。


 そして、続ける。


「どうでした? ドワーフ自治区の様子は……?」


 元気な新人受付嬢のミュウが誰もいないギルド内で声を落としてタウロに聞いた。


「? ああ、最初は警戒されていたけど、無事、依頼主も取引交渉に無事成功したようだし、僕達も目的が果たせて問題はなかったですよ」


「そうですか、それは何よりです! 私、ドワーフ自治区とこの領地は現在、犬猿の仲みたいになっていたから心配していたんですよ。問題が起きなくて良かったです!」


 ミュウはタウロの言葉をクエストの成功の事と勘違いしつつ安堵して納得する。


「ご心配ありがとうございます。それでは僕達、失礼しますね」


 タウロはそう答えると、ギルドをあとにするのであったが、この後、領主代理であるロビンからの声明で、ドワーフ自治区との交流再開と共に交易所の再始動の準備に移る事が発表され、新領都シュガーの領民達から歓喜の声が上がるのは数日後の事であった。

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