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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第610話 新領地到着

 タウロ一行は、狼型人形(ゴーレム)のガロの背中に跨り、ジョーゴ子爵領から自分の新領地ジーロシュガー領入りを果たした。


 領境の検問所では、領兵がしっかりと仕事をこなしていたから、統治を任せているというガーフィッシュ商会の領主代理がちゃんと仕事をしているという事だろう。


 それを内心感心しながら、タウロはわざわざ領主である事を領兵には名乗らず、一冒険者として領地入りした。


「この辺りは平地が続いて緑が多いところだね。地平線は見渡す限り山だけど」


 タウロは自分の領地という自覚がまだ実感できないでいたが、最初の感想を漏らした。


「元伯爵領という言う割には、あまり発展している感じがないわね」


 エアリスが疾走するガロの背中で周囲の風景を眺めながら、通り過ぎた村の印象を述べた。


「前領主は評判がかなり悪い貴族だったのだろう? それなら発展を阻害されていても仕方がないんじゃないか?」


 ラグーネの指摘ももっともだ。


 前領主であったルネスク元伯爵は悪政を布いて領民に重税を科していたというから、いくらこの半年あまりで赤字経営を黒字転換したとしても領境の村などはその名残があってもおかしくはないだろう。


「でも、途中で遭遇した村人達の表情は暗くなかったから、ガーフィッシュ商会から派遣されている人物がいい仕事をしてくれているんだと思う」


 タウロは現場で頑張ってくれている領主代理のお陰である事を強調した。


「あ、タウロ様。大きな街が見えて来ましたよ!」


 シオンが進む道の先に小さく見える防壁に囲まれた街を指差した。


「あれは地図通りなら、領都である旧ルネスクの街だね」


 ガロに跨るタウロ達一行はその速さでもって、旧ルネスクの街がみるみる大きくなっていく。


 旧というのは、家名が違う新領主であるタウロが治める領都だから名前の変更も行われる事になるからだ。


 まだ、領主が不在であるから、この領都も旧名のままの可能性があった。


「元伯爵領だけあって、結構立派な外見だな! 攻めづらそうだ」


 アンクが元傭兵らしく城壁の出来をそう言って褒める。


 城門に辿り着くと、門番がタウロ達が跨る狼型人形のガロに驚くのだったが、タウロが降りて来て、冒険者のタグを見せた。


「B+ランクの冒険者!? ──これは失礼しました。それにしても凄い乗り物ですね! 俺はこの領都の門番をやって十年経ちますがこんなの初めて見ますよ! ──それでは入場を許可します。領都旧ルネスクへようこそ!」


 門番は冒険者のタグを本物の確認すると、そう感想を告げてタウロ達の領都入りを許可した。


 タウロ達はガロに跨ったまま領都旧ルネスク入りする。


 周囲から、


「え? あれ何?」


「でけぇー! 一瞬魔物かと思ったけど、違うよな?」


「冒険者の一団か?」


 とタウロ達をまじまじと観察する声が聞こえてきた。


「……さすがに降りようか?」


 タウロがそう言うと、全員がガロから降りる。


「ガロ、ここまでお疲れ様」


 タウロがガロの頭を撫でると、ガロは嬉しそうに「ガウ!」と鳴き、嬉しそうだ。


 そして、マジック収納に納め、その代わりに移動の関係でマジック収納に納めていた子供型自律思考人形(ゴーレム)セトを外に出した。


 セトは周囲をキョロキョロに確認すると、タウロとの思考共有である程度状況を把握したのか、頷く。


「それじゃあ、まずは冒険者ギルドに行こうか?」


 タウロはいつもの感覚でみんなに確認を取る。


「タウロはこの街の領主になったのだから最初に行くところは、城館でしょ」


 とエアリスが指摘した。


「そうだぜ、リーダー。まずは領主代理の人物と会って話をしないといけないだろ」


 アンクも呆れて注意する。


「あはは、ごめん。いつもの癖で……。それじゃあ、まずは城館に行って挨拶しないといけないね。冒険者ギルドはその後で」


 タウロは苦笑して反省すると、エアリス達と共に中心通りを通って丘の上にある城館へと向かうのであった。



 城館の前まで来ると、門番の一人がタウロ達に気づいた。


「こちらは、領主の館となっております。何かご用でしょうか?」


 門番は丁寧に冒険者の格好のタウロ達に告げると、道を塞ぐ。


「僕はタウロ・ジーロシュガーと言います。この街の新領主として赴任してきました。現在派遣されて来ている代理の方がいらっしゃると思うのですが、その方にお取次ぎをお願いします」


 タウロはそう言うと、ガーフィッシュから渡されていた手紙を門番に見せて渡す。


「……確かに、これは領主代理であるロビン様が手紙を出す際に使用しておられる紋章が入っている……。少々お待ちください」


 門番は相手が子供なので、少し疑っていたが、手紙を渡す事は問題ないと判断して奥に駆けていくのであった。


 しばらくすると門番が慌てた様子で走って戻ってきた。


「お待たせしました! 今、ロビン様がお会いになるそうです!」


 門番は息を切らしてタウロ達を奥に通す。


 タウロ達はそれで中に入っていき、城館の玄関まで行くと、タウロ達を出迎えるべく獣人族と思われる女性が立っていた。


 耳の形や尻尾、顔つきから犬人族の女性のようだ。


 ラグーネと同じくらいの高身長で、スタイルもいい。


 赤毛の長い髪が印象的な美人である。


「お初にお目にかかるのです。ガーフィッシュ商会、シュガー支部長、そして領主代理を任せられているロビンなのです。この度は領主ご就任おめでとうございますなのです!みなさん、どうぞなのです!」


 犬人族のロビンは人懐っこそうな笑顔でタウロ達を歓迎すると、城館内に案内するのであった。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます。


この作品は書籍化&コミカライズ化されています。


Amazon等各電子書店でご購入頂けたら幸いです。


また、この作品が面白いと思って頂けたら、★、感想など頂けら嬉しいのでよろしくお願いします。


続きもお楽しみに!

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