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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第593話 施設の破壊

 タウロとエアリスが研究施設の重要な場所の確認をしている頃、ラグーネとアンクは二番目に大きな建物に来ていた。


「……これは、この施設の関係者の住居みたいだな」


 茂みに隠れたアンクがラグーネに話しかける。


「そのようだ。そうなるとあとはシオンとセトの二人が向かった建物に向かうか」


 ラグーネがアンクに賛同すると、二人の支援を提案した。


「そうだな。あそこは、この広大な施設の責任者の住居っぽいし、人手がいるかもしれない」


 二人はそう頷くと、その場を後にしようとした。


 そこへ丁度、関係者と思われる住人が二人、会話をしながらラグーネとアンクが忍んでいる茂みの傍を通り過ぎる。


「──そう言えばお前聞いたか? 今回の極秘作戦失敗で、相当な損害が出たって話。要になったうちの魔物に問題があったんじゃないかと参戦した中央軍の隊長クラスが文句を言ってるってよ」


「なんだよ、それ! 失敗したのって敵側にこちらの情報が洩れていて、秘密兵器を事前に用意されていたって聞いたぞ?」


「退却時にここに立ち寄った中央軍部隊の隊長達が、そうでないと将軍が負けるわけがないと憤っていたんだとよ」


「バルバトス将軍の事か……。殿軍を引き受けて戦死したんだって? 確かに研究畑の俺でも知っている帝国の英雄の一人だからな、そんな将軍が戦死したというのはショックだろうが、うちのせいにされるのは勘弁だぜ?」


「だよな……。まぁ、以前に吸血狼王・亜種の脱走騒ぎがあって、責任管理能力を疑われていたから、あっちはうちに次、何か問題があったら、この施設の閉鎖を訴え出ると息巻いている奴もいたとかで、それを聞いた所長が昼間怒ってたよ」


「ここは帝国の未来を担う最先端の技術が集約された場所だ。脳筋の軍人に何がわかるってんだ! あれ以降、こっちはオログ=ハイと吸血狼の製造ばかりで他の研究が出来ずに困っているのに勝手な事ばかり言いやがる!」


 二人の施設関係者はそうぼやくと、建物内に入っていく。


「……良い事聞いたな」


 アンクが茂みの中でニヤリと笑みを浮かべる。


「ふむ。どちらにせよ、タウロはこの施設を破壊する気満々だと思うから、タイミングとしては丁度良かったな」


 ラグーネはアンクの言葉に頷くと茂みから出て、シオンとセトに合流すべく、所長宅である建物へと向かうのであった。



 その時、シオンとセトは丁度、所長宅である建物へと到着していた。


 セトが先行して周囲を警戒、安全を確認してからシオンを手招きするという形で屋敷の前までやって来た形だ。


「セト、タウロ様達は大丈夫?」


 シオンはタウロと思考共有ができるセトに確認をとった。


 セトは大き頷く。


「そっか、じゃあ、ボク達も早くこの建物の確認をしてみんなと合流しよう」


 シオンは屋敷へ潜入する為に、その間の壁を越えようと、壁に取り付く。


 セトもシオンを真似するように、ジャンプして壁に手を掛けた。


 二人は壁の上から屋敷の敷地内を覗き込むとここまで来るまでの警備が手薄だったのに対して、敷地内は厳重であった。


「……意外に厳重だね。──セト、どうしようか?」


 シオンが壁の上から覗くのを止めるとセトに相談する。


 もちろん、セトはしゃべられないから、答えは返ってこないのだが、セトは考える素振りを見せると、頷く。


「……何か考えがあるの?」


 シオンはセトの反応にそう質問する。


 セトはシオンに応じるようにまた頷くと、人差し指を立てると、この場に待機とばかりに座り込む。


「……もしかして、タウロ様が動くのを待っている感じかな?」


 シオンはなんとなく、そう感じて聞く。


 セトはシオンの疑問が正解とばかりに頷く。


「了解……!」


 シオンはセトと意思疎通がちゃんと出来ている事が嬉しくて笑顔で応じるのであった。



 しばらくすると、一番大きい施設である研究所のある建物から、轟音がなった。


「「「な、何事だ!?」」」


 研究者達の居住区である建物から音に驚いた者達が慌てて外に飛び出してくる。


 研究所施設からはまだ、派手にガラスが砕ける音、ものが壊される音などが響いており、ただ事ではないのが伝わってくる。


 警備兵も研究施設に急行するのだが、すぐに悲鳴が上がった。


岩人形ゴーレムが暴れている!」


 そう、タウロが待機させていたロックシリーズ一体が、タウロの命令と共に動き出したのだ。


 そして、さらに研究施設の搬入口から魔物達が溢れてきた。


「誰の命令だ!? 魔物達が地上に上がってきているぞ!?」


 警備兵の一人が、緊急事態と思われる状況に悲鳴に近い声を上げた。


 ロックシリーズが暴れ、地下に待機させていたはずの魔物が地上に上がってくるという状況である。警備兵が混乱するのも仕方がない。


 そんな混乱に便乗するように魔物が警備兵を襲い始める。


 一部はこの大きな施設の外に出ようと出入り口に向かいはじめた。


「マズいぞ! 調整前の魔物が外に出てしまうと帝国内が混乱する事になる!」


 研究者が警備兵に警告した。


「出入り口は警備兵が守りを固めているから大丈──」


 警備兵が研究者にそう応じた時であった。


 出入り口の大きな門が開き始める。


「だ、誰だ!? こんな時に門を開けるな、馬鹿者!」


 警備隊の隊長は住居から見える門が開くのに驚いて大声で叫ぶ。


 だがその声も虚しく、門は完全に開け拡げられ、魔物達はそこから外の世界に飛び出していく。


 研究施設から出てきたロックシリーズの一体が、その魔物達を外に追い出すように追い立てる姿が見えた。


「……これはマズいぞ。おい、お前。所長に一刻も早く知らせろ!」


 警備隊長は部下に指示を出すと、自らは剣を抜いて襲ってくるオログ=ハイに向かっていくのであった。



 もちろん、門を開けたのは男女型人形アダムとイヴである。


 タウロの命令の下、セトが門を開くように動かしたのだ。


 タウロは魔物に、地上に上がると帝国領内を破壊して回るように命令を出して、命令を補助する為の魔石の付いた小さい杖を破壊した。


 これで、魔物達は力の限り帝国内で暴走を続ける事になるはずだ。


 あとはここの研究施設所長の捕縛だが、それはシオン達に任せ、タウロとエアリスは、ロックシリーズと共に、研究施設破壊を続けるのであった。

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