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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第583話 引継ぎと下山

 アンタス山脈の奥地、地下古代遺跡に続く洞窟の手前に築いた急造の砦に、数日滞在していたタウロ一行と調査団であったが、王国軍千五百が到着した事で留まる理由が無くなった。


 調査団の代表数名が、王国軍を率いてきた将軍代理にここまでの事態について説明をする。


「そんな事になっていたとは……。我がアンタス山脈方面軍を率いる将軍閣下は、諸事情で謹慎中の為、副官の自分が軍を率いて来ましたが、権限上、動かせる規模が限られている為、私が動員できたのは千五百が限界でした。もし、あなた方が一掃してくれていなければ、この軍も焼け石に水になっていたかもしれません……」


 将軍の代理である副官は敵が五千もの魔物と兵士の混成軍だったと聞いて、冷や汗をかきながら答えた。


「僕達もこの数日、魔物の軍団の残党を狩っていますが、まだ、数百はいる気配ですので、あとはお任せします」


 タウロがなぜか一同を代表する形で、将軍の副官に引継ぎをお願いする。


 貴族を名乗った為、この数日間、調査団の代表者達からこの場を取り仕切る役目をお願いされていたのだ。


 それに、謎の軍団を返り討ちにしたのもほぼタウロの率いた岩人形ゴーレムの『ロック』シリーズであったから、誰もその案には反対どころか当然とばかりに賛同していた。


 その為、この数日、タウロは魔物の残党狩りの指揮も領兵隊長共々任される羽目になっていたのだ。


 だが、残党狩りではタウロ達は大活躍だった。


 まず、残りの『ロック』シリーズ十体を各グループに一体ずつ配属して各自魔物討伐に励んだのだ。


 冒険者も領兵も狩る対象であるオログ=ハイや吸血狼は難敵だったから、『ロック』シリーズは心強い味方であった。


 これらの操作は子供型自律思考人形のセトがタウロの負担を下げるべく行ってくれたから、タウロは男女型人形アダムとイヴのみ操作して魔物狩りに励んでいたのだが、ここでもタウロ達『黒金の翼』は他の冒険者達比べても圧倒的な活躍をした事から、その評価はさらに増していた。


 そんな感じであったから、調査団の代表者達はタウロに全幅の信頼をおいて全てを任せているのであった。



 王国軍への引継ぎが終わり、調査団は山を下りる準備を始めた。


 タウロ達もそれは同じで、『ロック』シリーズを全てマジック収納に戻す。


 壊れた四体もすでに回収済みだが、核が粉々に壊されているものもあった為、完全な修理は難しいかもしれない。


 だが、四つ分で一つくらいは核が作り直せるかもしれないとは思っていたが。


 調査団は謎の軍隊の戦いで領兵、冒険者を含め五十人以上を失ったが、敵が五千という数だった事を考えるとこれは奇跡的な数であった。


 遭遇時、防壁を築いていた事で立て籠もりが可能だった事も幸いしたし、魔物戦闘に慣れている冒険者達が活躍した事も大いにある。その中でもやはり、タウロ達『黒金の翼』が一番、被害を抑えた援軍であった事は言うまでもない。


 わずか五人(と一匹)の冒険者チームが駆け付けなければ、全滅は免れなかったし、その後、一帯の村や街は三千以上の魔物の軍団が解き放たれ、蹂躙されていたはずだ。


 さらにその混乱が大きくなっていれば、帝国が軍を動かし、北部一帯は戦場になっていたかもしれないからそれらを全て未然に防いだタウロは英雄と称えられるべきだろう。


「タウロ殿達の今回のご活躍については、領主様や国へも上申しますよ!」


 調査団の責任者ネガメの代わりに、その代理になっていた領兵隊長はタウロの活躍について絶賛する。


「我々も冒険者ギルドにタウロ殿達『黒金の翼』の活躍を報告し、昇格を申し出るつもりですよ。ありがとうございます」


 冒険者代表も、領兵隊長に賛同してタウロに改めて感謝する。


「いや、そこまで大袈裟にしなくても良いかなと……」


 タウロはちょっと周囲の異様な盛り上がり方に戸惑って断ろうとする。


 あまり注目され過ぎて、居心地が悪くなる事を恐れたのだ。


 それに、帝国にも今まで以上にマークされる事になるだろう。


 この北部地方で英雄扱いされようものなら、それは帝国にとって憎悪するべき対象になりうる。


 それを想像すると、とてもではないが、大国の恨みを買ってまで有名にはなりたくない。


「リーダー、人の口を塞ぐ事は出来ないぜ? 諦めな」


 アンクがタウロの肩をポンポンと叩いて励ます。


「言っとくけど、みんな帝国の恨みを買う事になるんだから、気を付けてね?」


 タウロが改めてそのリスクを指摘する。


「「「うっ!」」」


 タウロの心配が人気者になる事ではなく、そのリスクである事をその一言で全員が気付いて言葉が詰まる。


「それを心配していたのか! いつもの謙遜かと思ってたぜ……。確かにそいつはマズいよな……」


 アンクもタウロの心配がもっともだと理解した。


「……どうするタウロ。しばらく他所に移ってほとぼりが冷めるのを待った方が良いかも……」


 さすがのエアリスも北の帝国の恨みを買う想定はしていなかったのかさすがにちょっとビビるのであった。


「ボクはタウロ様をしっかり守りますよ!」


 シオンは元気よく答える。


「私もみんなを守るのが役目だと思っているから任せろ!」


 ラグーネも胸を叩いてみんなを励ます。


 そこにセトがしゃべれないので、ラグーネと同じリアクションで胸を叩いてみんなを守る事を誓う。


 もちろん、タウロの肩の上に乗っているぺらもそれは同じでぴょんぴょん跳ねてアピールするのであった。


「とりあえず、スウェンの街に戻ってから、今後の事を考えようか」


 タウロはそう提案すると、調査団より先に砦を発つのであった。

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