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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第573話 被害の村

 今回のクエストの依頼主である村内は幻惑魔法の幻に魅せられ、その場から動けなくなった村人達と、それを守ろうと鍬やら手斧を手にした幻に惑わされながらも正気を保っている村人達が魔物の襲来に怯えていた。


 タウロ達の姿を見ても、それが幻なのか本物なのか判断の付かない者もいたから、タウロとエアリス、シオンがすぐに幻惑魔法を解除するべく状態異常回復魔法を使用した。


 魔法が解けた村人達は正気に戻り、タウロ達が本物だとわかって安堵する。


「あ、あなた方は冒険者のみなさんですか……?」


 村長だろうか? 村人達を代表して探るようにタウロに質問する。


 なにしろ子供が二人もいる若いチームが相手であったから、村長も慎重になっていた。


「はい。この村を襲撃した魔物二体は僕の人形ゴーレムが倒してくれたので、もう安心ですよ」


 タウロはそう言うとセトとアダムとイヴを村人の前に出して見せた。


「おお、人形使いの方でしたか! それなら残りの魔物も討伐をお願いします!」


「え? まだいるんですか?」


「ええ、多分……。私達が最近、冒険者ギルドに報告しようと話し合って情報をかき集めていたのですが、幻を見せられている事や、どうやら、その幻の共通点から魔物は全部で少なくとも五体はいるのではないか? という結論に至りました」


「五体ですか?」


「はい。皆が見た幻には必ず五人以上の人や獣、魔物などが現れる事がわかりました。そこから魔物は少なくとも五体はいるのかもしれない、と推測したのです」


 村長は長い事生活を脅かしてきた魔物にただ怯えるだけでなく、正体を掴もうとしていたようだ。


 なにしろ助けにくる冒険者達が次から次に返り討ちにあい、逃げていくのだから村存続の危機も高まっていた。


「その情報は非常に助かります。それでは残りの魔物に備えて、村の周囲の警戒と柵の補修をしましょうか」


「それは助かります! 正直、柵を壊されてから、補修をする暇もなく他の魔物の襲来もあったので……」


「他の魔物も?」


「コボルトのようなみんなで対抗すれば追い払える魔物ですけどね……。さすがに何度も夜に襲われると我々も体力の限界ですから……」


「それは大変でしたね……。──エアリス、お願いできる?」


「わかったわ、この村に魔物除けの結界を張ればいいのね?」


 エアリスはタウロからみなまで聞かずとも理解して、すぐに村に結界を張る。


「それじゃあ、セト。アダムとイヴの三人で村の結界外での見張りをお願い。僕達はその間に柵の補修をするから」


 子供型自律思考人形(ゴーレム)のセトは頷くとアダムとイブを連れて村の外に走っていく。


「人形使いの方を見るのは二度目ですが、あなたの人形は自然な動きをしますね。まるで意思のある人のようだ」


 村長はタウロの操るセトを見て感心した。


「そうなんですか? ちなみに一度目の人形使いはどんな感じでした?」


 タウロは同業者がこの村を訪れていた事に少し興味を持つ。


「あれは半年くらい前でしょうか? 旅で立ち寄ったという男が、しゃべる人形を操っておりましてな。村人も面白いと喜んで見物料を沢山払ってましたよ」


 村長は笑って教えてくれた。


 それ、腹話術では……?


 タウロは胡散臭そうな人形使い情報に内心ツッコミをいれるのであったが、その話を聞いて、魔石を利用してセトの思考を音声変換する仕組みを口に仕込めないかな? と考えるのであった。



 丸太運びはタウロのマジック収納を使い、シオンはその丸太を魔法を帯びた手刀を振るって切断してから長さを調整し、さらにその先端はアンクが風魔法で削って尖らせ、土台をラグーネが土魔法で穴を開けて加工した丸太を設置する。


 こうして、各々が得意分野で力を発揮して、壊れた柵の補修を簡単にやり遂げていくのであった。


「……あんたら本当に冒険者かい?」


「うちの村の木こりより手際が良いぞ?」


「くっ、俺の面目が!」


 と、これには村人もタウロ達の手際の良さに呆気にとられる。


「はははっ。うちはチームワークが良いんです」


 タウロは仲間が褒められたので、自慢するのであった。



 その日の深夜。


「……セト? ちょっと待って、視界を共有するね」


 タウロは村の空き家を借りてみんなで就寝していたが、セトから脳内に呼び掛けがあって目が覚めた。


「これはアダムの視界だね……。暗くてあまりよく見えないけど……、──あれは昼間の吸血狼と同じ型の魔物かな? ──そうだね、大きいのが一体と普通のが三体のようだ。僕達が迎え撃つから、セトは逃げられないように魔物の後背を断ってくれる? ──うん、よろしく」


 セトの思考がタウロに流れて来るので、それと会話をすると、役割を決めて応答を切る。


「──みんな起きて。セトから連絡があってこっちに残りの魔物がやってきているみたい。まだ、距離があるからその間に、準備してこっちから迎え撃つよ」


 タウロの声にエアリス達はすぐに目を覚ます。


「……了解。村の外で迎え撃ち、村人がまた幻惑魔法に惑わされないようにしたいところね」


 エアリスはまだ少し眠たそうだったが、すぐに村に配慮した作戦を口にする。


「……だな。この村の住人達もこの数か月、ずっと悪夢を見続けていただろうから、今日くらいはぐっすり眠らせてやりたいところだぜ」


 アンクもその言葉に賛同する。


 ラグーネとシオンもそれに同意して頷く。


「それじゃあ、行こう」


 タウロの言葉に、全員が返事をすると、家の外に飛び出していくのであった。

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