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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第564話 国家級戦力

 タウロの人形ゴーレム作成の為の実験は続く。


 創造魔法で人形の『核』と高価な魔石を合わせる事で、それまでの記録を上書きしてタウロ個人の人形として活動させる為の『核』に作り替える事に成功した。


「今度は成功みたいだね。それでは、この『守護岩人形』にこの新たな『核』を内部に戻すよ」


 タウロはそう言うと、魔力回復ポーションを一飲みしてから核を手に守護岩人形に歩み寄る。


「リーダー大丈夫か? 核を戻した瞬間、また俺達を排除しようと動きだしたりしないだろうな?」


 アンクが当然の心配をする。


「その可能性は……、あるかもしれないけど……、大丈夫……、のはず。この核が人形の動力源だからそれを書き換えた事で、僕の新たな能力、『人形使い』で操作可能なはずだよ」


 タウロは入手した新たな能力のおかげか根拠はないが操作できる自信はあった。


「タウロが言うのなら、信用するわ。でも、みんな最悪の状況は想定しておきましょう。今はラグーネもいないから、防御面は自己責任よ」


 エアリスが信用といいながら身も蓋もない注意喚起を行う。


「わ、わかりました! 人形への打撃も今のボクなら十分ダメージを与えられると思うので、攻撃を受けたら即座に反撃して止めますね」


 シオンはエアリスの言葉に頷くと身構える。


「よし、リーダー。──やってくれ」


 アンクも大魔剣を抜くと臨戦態勢に入った。


「信用無いなぁ……。──それじゃあ、いくよ?──『創造魔法』!」


 タウロは苦笑すると、守護岩人形の腹部に新たな『核』を入れて戻した。


 すると、地面に横たわっている守護岩人形の頭部の石が光り、石を擦る音を立てながら、ゆっくりと立ち上がる。


「おお! これは凄いよ」


 タウロが何かを感じたのか、人形が立ち上がっただけで一人だけ驚きの声を上げた。


「だ、大丈夫なのか、リーダー?いきなり攻撃されないよな?」


 アンクが、守護岩人形の傍で興奮気味のタウロに声を掛ける。


「あ、うん。大丈夫だよ! 今ね、この人形と僕の視界が共有されているんだ! だからみんなを高い位置から見下ろしている感覚があるんだけど、ここに立っている僕は人形を見上げている感覚もあるからとても奇妙な感じなんだよ!」


「「「視界の共有?」」」


 エアリス達は目を見合わせた。


「私達が今、手を振っているのもわかるの?」


 エアリスが人形に対して手を振りながらタウロに確認する。


「うん、わかるよ」


 タウロはそう言うと人形を操作したのか、守護岩人形がエアリス達に対して手を振る。


「「「おお!」」」


 エアリス達はこれには驚いてまた、手を振り返す。


「あの強敵だった守護岩人形を操作できるって、これはもしかしてかなりの戦力じゃないのか?」


 アンクが感心する。


「だよね? これがあれば、オログ=ハイの集団相手にも引けを取らないと思う。──あとはこれだね」


 タウロはそう言うと、守護岩人形の姿をした人形を、一瞬で消して見せた。


 いや、消したのではなくマジック収納に納めたのだ。


「人形は生き物ではないから、持ち運びも本当に可能なんですね! これは凄い事ですよ!」


 シオンが、その活用性に可能性を感じて絶賛した。


「たまげたぜ……。俺達、人形があれば最強の冒険者になれるぞ?」


 アンクがシオンの指摘に人形の活用性を想像して呆れる。


「……そうね。でも、これは他者から見たら脅威に映るかも。あまり、沢山の数の人形は表に出さない方がいい気がするわ」


 エアリスの指摘ももっともだ。


 こんな四メートルもある岩人形を操るタウロは冒険者ギルドどころか軍はおろか国家が欲しがる可能性が非常に高い。


 弱点を知らなかった事もあるが、国内の一流冒険者三チームが束になって戦っても苦戦を強いられたのだ。


 それを稼働させる為の核が二個分を消費して作った特別製が、一個。核と魔石を合わせた新たな核が十六個、計十七体分ある。


 そして、胴体だけなら壊れた二体は差し引いても、残り十六体分もある。


 これら全てを可動できるとしたら、タウロは強大な軍事力を保有した事になるから、秘密にした方が良さそうであった。


「一応、複数体、動かせるか試したいし、ラグーネが戻って来たらまだ、やりたい事もあるから、実験続けてもいいかな?」


 タウロはエアリス達が軽く引いているのがわかったので、伺いを立てるように聞く。


「まあ、操れるのはリーダーだけだろうし、大丈夫じゃないか? ──じゃあ、俺は飲みながら見物させてもらうぜ」


 アンクは能天気にそう答えると、タウロにマジック収納から預けていたお酒を出してもらって飲み始める。


「アンクさん、『竜の穴』で修行してから図太くなりましたね」


 シオンは褒め言葉なのか皮肉なのかわからない事を指摘する。


「ふふふ。それだけタウロを信用しているって事よ」


 エアリスはシオンを諭すように言う。


「ボクもタウロ様を信用していますよ!」


 シオンもタウロを前に、その忠義心をアピールするのであった。



 こうしてタウロはエアリス達以外、誰もいない森の中で十体の守護岩人形を修復して稼働出来るようにした。


 同時に動かす事が可能である事も確認をする。


「……視界の共有は複数同時にするよりは、一体一体、確認する方が良さそう。あと、ある程度動きを自動で任せられのもいいね」


 そう言うとタウロは新たに生まれ変わったタウロ専用岩人形十体をマジック収納から次々に出すと一体一体に別の動作をさせる。


「これは危険な場所での土木工事とかもやれそうだな」


 アンクが飲みながら感心して指摘する。


「そうだね。なるべくなら人の役に立てる使用方法がいいかな」


 タウロもアンクの良い指摘に頷く。


「こうなるとぺらちゃんのタウロ様を守る任務も減りそうですね」


 シオンが、なんとなく思った事を口にした。


 するとタウロのベルトに変化していたぺらが擬態を解き、シオンに抗議するようにぴょんぴょんと跳ねる。


「ごめんなさい! ぺらちゃんは、エアリスさんやタウロ様を守るのが大変だろうから、その仕事が減ると良いかなと思っただけだから!」


 シオンはぺらの抗議に素直に謝るのだが、その光景がおかしく見えたタウロ達から笑いが起きるのであった。

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