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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第552話 難敵の魔物

 タウロ達を含めてた冒険者一行が遭遇したオログ=ハイは、討伐経験があるタウロの能力『真眼』でその遺骸を鑑定した限りでは、トロルの上位種に位置する強制的に進化させた種である事はわかっている。


 その元となっているトロルは地下に住む闇の魔物で、日に弱い。


 トロルの住居は財宝があるといわれており、冒険者にとってトロルがいるところにはお宝があるという認識がある魔物だ。


 しかし、このトロルはきわめて強力な魔物であり、一般の冒険者では到底太刀打ちできるような相手ではない。


 そんな魔物の上位種にあたるこのオログ=ハイは頭が悪く鈍い動きの巨人であるトロルと違い、剣や防具を身に着け、盾を構える姿はまるで人のようであった。


 冒険者のように複数一組で行動し、チームワークのような動きも見せる。


 それがタウロのオログ=ハイとの戦闘で感じた印象であった。


「気を付けてください!オログ=ハイは頭が良いです!」


 タウロは今回のクエストの雇い主であるA-チーム『青の雷獣』のメンバーに警告する。


「承知した!」


 爪剣使いでチームリーダーのジャックは先陣を切ってオログ=ハイに斬りかかる。


 その後に、長剣使いロンガ、戦斧使いのアックが続く。


 ジャックの先制攻撃は不意打ちを食らった形のオログ=ハイの先頭を歩く一体に有効に思われたが、手にしていた盾で辛うじてその攻撃を防いでいた。


 その魔物とは思えない動きにジャックは内心驚く。


 それは後に続くロンガとアックも同じで、先頭をジャックに任せて二体目三体目を仕留めようと突っ込んでいたが、ジャックが仕留めそこなった先頭のオログ=ハイに標的を変えて攻撃した。


 反応が速かった先頭のオログ=ハイもこのチームワークに勝る『青の雷獣』の攻撃には反応できず、ロンガの長剣に右腕を切り落とされ、アックの戦斧にその頭部を砕かれて絶命した。


 ジャックは間髪を入れず、次のオログ=ハイに向かう。


 爆炎の魔法使いボマーヌと森の神官フォレスが斬りかかった三人に各身体強化魔法を唱えて援護する。


 そこに弓を構えたタウロが、反撃に移ろうとしていた残りのオログ=ハイ四体に攻撃速度が速く連射が可能な『聖闇の矢』で針の穴を通すような正確さを持って四本も放つ。


 オログ=ハイは先頭は囮とばかりに、ジャック達を正面から迎え撃とうとしていたが、その間をすり抜けるように聖なる闇を帯びた矢が各オログ=ハイを射抜いて牽制した。


 この攻撃にオログ=ハイ達は反撃の機先を削がれる形になる。


 そこにジャックと達が後続のオログ=ハイに各自が致命傷を与えていった。


 一番後ろにいた五体目のオログ=ハイは無傷であったが、状況から反撃せずに逃げ出す事を選択した。


 それを後方でいち早く気づいた爆炎の魔法使いボマーヌが異名になっている爆炎魔法を唱えてその背中に一見すると小さい炎を飛ばす。


 その火球は残念ながら飛ぶ速度が遅い。


 そこに、エアリスが風魔法で火球の速度を後押しした。


 火球は風魔法により、速度を増してオログ=ハイの逃げる背中に吸い込まれて行くと見事に的中し、派手な爆発音と火焔を振りまいてオログ=ハイを仕留めるのであった。



「見事な支援だった、感謝するよ、タウロ君」


 ジャックは全部のオログ=ハイに止めを刺し終えてから、タウロとエアリスの的確な援護に感謝した。


「それにしても、ジャックの先制攻撃を防ぐ反応速度を持っているとは、この新種の魔物、とんでもないな」


『青の雷獣』の戦斧使いアックが戦斧に着いた血を手拭いで拭き取りながら、驚いてみせた。


「報告から、我々一流冒険者が優先して討伐すべき魔物、と冒険者ギルドで推奨されていたが本当だな……。この強靭な体に装備で身を固め、徒党を組んで来られると一般の冒険者は苦戦は免れないな……」


 長剣使いのロンガも意外な強さに深刻な顔をする。


「それよりも、こんな場所にその新種の魔物が入り込んでいる事が気になるわ」


 爆炎の魔法使いボマーヌが重要と思われる指摘をした。


「そうですね。この新種の魔物達は前回来た時には遺跡の方でも出会いませんでしたから、あの後入り込んできたとみるべきか、それとも偶然会わなかっただけなのか……」


 森の神官フォレスもボマーヌの指摘に同意して、疑問を口にした。


「このオログ=ハイは、強制的に生み出された魔物のようですから、数もわからない分、不気味ですね」


 タウロがその輪に加わって、ギルドの共有情報を口にした。


「……俺達は古代遺跡の方が気になっていたから、新種の魔物についてあまり警戒していなかったんだが、ここにいるという事は関りが深そうだな」


 ジャックも真剣な面持ちでタウロの情報が重要であるようだとしっかり受け止めたようである。


「僕達が最初に遭遇戦になった時はオログ=ハイは十五体いたので大変でした。この魔物達は数にものを言わせるだけでなく、後衛を積極的に狙って来ます。今回はこんな地下空間の通り道ですから背後に回り込まれる事なく戦えましたが、広いところでの戦闘には気を付けてください」


 タウロ達がこのオログ=ハイ最初の発見討伐者であったから、『青の雷獣』だけでなく『銀の双魔士』のメンバーにも聞こえるように警告した。


「君達、こいつら十五体と一度に広い場所で戦ったのか!? ──よく生きていたな……。普通に冒険者レベルの集団と戦っているくらいの手応えがあったから、かなり大変だっただろう……?」


 一度の戦闘で厄介さを体感したばかりのジャック達『青の雷獣』は、タウロ達『黒金の翼』の実力が前回のマンティコア戦も含め、相当なものである事を改めて認識するのであった。

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