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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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523話 全滅

 翌朝、Bランク冒険者チーム『北風の牙』リーダー・カンタロの指示で村人が目撃したという場所を重点的にバジリスク捜索を行われる事になった。


 村人も捜索には参加しており、見つけたら冒険者に知らせる事になっている。


「タウロのチームは右の森から、俺達は左と中央をカバーして探索する。見つけても自分達で倒そうとするなよ?相手はCランク帯討伐対象火吹き蜥蜴。大きさによってはBランク帯もある魔物だ。俺達が対応するからサポートに徹して無理だけはしないでくれよ?」


 カンタロはそうタウロ達に忠告していた。


 ちなみにバジリスクはBランク帯討伐対象だが、それも念入りな準備が必要な上での魔物である。


 Bランク帯はよく、C、Dランク帯冒険者を助手に付けて、大物討伐をする事が多いのだが、バジリスクもその対象だ。


 通常なら三チームほどで石化対策やバジリスクは魔法が効きづらい為、その対応策など事前準備が必要であるが、今回、『北風の牙』は非常に珍しい伝説のバジリスクだとは思っていない為、対策はほとんど準備していない。


 ギルドの依頼も、「目撃者からバジリスクのようだ、との証言のある魔物の正体確認と、出来ればその討伐」というものだったので、そこまで重要性は高くなかった。


 だから、魔物の正体が火吹き蜥蜴の大きいサイズを見間違えたという、目撃者あるあるだろうと、冒険者ギルドも冒険者『北風の牙』もそう思っていたのである。


「──わかりました。発見したらうちのエアリスが上空に下位の火魔法を放って合図を送りますね」


 タウロはリーダー・カンタロの忠告に合図を確認する。


「合図としては贅沢だが、魔力管理を怠るなよ?それでは出発」


 カンタロの指示でノルの村の男衆と冒険者チーム『北風の牙』、タウロ達『黒金の翼』は森に入っていくのであった。


 当然ながら、冒険者両チームは、探索系能力を持っている。


『北風の牙』にはスキル盗賊の仲間がいて探索が得意であるから、左に展開していた。


 右にはタウロが磨きをかけた『気配察知』とそれを併用した『真眼』で広範囲を探索できるから中央から大分離れて探していたが、『北風の牙』の盗賊職の男よりも先に怪しい魔物のシルエットを発見してしまった。


 それも中央を進む『北風の牙』リーダー・カンタロが進むその前方だ。


「このシルエット……。火吹き蜥蜴……、じゃないよなぁ……」


 タウロは前日に討伐したバジリスクのシルエットと被っているので、半ば確証があったが、ここで発見の知らせを全体に送っても、右側の森で発見したと彼らは誤解するだろう。


 だから、タウロはエアリス達に声を掛けると、発見の知らせを送らず、中央の森に駆け付ける事にした。


 アンクとシオンを先頭に、タウロ、そしてラグーネ、エアリスが続く。


 向かっている最中、中央の森を進むカンタロ達がついにバジリスクを発見したのだろう。


 向かう先の上空に照明魔法の淡い光が浮かんでいる。


「カンタロさんも発見したみたいだ。みんな急ごう」


 タウロはみんなに走りながら声を掛けると、先を急ぐのであった。



 当然ながら、バジリスク発見場所は、『北風の牙』が近かったから、現場に集合したのは『北風の牙』チームであった。


「こいつは火吹き蜥蜴にしてもかなりでかいぞ!」


 と、リーダーのカンタロ。


「カンタロ、これ火吹き蜥蜴じゃない気がするわ!」


 と、仲間の女神官。


「他にこんな大きさの蜥蜴系魔物。ここいらには生息していないだろう?」


 と、盗賊の男。


「どちらにせよ、後輩冒険者チームがここに駆け付ける前に仕留めて、先輩の意地を見せたいわ」


 と女戦士が剣を抜いて走り出す。


「そうだな。俺がけん制するから、後は頼むぜ」


 と弓使いの男が矢をバジリスクに放った。


「了解だ!」


 槍使いであるリーダー・カンタロと女戦士は武器を構えて、バジリスクに向かっていく。


 さすがBランク帯冒険者、合図をせずとも慣れた動きで先制攻撃を仕掛ける。


 だが、それ以上に火吹き蜥蜴と思われているバジリスクの反応は早かった。


 飛んでくる矢と、向かってくるカンタロに女戦士、盗賊の三人を石化の視線で一睨みする。


 矢はバジリスクの目に届く寸前で石化して失速、地面に落ちて砕けた。


 槍を構えて迫るカンタロと、剣を振り上げた女戦士が遅れて石化する。


「石化……、だと!?」


 女戦士の背後の死角から短剣を握って迫っていた盗賊は呆然とした。


 女神官も驚いたが、すぐに魔物が火吹き蜥蜴などではない事を理解して、弓使いと盗賊に危険を訴える。


「二人とも一旦引いて!あれは本物のバジリ──」


 女神官は最後まで言う暇も与えず、バジリスクは石化の視線で死角から姿を現した盗賊と女神官は石に変えられるのであった。


「そんな……!」


 残された弓使いは仲間の変わり果てた姿に固まって動けなくなった。


 まさに蛇に睨まれたカエル状態である。


 バジリスクは最後の一人にゆっくり近づくと、石化の視線で弓使いも石に変えてしまうのであった。


 その直後である。


 石化した弓使いの脇をすり抜けて、エアリスの魔法で強化した大魔剣を構えたアンクと、黒いフード姿のシオンが二筋の黒い光となってバジリスクに襲い掛かった。


 バジリスクは慌てる事無く石化の視線で迎え撃つ。


 だが、『竜の穴』で得た『状態異常耐性』によって、その石化の視線を無効化する。


 バジリスクはその石化の視線でも駄目ならと、火の息を吐くべく口を開く。


 そこに、タウロが放った矢が、吸い込まれて行った。


 バジリスクが矢に口を射抜かれて火の息を封じられた。


 そこにアンクの大魔剣で下顎から頭を串刺しにする。


 そこに追撃とばかりにシオンが胴体に自慢の拳を衝撃波と共に放つ。


 だが、バジリスクはまだ、怯まない。


 鋭い爪を持った前足でアンクに襲い掛かった。


「『範囲防御・極光の盾』!」


 ラグーネがそう唱えると、アンクの前に光の盾が現れそれを防いだ。


 そこに、アンクの顔を掠めてタウロが放った二射目の矢が通り過ぎてバジリスクの心臓付近に深く突き刺さった。


 さらに追撃とばかりにエアリスの『雷撃の矢』がこれもアンクの顔を掠めて飛んでいきバジリスクを射抜く。


「ちょっ!リーダー、エアリス!俺の顔ギリギリじゃないか!」


 アンクが大魔剣をバジリスクから引き抜きながら怒る。


 するとバジリスクはその場に崩れ落ちるように絶命した。


「その愚痴は後で聞くよ。今は、石化治療が優先だから!」


 タウロは全滅した『北風の牙』の変わり果てた姿を見て急ぎ治療にあたるのであった。

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