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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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508話 評価と勧誘

 タウロ一行は、王都の冒険者ギルドを訪れていた。


 ダンジョン『バビロン』の地上にあるバビロンの街に一泊して翌日の事である。


「……どんな手を使ったのかB-ランクに破格の昇格をした名誉子爵様が来たぞ」


 丁度、ギルド内にいた冒険者の誰かがタウロ達に気づいてそう漏らした。


 タウロ達『黒金の翼』の面々はそれを気に留める事無くギルドに入ってくる。


 その後ろからぞろぞろと複数の冒険者達が入って来た。


「久しぶりに王都の冒険者ギルドに帰って来たが、変わらないな!──無事にこんなに早く帰ってこれたのもタウロ殿のお陰だ、ありがとう!」


 その中の一人が大きめの声で感動したように言うと、タウロの肩を叩く。


 他の冒険者達は早速、名誉子爵であるタウロにゴマを擦る冒険者がいたのかと、その連中の顔を見てギルド内の冒険者達はあまりに見覚えがある顔に違う意味で固まった。


「「「A+の冒険者チーム『竜の五徳』のカーズ名誉男爵!?」」」


 ギルド内の冒険者達はその事実に驚く。


「え?どういう事だ!?この半年以上誰も見掛けていなかったのに!?」


「長旅から帰って来たという事か!?でもなぜ、『黒金の翼』と親しそうに?」


「お、おい、待て。他にもAランクの『光虎』、同じくAランクの『蒼亀』、B+の『天翔馬』まで!国内の有名超一流冒険者ばかりじゃないか!」


 こうなると冒険者ギルド内はこのタウロ達とそれに従うように付いて来ている超一流冒険者達を遠巻きに取り囲んでみんな凝視する。


 タウロ達は慣れない注目の視線にどうしたものかと困惑するところであったが、『竜の五徳』のリーダー・カーズは慣れた様子で、タウロと肩を組んで同じように驚いている受付令嬢達にウインクすると奥の特別室に入っていくのであった。


「お、俺、Aランクの『光虎』、初めて見た!」


「それよりも、国内最強冒険者のA+冒険者チーム『竜の五徳』だろ!そのリーダーのカーズさんと言えば、伝説級のSランク帯になってもおかしくないって言われている人だぞ!」


「それにしても、そんな凄い人達がなんで最近名誉子爵を得て、B-になったばかりのチームと一緒なんだ?」


「「「さあ?」」」


 一般冒険者達は最近まで自分達と同列であった『黒金の翼』が名誉子爵になった途端、行方知らずであった凄腕冒険者達と親しげに現れた不思議に対し、答えが出せないのであった。



 王都冒険者ギルド内、奥の特別室。


 そこで先日までダンジョンに潜っていた『竜の五徳』ら冒険者達はこの半年分の報告と、各々のマジック収納からこの半年余りで入手したダンジョンのお宝やアイテムを精算していた。


 タウロ達はそれに同行している形だ。


「それにしても、まさか本当にこんなに早く、地上に戻れるとはな……」


『竜の五徳』のカーズが、他の者に精算を任せてタウロの横に座ると、感慨深げにそう感想を漏らした。


「ははは。さすが超一流冒険者です。強運なんですね」


 タウロは軽く冗談を言う。


 昨日からカーズとは意気投合してずっと話している。


 というかタウロがカーズに気に入られたと言った方が良いだろう。


「運には自信があるが、今回の場合、俺の運と言うより、タウロ殿の金運に引きつけられた気がするよ。──なにしろ今回の冒険で入手した俺達のお宝、アイテムの三割はタウロ殿への報酬だからな。はははっ!」


 カーズは目の前で仲間が次々にマジック収納から取り出して山積みになるお宝、アイテムの数々を見ながら大笑するのであった。


「少し負けますか?」


 タウロが山積みのお宝を見て、結構な額になりそうだと思って自分が強欲に感じてそう申し出た。


「いや、三割でも少な過ぎるくらいだ。あのまま強行して潜って全滅していたら全てが終わりだし、引き返すにしても数か月はかかるだろう。それを考えたら安過ぎるくらいさ。それに『空間転移』なんて凄い能力、各地を冒険した俺達でも初めて見たからな。これだけの報酬を貰うのに十分値するよ。本当にあの時、俺達の前に現れてくれてよかった。ありがとう」


 カーズはそう言うと、大慌てで鑑定をしているギルド職員達を尻目にタウロの存在を感謝した。


「でも、国や冒険者ギルドからも税や手間賃などを取られるんですよね?」


「それも当然の事さ。ダンジョンは国の管理の元にあって、俺達は特別に潜らせてもらっているし、何よりその国から資金提供をしてもらっているからな。冒険者ギルドもその存在があるからこそ俺達冒険者も胸を張って生きていける。多少のお金は払って当然だ」


 カーズはそう言ってニヤリと笑う。


 エアリス達は目の前に積み上げられたダンジョンのお宝やアイテムをギルド職員と一緒に感動しながら興奮気味に他の一流冒険者達に入手した時の話を聞いている。


 ときおり「おお!」と、歓声が起きていた。


「タウロ殿。俺達、『竜の五徳』のメンバーにならないか?なんなら名誉子爵だから、リーダーの座を譲ってもいいぞ」


 突如カーズが驚くような申し出をしてきた。


 そこに、『光虎』、『蒼亀』、『天翔馬』のリーダー達がいち早く気づいた。


「ちょっと待て、カーズ!抜け駆けは許さんぞ!」


「そうよ、その話は精算が済んだ後に話し合いで、と決まっていたでしょ?」


「そうですぞ!カーズ殿に抜け駆けされたら、B+チームのうちには勝算が無いではないですか!」


 どうやら、リーダー同士であらかじめ、タウロを勧誘する話し合いが行われていたようだ。


「……あはは。お誘いは光栄な事ですが、僕は『黒金の翼』のリーダーなのでお断りします」


 タウロは自分を評価してくれる国内屈指の冒険者達に感謝しながらも、丁寧にお断りするのであった。

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