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47話 盗賊討伐クエスト

1週間後、各支部から冒険者が多数招集された。


盗賊団討伐当日、夜明け前。


集まった冒険者達は約80名で、3部隊に編成され、盗賊村の手前の森まで進軍し、偵察チームから、報告を受けていた。


偵察チームの報告では、盗賊村は、やはり盗賊団のアジトで、全部の数は女子供合わせて152人。

そのうち、戦力と思われる男達が87人、タウロ達が探索した時は大雨で気づかなかったが、村の奥は柵で覆われた場所があり、物見櫓もある。ちょっとした砦の様になっているらしい。


人質は攫われてきたと思われる女が15人ほど、砦の中の小屋に隔離されている。

そこで、計画はこうなった。


2部隊で砦の背後から急襲、砦の確保と人質の奪還を最優先にする。

立て籠もられると厄介だからだ。

幸い、盗賊団は砦に籠っておらず、周囲の村で寝泊まりしている。

砦はいざという時のもののようだ。


残りの1部隊は砦急襲の合図と共に、村を急襲し、慌てている盗賊を討つ。


逃げるものについてだが、街道の休憩所に駐屯している部隊が今ごろ、こちらに向かってるはずだ。

最初から合流すると動きを察知される恐れがあるので遅れて出発し、主要な道は全て塞ぐ手筈だ。


タウロは気配遮断と弓矢の腕を買われて、砦急襲部隊に振り分けられていた。

なので、部隊でも最前列だ。

任務は、物見櫓の見張り兵を射抜く事。


他の弓使いとアイコンタクトしながら砦に背後から接近した。

タウロの気配遮断で全く気付かれていない様だ。


他の部隊の者達は敵に索敵能力がある者がいた場合に備え、距離をとっている。


タウロが物見櫓の兵を確認し、弓を引き絞る。

他の弓使いも他の兵に照準を合わせた。


ブン


タウロから放たれた矢は、風を切り裂く音と共に物見櫓の兵の額に吸い込まれていき、次の瞬間にはその人影が崩れ落ちた。

周囲からも矢を放つ音が次々となり、見張りの兵が倒れていく。


部隊の隊長である、「青の守り手」のロイが手を振り下ろすと全員が声も無く砦に突撃を開始した。


タウロの手は微かに震えていた。

初めて人を殺した感覚が手に残っているからだ。

一角うさぎやゴブリンなどの魔物は、何も感じるところはなかったがやはり敵とはいえ、相手は人だ、自分でもどこか思うところがあったのかもしれない。


隊長のロイが、それを察したのだろう、タウロの横に立つと背中をポンと叩いた。


「…下がるか。」


「いえ、大丈夫です。」


タウロは答えると、小剣を抜き、砦攻めに参加するのであった。


急襲部隊は、能力『軽快』を持つ者が、軽やかに柵を飛び越えていくと内側から門を開けた。

そこに、冒険者が殺到する。

タウロは門の方向に行かず、横の柵に辿り着いた。

試したい事があったのだ。


「収納『柵』。」


タウロがつぶやくと柵の一部が消失する。

タウロのマジック収納に柵の一部が収納されて消えたのだ。

味方は一瞬、この光景にギョッとし「え!?」と、驚いたが、タウロがそこから侵入するので後に続いた。


勢いに乗った冒険者達によって、瞬く間に砦を奪う事に成功し、人質のいる小屋も見張りが逃げ出し確保できた。

砦急襲は、大勝に終わった。




村を急襲した部隊は、最初こそ混乱した状況で押していたが、圧倒的に数の多い盗賊団が態勢を整えると、すぐに押され始めた。


その中で奮戦したのがサイーシ支部所属のミーナだった。

リーダーこそ、断って他に譲ったが、C-ランクの冒険者である。

その剣技は盗賊を圧倒していた。


そして、リーダーになったチーム『5本の矢』も負けじと奮戦した。

『5本の矢』には女性魔法使いがいる。

どんどん、家を火魔法で吹き飛ばし、盗賊達の戦意を削いでいく。


数的有利が相殺されていく流れに、村側で指揮を取っていた盗賊団リーダーは焦っていた。


「野郎ども、1人で当たるな、人数は有利なんだ、囲んで討ち取れ!」


そこに、砦から走ってきた部下から報告が来た。


「お頭!砦が奪われました!」


「何だと!?」


部下に戦わせてる間に逃げ込もうかと考えてた矢先だった。


「数は!?」


「わかりません、あっという間だったんで。」


「くそっ!こっちの敵の人数は大した事ない、倒して逃げるぞ!」


盗賊団リーダーはミーナ達を甘くみていた。

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