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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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417話 追跡

 悪党を捕縛したタウロ一行は、けが人達を治療して馬車に乗せ、領都に一度引き返す事にした。


 もちろん、ガーデの依頼が優先なので悪党を領兵に引き渡したら、仕事にすぐ戻るつもりでいた。


 しかし、ガーデは、


「数日、時間が短縮されているので、一日二日遅れても全然構いませんよ」


 と、タウロに恐縮した。


 ガーデはタウロ達一行の雇い主ではあったが、相手は領内巡検使という領主の側近の様な立場の役職である。


 どう対応していいのかわからなかった。


 タウロは、これは申し訳ないと思い、本当はこの仕事が終える時に、ガーデに提案しようと思っていた事を前倒しで言う事にした。


 それは、マジック収納(中)付きバッグの貸し出しであった。


 これはタウロが、以前、王都を拠点にしていた時に、魔道具店でまとめて購入したものの一つであった。


 主にマジック収納(小)付きポシェットのいくつかは、以前拠点にしていた頃のダンサスの村の旅先の山村に貸し出していたのだが、一緒に購入した(中)の方は、貸し出す機会がなかったのだ。


 それをガーデに貸し出す事で、冒険者頼みの運搬問題を解決しようと思ったのだ。


「ええ!?マジック収納付きの魔道具と言ったら、びっくりする様な価格ですよ!?領都のお店にも一点だけ、マジック収納付き(中)バッグが、売られているのを知っていますが、白金貨7枚もするのに!?」


 ガーデは目の前に差し出された高価なバッグに息を呑む。


 王都で値切って購入したのは、白金貨5枚だったけど、そのお店、ぼったくってるなぁ……。


 タウロは、ガーデからの情報に内心呆れるのであったが、正直な話、タウロ達『黒金の翼』はD+ランク冒険者である。


 雇う価格として実は、タウロ達は結構お高いのだ。


 それならマジック収納付きバッグをタウロから借りて、馬一頭に跨り移動した方が、時間も短縮出来るし、人を雇う代金も、馬車を出す経費も削減できそうなものである。


「そんな高価で便利なもの私なんかに貸していいのですか!?」


 いつものガーデならこんな美味し過ぎる話、疑ってしまうどころだが、相手は領内巡検使である。


 信用できるのは間違いない。


「ええ、月の料金はこれでどうでしょうか?」


 タウロが、貸出料を提示した。


「……この額なら十分元が取れます……。でも、良いのですか?もっと高く設定しても借りますが?」


 ガーデは正直な感想を打ち明けた。


「あはは!じゃあ、複数年契約を結びましょう。それなら、こちらも長い事、安定して収入が入る事が約束されて安心です。そちらにも得ですし、お互いの利害が一致するので大丈夫でしょう?」


「複数年契約……、なるほど!それでお願いします!」


 ガーデはこうしてタウロの提案を受け入れ、マジック収納(中)付きバッグを借りて今後の農作物の運搬が簡単になるのであった。


 領都に着くと、ガーデは早速、タウロから借りたマジック収納付きバッグに荷物を入れ替えて取引先に向かい、タウロ達は、捕縛した悪党達を連れて領兵に引き渡すべく城門で門番にお願いした。


 門番は悪党の中に、知っている顔がいて驚き、タウロ達の話を最初信用しようとしなかった。


 そこに、領内巡検使の証をタウロが出した。


 驚く門番達。


 そこで、門番は詳しい話を聞きたいと、タウロ達を詰め所に案内し、捕縛した悪党達は拘留室に閉じ込めたのだが、まだ、信じられない門番の一人が商人のグラドだけは、縄を解いて別室で話を聞こうとした。


 何かの間違いだろうと思った様だった。


 だが、商人グラドはこれ幸いと、トイレに行くフリをして逃亡した。


「に、逃げたぞ!」


 門番は慌ててグラドを追いかけたが、人混みに紛れて消えてしまった。


 だが、タウロの反応も早かった。


「これはこれで、ついているかも!」


 タウロは、詰め所から飛び出すと『気配察知』を使ってグラドを追いかける判断をしたのだ。


「ラグーネ達は、門番さん達に説明の続きと、悪党達の見張りをしておいて!僕は、あいつの逃げた先を見つけるから!」


 タウロはそう告げると、グラドに続き人混みに消えていった。


「……リーダー、その説明があんたじゃないと、信用して貰えないんだが?」


 アンクは、呆れるのであったが、門番に一言、


「領主城館の警備隊長のおっさんを呼んできてくれ。アンクが呼んでいると言えば、誰か来てくれるから」


 と伝えた。


 門番達は目を見合わせると、足の速い門番を一人、城館まで走らせるのであった。



 タウロは、領都の人の多さであまり『気配察知』が役に立たないので、『真眼』に切り替えてグラドの跡を追っていた。


 グラドは追われているのがわかっているのか、人混みをスルスルと抜けていくと裏通りに入り、足早に移動していく。


 人混みを抜けたタウロは、裏通りから万が一を考え、姿隠魔法使って自らを透明化し、追跡する事にした。


 これに『気配遮断』も使っているから、グラドには気づかれないだろう。


 グラドは、何度か背後を気にしながら、裏通りを移動し続けると、角を曲がった。


 タウロが急いでその角を曲がると、グラドの姿が無い。


 その通りは袋小路になっていたから逃げられるわけがないのだが……。


 タウロが『真眼』で確認すると、壁の奥をグラドは下に降りる様に歩いていた。


「……という事は」


 タウロは、『アンチ阻害』能力を使って壁を見た。


 すると、認知阻害魔法がかかっているくぼみがある。


「これか……」


 タウロがそのくぼみを押すと、カチッという音と共に壁に扉の形が浮き上がり、開いた。


「これはまた、手が込んでるなぁ……」


 タウロは、感心して扉を開けるとそこには地下に続く階段が現れるのであった。

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