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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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411話 噂話の情報

 タウロ一行は、領都で数日過ごしてからまた、周辺の旅に出かける予定にした。


 それまでの間、領都を知る為、散策する事にしたのだが街中では、住民によって色々な噂が語られていた。


 最近のもので言えば、「そんなに泣いていると暗殺ギルドに攫われるぞ」と囁くと、すぐに子供が泣き止むほどに有名で、寓話的な存在であった暗殺ギルドが実在し、そのギルドが壊滅したという事実が噂の一番に上げられたが、その本拠地であり、ボスが隣領のボーメン子爵だった事、そして、そのボーメン子爵と暗殺ギルドを壊滅させたのが、グラウニュート伯爵の手勢だったと領都グラウニュートでは驚きを以て語られていた。


「さすがは領主様のところの兵士だ!」


「おいおい。どこまで本当の話だ!?」


「俺は、どこかの冒険者が率いた手勢だと聞いたけどな?」


「暗殺ギルドを全滅させたのはどこかの手勢で、それを指揮したのが領主様だと聞いたぞ?」


「みんな噂に惑わされてるな。俺は領兵に友人がいてな。その友人が王都までその捕虜の護送の任についていたんだが、ギルドを壊滅させる手勢を率いていたのは、子供だったらしい。何でも、その子供は勇敢な戦士達の命の恩人で、戦士達はその恩に報いる為に、ギルド討伐に馳せ参じたとか。まさに、英雄とそれに従う戦士達の叙事詩の様な展開だったらしいぞ!」


「本当か!?……事実なら凄いが、どこまで信じていいのかな?」


「そうだな……。でも、もし、そんな英雄なら名前が知れ渡っていてもおかしくないと思うが?」


「子供の英雄か……。きっと、スキルも『勇者』とか『聖騎士』とか『賢者』、それこそ凄いスキルの持ち主なんだろうな……!」


 領兵の友人を名乗る男に、話を聞いていた他の者達は大変な興味を持って耳を傾けた。


「何でも、冒険者らしくて各地を転々としているって話だ。友人は、護送も手伝ってくれた戦士達が話しているのを聞いたらしいから本当だと思うぜ」


「こいつはすげぇーぜ!」


 そんな噂で持ち切りになっている住人達を他所にその横を話題の中心人物であるタウロが、肉串を頬張りながら通り過ぎていく。


「リーダーは英雄らしいぜ?」


 アンクが、口元を汚してお肉を食べているタウロを見て茶化した。


「(もぐもぐ)……(ゴクリ)。事実に近い情報が流れているところを見ると、噂の出処は本物みたいだね」


 タウロは、買い食いしていた肉串を食べ終えると串をマジック収納で回収した。


「竜人族の村でもタウロ様の話を聞きましたが、控えめな噂が多いですね」


 シオンは、タウロ様はもっと凄い方なのに!と、住人達の噂話に不服そうであった。


「シオン、竜人族の村でどんな話を聞いてきたの!?」


 タウロは、シオンが自分を崇拝しているのが気になっていたのだが、完全に竜人族の村でタウロを神聖化させる様な大袈裟な話を聞かされていた様だ。


「ははは!タウロは竜人族の村の命の恩人。それだけで、十分、凄い事だからな。シオンがそう言うのも理解できるぞ!」


 ラグーネはシオンを支持するのであった。


「二人共、僕がどういう人間かよく理解してよね?」


 タウロは、嫌な顔をするのであったが、噂には続きがあった。


 王都では、どうやらかなり大騒ぎらしいという事。


 そして、ボーメン子爵は連日、尋問が繰り返されていて、戦々恐々としている貴族も多いらしいという事だ。


 暗殺ギルドを利用していた貴族は想像以上に多いのかもしれない。


 それこそ、親や、祖父の代で利用していた貴族もいるかもしれない。


 それが表に出る様な事があっては、家名に泥を塗る事になるのだ。


 後ろ暗い思いがある者にとっては、ボーメン子爵の存在は今や、不要であり、一刻も早く処刑されて欲しかった。


 その為か、収監されている牢屋には連日、刺客が送り込まれるという事態に陥っているらしい。


「これは噂ではなく事実だろうね」


 タウロは、意外にまともな情報が語られている事に街を歩きながら感心する。


「そして、多分、連日の刺客を防いでいるのは、竜人族の戦士達だろうな」


 アンクが、当然の様に語る。


「そうかもしれないね。それにボーメン子爵は竜人族が傍にいるから”自害できない”状態なんだと思う」


「ははは!自殺しようものならその瞬間から治療や蘇生がされているだろうからな!そう簡単に死ぬのは難しいな」


 ラグーネが同族の優秀さを誇るのであった。


「そうですよね。ボクも『竜の穴』で、何度か死にかけましたが、その度に助けられましたよ……。くっ、生きる……!」


 シオンが神妙な顔でラグーネに理解を示した。


 シオン……、そんなところに送り込んでごめん……!


 タウロは、シオンに対して罪悪感で一杯になるのであった。


 そんな事から王都では連日、暗殺ギルドとボーメン子爵の話題で持ち切りらしい。


 いつ死ぬのかも賭けの対象になっているとか。


 一番の話題は子供の英雄であったが、これについては、それに付き従った戦士達も命の恩人とだけ語って詳しくは話さない事から、その子供の英雄は、きっと謙虚な人物なのだと、賞賛の的になっているそうだ。


 王都のフルーエ王子もその話に興味を持った一人だったが、こちらはすぐにその子供の英雄が誰だかわかっていた。


 友人から定期的に手紙を貰っている彼にとって、その人物を的中させる事は難しくなかったのである。


 そんな事はつゆ知らず、タウロは、王都の噂話に自分の名前が出てきていない事にホッと安心するのであった。

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