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39話 ゲーム漬けの日々

王子のリバーシ指導は週1のはずだったが、急遽、週3になった。

王子が強く望んだのである。

それ以外の日は、上級貴族やその子弟をいくつかのグループに分けて、曜日を決めて教えた。

当初、タウロは心配していた。

教える相手が10歳の子供、それにもまして庶民である。

まともに指導を受けてくれるとは思ってなかったのだが、上級貴族のお歴々、宰相本人、第五王子フルーエの指導もやっている事が箔になり、難癖を付ける者はほとんどなかった。




ある時の王子の指導の日。

いつも通り、対戦しながら指導していると王子の身の上に話が飛んだ。


「…この国は人の王の国だから、ハーフエルフの僕は異端視されている。でも、粗略に扱われないのは母様が、同盟国のエルフの王族だからだ。だけど、僕が皆に認められないと何時までも腫れ物扱いのままだ。だから、このリバーシで宰相のバリエーラに勝って皆に僕を認めさせたい。」


突然の王子の告白だった。


「…認めさせてどうしたいのですか?」


タウロは、王子の本心を聞きたくなった。


「…どうもしない。…別に跡継ぎになりたいわけでもない。兄上達は立派な人だ、将来は兄上達を補佐できればそれでいい。だけど、自信を持つ為にも何か一つは人より勝れるものが欲しいんだ!」


…なるほど、それが宰相閣下に勝つ事なのか、ただ単に負けん気だけでやってるわけじゃない事に、この王子を見直すのであった。


それからはタウロの指導にも、より一層熱が入り、王子の実力もめきめきと上がっていった。


その間、タウロにも色々あった。

まず、馬車を変えて貰った。

王家の馬車は目立ちすぎるのだ。

それと同時に、宿屋も変える羽目になっていた。


王家の馬車での送り迎えは宿屋の態度を、より一層変えた。

もともと、お得意様であるガーフィッシュ商会からの紹介だったので扱いは丁寧だったが、そこに王家の馬車である、宿屋側はただ事ではないと察し、一番いい部屋にタウロ達を移動し、宿屋の主人自らタウロを接客しだしたのだ。

さすがにこれ以上は居たたまれないと思ったタウロは、王城近くに移動するという名目で宿屋を変わったのであった。


「宿屋の主人、凄く悲しい顔してたわね。」


移った先の宿屋でミーナが思い出した様に言った。


「申し訳ないとは思うけど、あの扱いをされるとさすがに変えないわけにはいかないよ。」


苦笑いをするタウロ。


今の宿屋は、王子の側近のセバスに教えて貰い、自分で宿をとったので、接客態度も普通であった。

10歳の子供と護衛という奇妙な組み合わせにも嫌な顔をする事なく、泊めてくれた、お客によって態度を変えない、良い宿屋だと思った。


ただ、王城に近い高級宿なので宿泊代がもの凄く高いが、そこはセバスが気を利かせ、王家からガーフィッシュ商会経由で支払いを済ませてくれている。


セバス、出来る子!


セバスとは、名前を知らないタウロが勝手に名付けて心の中で呼んでいただけの愛称だが、ある日、宿屋の紹介と宿泊代の事でお礼を言った時につい、セバスさんと口にしてしまった。


「?」


不思議な顔をされた、当然である、セバス(仮)にしたら、誰だという話だ。


「わたくしはサトゥー様に名前を申し上げた記憶はないのですが…、殿下からお聞きになられましたか?」


…って、本当にセバスなのね!?


不思議な顔をするセバス(本物)と、びっくりした顔をするタウロ、そして、状況がよくわからないミーナ。

変な空気が流れたが、王子から聞いた事にしたタウロであった。

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