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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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377話 狂戦士発動

 タウロは、気を取り直すと、シオンの、チーム『黒金の翼』入り歓迎を兼ねて、用意したプレゼント上げる事にした。


「僕の為にわざわざ用意してくれたのですか?……母以外からプレゼントされるの初めてなので嬉しいです……!」


 シオンは、タウロから手渡された籠手と革鎧を受け取ると涙目になっていた。


「シオンは僕と同じで背が低い方だから迷ったのだけど……。今後の成長も考えて少し大きめにしているけど、多少は調整できるから安心して。一番は体にしっくりくる感じが動きやすいだろうしね」


 タウロが、シオンに説明を始めた。


「それと、籠手なんだけど先に謝っておくね。僕が『創造魔法』を使って制作したものなんだけど、少し失敗して左腕用の籠手は、不具合があるんだ。使用すると体に支障があるから、こちらは装備しなくていいかもしれない。ごめんね」


 タウロは、苦笑いすると正直に失敗を認めて謝った。


「支障ですか?──ちょっと装備して試してみますね!」


「──あ、本当に状態異常が起きる可能性があるから!」


 タウロは、シオンが警戒する事無く装備して庭に出て行くので後を追って止めようとする。


 シオンは庭に出ると、一部が粉砕された岩に左籠手で試しに殴りつけた。


 すると岩の一部に黒い靄の衝撃が走り、岩が砕け散った。


「……!」


 体が反応するシオンであったが、痛いとも苦しいとも漏らさない。


「シオン、大丈夫!?」


 タウロが、背後から声をかけた。


「これなら大丈夫です。修行の時、痛覚系の耐性を付ける為に、連日拷問……、じゃない身体に衝撃を与え続けるものがあったので、それに比べたら全然平気です。この様な良い物を貰えて僕、本当に嬉しいです!」


 シオンは、感激のあまり顔を上気させ、本当に嬉しいのが伝わって来た。


 こんなに喜ばれるのは上げた方も嬉しくなってくる。


「そっか、良かったよ。革鎧も装備してみて。こっちも少し仕掛けがあるから」


「はい!」


 シオンは、嬉しそうに革鎧の方も服の上から装備し始めた。


「ちょっと、普通の革鎧と比べると、シオンの動きやすさを優先してちょっと面積は小さくしているよ。そして……、──シオン、鎧に魔力を込めてみて」


「魔力、ですか?」


「うん」


 シオンはタウロに言われるがまま、魔力を鎧に込めてみた。


 シオンが革鎧に魔力を込めると、鎧から靄が噴出し、体を覆い始めた。


 そして、その靄は、シオンがいつも着ていたフード姿になっていた。


「こ、これは!?」


「なるほど、シオンは無意識にいつもの格好であるフード姿をイメージしたのか。──これはね、魔力で姿を変える事が出来る鎧なんだ」


 タウロが革鎧の性能を説明した。


 そう、この革鎧の原材料である双頭聖獣は、普段、闇に覆われていたから、その特徴が革鎧の特性として現れたのだ。


「これは凄い!これなら普段、耳や尻尾を隠す事も簡単に出来そうです!それに、本当にフードの付いた服を着ているようで、イメージする事で変化します」


 そう言うと、実際にフードが平服に代わったり、ワンピースに変化したりする、そして、元のフード姿に戻った。


 うん?今、女性ものの服に一瞬代わったよね?


 タウロは、シオンがそういう趣味があるのかな?と、心配になるのであったが、いや、人の趣味にケチはつけられないと思い直して、指摘しない事にした。


「あと、これも言っておかないといけないのだけど、その籠手、『双対乃魔籠手』は、二つ同時に装備する事で、『狂戦士』という能力を発揮できるのだけど、これは僕も試してないから発動しない様に気を付けて。能力名からしても危険そうだから……」


 タウロは、そう言うと注意喚起した。


「『狂戦士』……。じゃあ、試してみます」


 シオンは、そう言うと、躊躇なくその場で、左右の籠手の両拳を合わせると、『狂戦士』と、唱えた。


 すると右腕の籠手から光のオーラが、左の籠手からは闇のオーラが溢れ出す。


 そして、それに同調するかのように装備していた『双頭聖闇獣製革鎧』が反応。


 フード姿から、黒い一匹の大きな猫の姿に変貌した。


「シオン、大丈夫!?」


「フーー-!」


 シオンは、近づくタウロに一瞬、威嚇する様子を見せた。


 が、しかし、タウロだとわかったのか、擦り寄って来た。


 まさに猫の様な行動だ。


「えっと、……これは、大丈夫なんだよね?」


 タウロは、背後で警戒したアンクとラグーネに確認する。


「……一瞬、とんでもない殺気を感じたが、大丈夫そうだな」


 アンクが、剣を握った手を離しながら、感想を漏らした。


「うむ、危険そうな雰囲気があったが、『狂戦士』状態でもシオンはタウロになついている様だな!」


 ラグーネも咄嗟にタウロを守ろうとしたが、殺気が消えた事に安心してマジック収納から出した槍を引っ込めた。


「うちの庭で、ヤバい事するのは勘弁して頂きたいですよ、タウロ殿」


 ドラゴも魔法で応戦しようとしたのかその手には、小さな杖が握られていた。


「よし、シオン。『狂戦士』能力を解いてみて」


 大きな猫の姿をしたシオンの頭を撫でてみた。


 すると、シオンの姿は、大きな猫から人へ、そして、フード姿に戻った。


「す、すみません、タウロ様。一瞬、能力に意識が飲み込まれてしまいました。でも、感覚は掴んだので次からは大丈夫だと思います!」


 シオンは、もう、この危険そうな能力を実戦で使いそうな口調である。


「う、うん。一応、何度か練習してからにしようか?」


 タウロは、そう指摘すると、自分で作った装備品がどちらとも、ちゃんとシオン向きである事を最終確認できたのであった。

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[一言] シオンちゃん、ひょっとしてボクっ娘?
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