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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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344話 証人登場

 冒険者ギルド・カクザートの街支部──


 タウロ達に、チーム『灰色禿鷹』の荷物持ちを殺害した疑いを掛けたハーゲン達は、冒険者ギルド副支部長と共に追及しようとしていたのだが、証拠となるはずのタグにはその痕跡は無く、それどころかタウロに追及されたところを、この場にいないはずの支部長(どうやら、新しく支部長になったばかりらしい)がふいに戻って来た為、聞かれてしまった。


「副支部長、そこの少年の言う事は本当かな?」


 新支部長と呼ばれたスキンヘッドに体格の良い威圧感のある男が、ロビーの椅子に座ったまま追及した。


「ま、まさか!──支部長、ハーゲンはこの支部最強チームのリーダーですよ?信頼と実績があります。それに比べ、この小僧達はよそ者です。どちらが信用に値するかは明白でしょう!」


「その論法だと、この支部の支部長に就任したばかりの私も信用に値しないことになるな。就任早々、領都に行っていてこちらには、ほとんど顔を出せずにいたわけだし」


 支部長の男はそう言うと、タウロの方に向き直ると続けた。


「少年よ。君が言う脅しとやらを証明するものはあるかね?」


 支部長はタウロに発言の裏付けを確認した。


「その現場にいた人物はそこの『灰色禿鷹』のメンバーと僕達『黒金の翼』なので、証拠と言ったらその中の人間の証言ですね」


「はん!俺達には身に覚えがないね!どうせそのガキ達が口裏を合わせて俺達を無実の罪に陥れるつもりなんだろうが、そうはいかないぜ?」


 ハーゲンが反論する。


「無実の罪で陥れようとしているのはそちらですよね?荷物持ちを殺害したという出鱈目な情報で副支部長と結託して追及してきてるわけですから」


 タウロは、ハーゲンの反論を一蹴する。


「出鱈目は貴様らだろう!うちの荷物持ちはお前らの宿屋まで連れていかれた痕跡があった。それが何よりの証拠だ!」


 ハーゲンはなお追及してくる。


「連れていかれた?僕達に付いて来ただけかもしれないですよね?」


 タウロが今度は反論した。


「そんなわけがあるか!うちの荷物持ちはうちの魔法使いの隷属魔法で俺達の命令にしか従えない。だから強制された以外では貴様らについて行くなんてあり得ないのさ!そして、その隷属魔法は使用者にしか取り消す事は出来ない。つまり、隷属魔法の痕跡が消えた時点でうちの荷物持ちは殺害されたという事さ!」


 タウロの反論を看破したとばかりにハーゲンは勝ち誇って一蹴したつもりだった。


「……隷属魔法って禁忌のやつだよな?」


「……噂は本当だったのか……」


「荷物持ちの奴、道理で黙って従ってたわけだ……」


 ロビーにいた冒険者達はハーゲン達の暗い噂が真実であった事をこの時確認したのであった。


「ば、馬鹿!──そんなわけないでしょ!?隷属魔法なんて私、使えないわよ!それより、荷物持ちがそのガキ達の宿屋のロビーで消えたのは本当よ!うちの荷物と荷物持ち、窃盗と誘拐、そして殺害の可能性は消えてないわ」


 ハーゲンの失言を取り消そうと魔法使いの女が、問題の争点をタウロ達に戻そうとした。


「荷物なら、預かりました。これの事ですか?」


 タウロはマジック収納から荷物持ち、シオンから預かったチーム『灰色禿鷹』の荷物を出して見せた。


「ほら!やっぱりじゃない!これが証拠よ!自分で出したのだからこれが証拠と言わずに何と言うの!?きっとそのガキのマジック収納に荷物持ちの死体もあるに違いないわ!」


 女魔法使いはしめたとばかりに大きな声でまくしたてる。


 自分の隷属魔法の嫌疑を有耶無耶にする事に必死だ。


「……どうなのかね少年?先程から証拠らしい証拠は出していないが、今出した荷物は彼らの物なら、君達はその荷物持ちとやらと接触した事を認めた事になる。そうなるとその行方や、彼らが主張する殺害の嫌疑もかかってくるわけだが?」


 支部長は、深刻な顔つきになってタウロを追求した。


「それでは、一連の疑いを晴らす為にそれらを証明する証人を呼びたいと思います。──ラグーネ」


 タウロは、ラグーネに声を掛けると副支部長室に移動しようとした。


「おい、逃げる気か!」


 ハーゲンがタウロ達の逃亡を疑った。


「騒ぎなさんな。俺が残っているんだからリーダー達が逃げるわけねぇだろ」


 アンクが、太々しくハーゲンに言い返す。


 その間にタウロとラグーネは副支部長室に入って見えなくなった。


 そして、すぐ、タウロは誰かを連れて戻って来た。


「証人の荷物持ちこと、今回の騒動になっているシオン君です」


 タウロは、そう紹介してシオンをみんなの前に出すのであった。


「なっ!?なんでお前が生きてやがる!?隷属魔法は!?」


 ハーゲンは自分の失言に気づかないほどシオンの登場に驚いていた。


「僕はハーゲン達に隷属魔法を掛けられ荷物持ちを強制されていました。隷属魔法はタウロ君に解いて貰ったんです。そして、匿って貰っていました」


 シオンはハーゲンに怯える事無く発言した。


「副支部長!貴様、自分の部屋に荷物持ちを匿っていたのか!」


 ハーゲンはシオンが副支部長室から出て来た様に見えたので勘違いして怒気を露わにした。


「馬鹿な!そんなわけあるか!私が匿って何の得があると……!」


 副支部長が慌ててハーゲンに言い返す。


「荷物持ちこと、シオン君は副支部長とハーゲンさん達『灰色禿鷹』の悪行の数々を近くで目撃してきた証人です。彼は隷属魔法で強制的に従わされてましたから、彼らも自分達に不利に動かれると思っていなかったのでしょうが、隷属魔法が解けた今、全ての悪行はシオン君によって証明できます」


 タウロは支部長を真っすぐ見つめると、そう告げるのであった。

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