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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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325話 昇格

 ゴブリン将軍討伐戦からゴブリンキング討伐戦へと変更されたこの戦いは、王都でもすぐに噂が広まった。


 何しろゴブリン軍団は800を超える勢力で味方は200弱、明らかに劣勢であったのが、王都組の冒険者達30人程度がその流れを変えるどころか短時間でゴブリンキングを討伐してしまったのだ。


 現場を見ていない他の冒険者達は、流石、ゴブリン討伐の専門家B-チーム『銀の子鬼狩り』とその指名を受けた連中だ、と評価した。


「今回一番活躍したのは、Dランクチーム『黒金の翼』だぜ!?おめぇら想像だけで言ってんじゃねぇよ!ゴブリンキングを討ち取ったのもその『黒金の翼』だぜ?」


 討伐に参加していた冒険者グループの1人が、『黒金の翼』の活躍を、声高々にギルド内の酒場でそう評価した。


「おいおい、『黒金の翼』の評判は知ってるが、ゴブリンキングはBランク帯討伐対象だぜ?流石にDランク帯チームが勝てる相手じゃないだろう」


「だから想像で言うなって言ってるんだよ!俺達は実際そこで奴らの活躍を見ているからな。逆にまだDランクなのが不思議なくらいの強さだったぜ?だから、うちのチームは戻って報告した際、奴らの昇格を推薦したよ。あれは、もっと上に行くべきだってな」


 今回参加した冒険者達によって、『黒金の翼』の活躍は語られ、改めてその強さを評価されるのであった。


 ざわざわ


 その為、ギルド内に併設してある酒場は今回のゴブリンキング討伐戦クエストの話で持ち切りになっていた。


「B-チーム『銀の子鬼狩り』はどうしていたんだ?」


「そうだよな?あいつらゴブリン討伐に関しちゃ専門家だよな?今回、Dランクチームに出し抜かれたのか?」


「いや、あいつらはあいつらで、ゴブリン将軍を討伐したらしいぜ?それに当初、敗戦ムードのダントン子爵軍に流れを呼び寄せたのも『銀の子鬼狩り』らしい。『黒金』の子供リーダーが、言ってたから間違いないぜ」


 タウロは『銀の子鬼狩り』の活躍が霧散しそうになっていたので、積極的にそういう話を他の冒険者達にして回っていた。


 実際、最初にゴブリン軍団に先陣を切って流れを変えたのは彼らだ。


 いくら感じが悪かったとはいえ、その事実は変わらない。


 だからこそ、自分達は力を温存してゴブリンキングに対する事が出来た。


 なのでそれは、『銀の子鬼狩り』のお陰だ。


 タウロは、こうして『黒金の翼』の活躍の一端には、奮戦したB-チームの活躍があったからこそという事実を強調する事で、『銀の子鬼狩り』の面目を保ち、『黒金の翼』の一人勝ちの様な雰囲気を避けるのであった。


 そう、みんなの活躍があってこそなのだ。


 1チーム、それもランクが下の自分達『黒金の翼』だけが名声を得る様な風聞は、後々恨みや妬みを買う原因にしかならないとタウロは判断したのであった。


 タウロが流した噂があって面目を保たれたからか、『銀の子鬼狩り』からも『黒金の翼』の昇格を推薦するという話が冒険者ギルドに届くのであった。




「──という事でかなり異例ではありますが、上層部での審査の結果、『黒金の翼』の昇格が正式に認められました。今日からみなさんはD+です。よろしいですか?」


 数日後の冒険者ギルド王都本部の受付で、タウロ達『黒金の翼』は、受付嬢にそう告げられた。


 もちろん、断る理由もなかったのでD+への昇格にみな同意するのであった。


「驚いた……!こんな短期間でD+まで昇格するとは思ってもみなかったわ!私が成人するまでにCランク帯に上がれないかしら?」


 エアリスはこの昇格に一番喜んでいた。


 エアリスにとって『黒金の翼』は、大切な居場所であったから、それが評価されるのはとても嬉しい事なのだ。


 そして、そこを数か月後には去る予定でもある。


 エアリスはそんな大切なチームのランクアップは、誇りであり、脱退しても自分の一部として残って行くものだと思っていたので、想像すらしていなかったCランク帯への可能性が見えた事に心躍るのであった。


「エアリスの言う通り、Cランク帯への道が拓けたから、その可能性はあるな」


 ランクに拘りが無いと思われていたアンクが珍しくエアリスに同調した。


「二人とも気が早いぞ。浮き足立っては足を掬われるぞ?」


 ラグーネが珍しく二人を諭した。


 いつもならラグーネが同調するところだからだ。


「ラグーネの言う通りだよ。二人とも、D+ランクになったばかりなんだから、まずはそのランクのクエストを地道にやっていかないと。油断して怪我でもしたらどうするの?」


 タウロもラグーネに合わせて二人を宥める。


「すまん、すまん、リーダー。エアリスがあまりに嬉しそうだからついな。わはは!」


 アンクが笑って誤魔化す。


「ちょっとアンク!私だけが浮かれてたみたいな言い方止めてよね?」


 エアリスは怒る素振りを見せると杖でアンクのむき出しの肩を小突く。


「いたっ!ちょっ、エアリス!流石にそれは痛いから止めてくれ!」


 アンクはエアリスの打撃に肩を抑えて痛がるのであった。


 こうして昇格に浮かれるタウロ達であったが、エアリスが脱退宣言をした誕生日までの間『黒金の翼』は活躍し続ける事になるが、Cランク帯への道は遠いのであった。

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