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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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309話 暗黒大狼戦

 113階層から114階層に降りる階段途中。


 ツグム達護衛チームとタウロ達『黒金の翼』は、サラマンが娘であるサラーンに肩を貸しながら大きな魔物と対峙しているところに到着した。


 サラマン達は、どうやら逃げてくる途中で、追ってくる魔物に追い付かれた様だ。


「あ、タウロ殿、なぜ来ているのですか!休憩室で待っているよう言ったでしょ!」


 ツグムが、タウロ達に気づき、注意をしながら剣を抜いて大きな獣の魔物とサラマンの間に入る。


「ツグム組、娘の治療を頼む!あの、暗黒大狼に状態異常攻撃を喰らって、危険な状態なんだ!」


 サラマンが階段の踊り場に娘のサラーンを横にすると護衛チームの回復系を持つ者に治療を頼んだ。


「くそっ!こいつ、『お上りさん』だ!そっちの治療は少し待ってくれ!」


 護衛チームの回復持ちのメンバーはサラーンの治療の前に魔物と対峙する方を選んだ。


「しかし!娘もこのままでは!」


 サラマンが必死の形相で訴える。


 そこへ、後ろから駆け付けたタウロとエアリスが治療魔法を唱えてサラーンの治療にあたる。


 ラグーネとアンクは、念の為サラーンの盾になる様に魔物との護衛チームの間に入る。


「ところで『お上りさん』ってなんだ?」


 タウロとエアリスが治療にあたる中、アンクが、隣のラグーネに聞く。


「『お上りさん』とは、上の層に上がって来た深層の魔物の事を言うんだ。ごく稀に起きる事なんだが、あの魔物、暗黒大狼は、私が聞いている話では170階層台に潜む超強力な魔物だ。そんな魔物がこの113階層まで上がって来るなんてほぼ有り得ない!」


 ラグーネが、驚きを見せる中、護衛チームに暗黒大狼が特殊攻撃『暗黒の息』を吐いた。

 その勢いはすさまじく、護衛チームの背後に居た、タウロ達も飲み込もうとする。


 咄嗟にアンクがその暗黒の息を大魔剣の風の斬撃で勢いを削ぎ、それでも襲ってくる暗黒の息をラグーネが盾の特殊効果『範囲防御』で一時的に防いだ。


 その時間稼ぎに合せてエアリスが結界魔法を詠唱、暗黒大狼の暗黒の息を完全に遮断してみせた。


 見事な連携で魔物の攻撃を防いだのをツグムは脇目に確認して安心すると、


「暗黒大狼に集中するぞ!状態異常の治療を後衛はしつつ、前衛は各自攻撃を続けろ!」


「「「「おう!」」」」


 ツグム達は、暗黒の息の状態異常に苦悶の表情を浮かべながらも、怯む事無く暗黒大狼に向かっていった。


 その間にタウロはサラーンの治療にあたる。


 暗黒大狼の暗黒の息の状態異常には、色んなものが含まれている様だ。


 視覚を奪い、四肢の麻痺、特に強力なのは猛毒であった。


 いくら耐性持ちの竜人族でもこの猛毒を喰らえばかなり危険なはずであった。


 何しろその猛毒状態に陥っているサラーンを抱き抱えるサラマンもその毒に侵され始めていた程だ。


 S級レベルの英雄が耐えられないのだから、どのくらい強力なものか、わかるというものであった。


 タウロは、サラマンからサラーンを引き剥がすと、サラーンの治療の為に解毒ポーションをサラーンに直接かけながら、状態異常回復魔法も唱えて解毒していく。


 エアリスも、サラーンの耐性を少しでも上げる為に、体力上昇魔法を唱えると、続けざまに解毒魔法で解毒しにかかった。


 『暗黒の息』、これはかなり厄介な攻撃だ。


 『毒完全耐性』『状態異常耐性』『闇の精霊の加護(弱)』を持っているタウロにはほとんど効かないが、仲間全員にこれをやられると、回復に手間を取られ、じり貧になるのは明らかであった。


 タウロは自分に出来る事を考えながらサラーンの治療にあたっていたが、何度目かの解毒ポーションと、状態異常回復魔法でサラーンの呼吸が落ち着いて来た。


「……よし、エアリス、あとは任せていい?」


「……わかったわ、ここは任せて。──タウロ、気を付けてね?」


「うん」


 タウロはエアリスに返事をすると、ラグーネとアンクにも声を掛ける。


「二人ともあとはよろしく。僕はツグムさん達の援護に向かうよ」


「「了解!」」


 ラグーネとアンクは、返事をすると、いつ攻撃されても対抗できる状態でツグム達の戦闘を見守る態勢になるのであった。


 タウロはエアリスの結界から出ると、暗黒大狼が放つ何度目かの暗黒の息をもろに浴びた。


 ツグムが、その光景に気づきギョッとしたが、


「ツグムさん僕は大丈夫です。敵に集中して下さい!」


 という答えが返ってきたので倒す事に集中するのであった。


 しかし、この暗黒大狼の戦い方が厄介であった。


 その動きは敏捷で、ツグム達前衛が前に出て強力な攻撃を仕掛けようとすると察して後方に飛び、牽制に中級程度の火魔法で攻撃し、ツグム達の動きを一瞬止めると暗黒の息を吐く。


 そして、次の瞬間には噛みつきや、前足による直接攻撃でツグム達を怯ませるが、深入りはしてこない。


 いつでも、攻撃回避が出来る慎重な動きだ。


 護衛チームの後衛は攻撃魔法を使いたいところだが、前衛の暗黒の息による状態異常回復に集中してそれどころではない。


 ここは暗黒大狼の、あの暗黒の息を止める事が出来れば打開できるはずとタウロは見極めると、前に進み出るのであった。

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