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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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298話 増える依頼

タウロのミノタウロス討伐クエストは、完了と認められた。


念の為にタグも確認されたのだが、もちろん、ミノタウロスを討伐した記録が残っていた。


「それでは、タウロ君は今回のクエスト完了で、これまでのフリークエストの累積と合わせてD+に昇格します」


手続きを行う受付嬢のリュウコがタグをタウロに返しながら告げた。


「それではタウロ殿、また、どれか違うのをやってCランク帯へのアップを目指しますか?」


支部長のサラマンがそう言うとフリークエスト化の判子をチラつかせた。


「いえ、これ以上は止めておきます。自分がまだまだなのは、このミノタウロス戦で理解しました。従魔のぺらや、能力上昇付きの装備が無ければ勝てなかったでしょうから。それに、Cランク帯へは仲間と一緒に上がりたいですし」


タウロはそう答えると遠慮するのであった。


「なるほど。そういう事なら仕方がないですな。おっと、このミノタウロスの遺骸は買い取ります。傷が多いので素材としては魔石以外はほとんどお金になりませんが良いですか?」


「はい、それで結構です。それにしても、ミノタウロスは強いですね。沢山致命傷になりそうな傷を付けたのに全然倒れなくて困りました」


タウロは頷くと苦労話を漏らした。


「ミノタウロスは体力と力に定評がありますからな。……うん?ちょっと鑑定を……。タウロ殿、こいつはミノタウロスの亜種ですよ。確か亜種には、回復再生能力を持っている者もいるので手間取ったのはそのせいでしょう。いやはや、よく1人で倒しましたな。わはは!」


サラマンは鑑定でミノタウロスを調べて確認すると豪快に笑ってタウロを褒め称えるのであった。


「え?……『真眼』!……本当だ。急いで回収したので気づきませんでした……。この魔物はやはり強いのですか?」


タウロは、見落としがあった事を『真眼』で確認すると質問した。


「そうですな……。ミノタウロス数体分と考えれば良いかと。もちろん、相性などもありますからタウロ殿と比べると大きなミノタウロス系との近接戦はやりづらいでしょう。俺なんかはミノタウロスはこの斧で首を飛ばして終わりですが」


サラマンはそう言うと、マジック収納から戦斧を取り出して見せた。


それはタウロの大きさを越える戦斧であった。


「これはまた、大きいですね……。確かにこの戦斧ならミノタウロスの太い首もサラマンさんなら一振りでしょうね」


今の自分なら装備の能力付加でこの斧も持てない事はないだろうが、大きすぎて多分思う様には振るう事が出来ないだろう。


やはり、竜人族のスケールは大きい。


「何しろ一昔前は俺も攻略組に居た事がありますからな。その当時は、断頭台のサラマンと呼ばれてましたよ、わはは!」


……わー。この人も、冒険者ならSランク帯レベルの人だった……。


タウロは、この村には比べてはいけない人しかいないなと、自信喪失するばかりであった。


「そうだ。今日も送迎のクエスト受けるんだった!」


タウロは、一時的に呆然自失していたところ、自分を取り戻してクエストを受注、ダンジョンへと向かうのであった。




翌日の冒険者ギルド竜人族の村支部──


いつもの通り、タウロが掲示板を見るとまた、クエストが増えていた。


それも送迎のフリークエストである。


「あれ?依頼主はギルドや、族長リュウガさんじゃない?」


タウロが驚いていると受付嬢のリュウコが、


「ふふふ。それは中階層の巡回をしているサポート組が、支部長チームがタウロ君の『空間転移』で短時間の内に戻ってきたから、うちもお願いしたいと言ってきたのよ。これからはこういう依頼が増えてくるかも」


と教えてくれた。


これまでは、攻略組の為にタウロが助力してくれているからと、みんな遠慮していたのだが、支部長サラマンが冒険者ギルドの有用性を説明、というか周囲にタウロの『空間転移』を自慢したのかもしれないが、冒険者ギルドを通して報酬を支払えば依頼できる事を言って回っていたのだ。


その為、タイミング良くこれからダンジョンに潜るサポート組が、『空間転移』による送迎を依頼してくれたのだった。


徐々にこうやって冒険者ギルドに依頼してくれる人が増えるのかもしれない。

ギルドにとっても自分にとってもこれは良い傾向だろう。


「……なるほど。指定先は100階層ですか……。確かにこれは大変ですね。それに86階層の『嵐』がいつまで続くかわからないですし……、わかりました。いつものやつとこれを受注します」


「そう言ってくれると思って別室に依頼主が来ているから直接説明を受けてね」


リュウコはそう言うとタウロを奥の部屋に通す。


部屋の扉を開けると支部長サラマンの笑い声が聞こえて来た。


「──だからお前はサポート組のままなんだ、わはは!──お?タウロ殿、こいつの依頼を引き受けてくれましたか。こいつはサラーン、うちの娘で今回の依頼主です、わはは!」


支部長サラマンが、紹介した依頼主はまさかの自分の娘なのであった。

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