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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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284話 根絶やしの危機?

 202階層から戻った翌日。


 タウロはまず、族長のリュウガに説教をされる事になった。


 それはそうだ、送迎だけの安全のクエストを依頼したのに、ダンジョン内のそれも深層である202階層を横断する危険な事をしたのだから依頼主としては、注意せざるをえない。


 タウロの身に何かあっては困るのだ。


 恩人であるし、依頼主としての責任もある。


 族長リュウガは、タウロに今後、そういう時があっても、他の者に任せて危険な任務には参加しない様厳重注意するのであった。


「──あと、ツグムから報告を受けました。攻略組が討ち漏らした領域守護者を仕留めて、下の階層を出現させる為の鍵を入手させて貰ったとか。……ありがとうございます。一つの階層攻略には幾日もかかる事があるので助かりました」


 族長リュウガはタウロに感謝した。


「いえ、サポート組や、護衛チームのみなさんがいたからなので。──やはりダンジョンの深層は未熟な僕では荷が重い事を痛感しました」


 タウロは正直な感想を告げた。


 そう、周囲の竜人族の桁外れな強さがあったからこそ、自分は闇魔法を試す余裕があったのだ。

 もし、竜人族のみんながいなければ、初手の段階であの世行きだったのは間違いない。


「ですが、タウロ殿。あなたはまだ、13歳。その歳でそれだけ戦える者は我が竜人族にもいませんよ。慢心する事無く励めば、いずれ深層でも十分戦える戦士になれます。──どうです?ダンジョンの送迎任務以外の日は、我々の『竜の穴』で地獄の修行をしてみるのは?人族には普段、勧めていませんが、タウロ殿なら乗り越えられるかもしれませんよ?」


 族長リュウガは、タウロを最大評価しての誘いであったが、タウロにとっては「くっ殺せ」という口癖が染み付く様な過酷な修行をする気は微塵もない。


「お気持ちだけで結構です……」


 タウロはそう答えるとそそくさと族長宅を後にするのであった。




 タウロはそれからは『空間転移』での送迎に徹して、ダンジョンは『休憩室』のみの移動だけで済ませていた。


 そんな中、新たな依頼が来た。


 それは、カレーの大量生産である。


「タウロ殿が補給時にカレーと饅頭とやらを攻略組の1つに置いて行ったそうですが、他の攻略組がそれを口にする機会があったそうで、うちにも補給して欲しいと補給組を通して上に伝言がありました。日頃、食事には一切文句を言わない攻略組からのたっての願いなので我々補給管理官としては、希望を叶えたいのです。ですが、我々はその様な食事を作った事がないのでタウロ殿にお願いするしかありません。良ければ、作って頂けないでしょうか?」


 竜人族の村支部冒険者ギルドで補給管理官を名乗る竜人族の赤髪金眼の美しい女性が頭を下げて訪れていたタウロにお願いするのであった。


「頭を上げて下さい。実はその事で僕も思うところがあったので、丁度良かったです。実は、この竜人族の村にカレー屋さんを作ろうかと考えてました」


「カレー屋さん……ですか?」


 補給管理官の女性は軽く首を傾げて見せた。


「はい。と言っても、僕は管理できないので、レシピを誰かに渡してお店をやって貰おうかと思ってました。ただ、僕はこちらに人脈が無いので悩んでいたところなんです」


「それならば、我々補給管理部には料理や保存食の開発に携わる者と繋がりがありますのでご協力できるかと」


 補給管理官の女性はチャンスとばかりに目を輝かせタウロにアピールした。


「……保存食。それは丁度良いです。ついでなのでカレールーも作っていいかもしれません」


 そうなると話は早い。


 タウロはすぐに補給管理官の女性の案内で補給管理部に足を運ぶと、料理・保存食開発者と引き合わせて貰い、まずは基本のカレー粉のレシピを渡して作り方を伝授、攻略組の希望を叶える事から始めた。


「なるほど……。これは攻略組が食べたくなるのもわかります。香りから味まで我々が味わった事がない代物です!」


 料理・保存食開発者は、タウロの料理に感動すると大きく頷いた。


「では、攻略組へのカレーの補充はこれで良いとして、後は饅頭の作り方を伝授しておきますね」


 タウロは引き続き、あんこから生地の練り方まで懇切丁寧に指導した。


 元々、開発者は料理のスキルが相当高いのだろう。

 教えられるとすぐにマスターして、タウロに二度聞く事なく再現してみせた。


 これは、教える方も楽だ。


 タウロは、さすが竜人族、戦闘だけじゃないんだな、と感心すると他の料理についても一通り教えた。


「こ、これが攻略組が感動したというとんかつですか!?確かにカレーと合わさると殺人的な美味しさです……。これは早速、この辺りのオーク系を守備隊にお願いして狩り尽して貰いましょう!」


 カツカレーの美味しさに補給管理官の女性と料理・保存食開発者の男性は意気投合して握手を交わすのであった。


 オーク系、根絶やしの危機!?


 タウロは、竜人族ならやりかねないと思うのであった。

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