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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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257話 転移室での実験

 リーダーに案内された『転移室』、通称・休憩室は王都の近くにあったダンジョン・『バビロン』のものと同じ白い石壁の部屋であった。


 というか全く同じ造りの部屋に見える。


「この通り殺風景な広い部屋です。深層にある休憩室もみな同じ造りだと聞いています」


 リーダーが部屋に入ると簡単に説明してくれた。


「自分が以前、行かせて貰ったダンジョンのものと同じ造りです。休憩室はみんな統一されてるのでしょうか?」


「他のダンジョンについても同じ様な作りとは聞いています。何でも、空間転移する時にイメージが簡単で済むからではないかと言われています。昔からの伝承や研究によるものなので信憑性は高いと思いますよ」


「なるほど。確かに部屋のイメージが簡単なら後は潜る深さや、他のダンジョンの部屋の位置をイメージするだけですもんね。説得力あると思います。…それでは、転移実験してみましょうか。試しに軽く下の層に1人で行けるかやってみます」


 タウロは、そう言うとリーダー達が止める間もなくその場から一瞬で消えた。


「なんと!…これが空間転移か、タウロ殿が一瞬で消えてしまった…!」


 リーダー達が呆気にとられてる間、タウロは白い石壁の部屋、休憩室に一見微動だにせずつっ立っている錯覚に襲われていた。


「…『空間転移』成功したんだよね?竜人族の戦士のみなさんいないし…。やっぱり同じ部屋だと成功か失敗かわからないな。…それと外で『空間転移』を使った時と違って魔力の消耗がほとんど感じられないから、使用した感触も無いし…」


 手応えを感じないタウロは辛うじて付き添ってくれていた戦士が周囲にいない事で成功を感じるしかなかったのだった。


「…一応この部屋の外も確認してみるか」


 タウロはそう独り言を漏らすと、休憩室から出てみる。


 するとそこには、先程の1階層とは微妙に違うがほとんど変わらない土壁のダンジョン空間があり、スライムも沢山いる。


 そして、その壁に塗料で書かれた数字があった。


 2


「2階層の2という事か。やっぱり成功だ。じゃあ、みなさんのところに戻ろう」


 タウロは休憩室に引き返すと、また『空間転移』を使って元いた一階層に戻るのであった。



「「「わっ!」」」


 タウロが『空間転移』で突然目の前に現れたので竜人族の戦士達は驚いて声を上げた。


「あ、すみません。驚かせちゃって…。実験は成功みたいです。次にみなさんを一緒に移動できるか試してみたいのですがいいですか?」


 タウロはダンジョンの休憩所内では『空間転移』がリスクを伴わず移動できる事を確信して、次の段階を提案した。


「わ、わかりました。それでは我々5人を下の階層にお願いします。…どうしたらいいでしょうか?」


 リーダーをはじめ、戦士達は初めての体験を前に戸惑っていた。


「皆さん手を繋いで僕の両脇に来て下さい。あ、円陣で手を繋ぐとわかりやすいですね。──それでは、いきます」


 タウロは全員が手を繋いで円陣を組むのを確認すると深く潜るイメージをして『空間転移』を使用した。


「………」


「………?」


「………」


 先程の『空間転移』と同様、同じ白い石壁の部屋なので変化が無い様に一同は思えた。


 ただ、タウロだけは、魔力の消耗が多少あったので移動出来たという感覚はあった。


「…タウロ殿、成功したのでしょうか?」


「多分、成功したと思います。魔力を消費した感覚があったので…。ちょっと、部屋の外を確認してみますね」


 タウロはそう言うと休憩室を出て行こうとする。


「お待ち下さい。もしもの為に部屋から出ないで外を確認する程度でお願いします」


 リーダーが万が一に備えてタウロに注意喚起した。


「わかりました」


 タウロは、頷くと部屋の出入り口まで行くと外を確認する。


 先程と同じく外は土壁の様だ。


 タウロのイメージでは多少深く潜るイメージをしたのだが、5人を連れていたせいかスライム層より下に行けなかった様だ。


 タウロの後を付いて来たリーダーもタウロの側から外を覗いて確認する。


「…これはスライム層の2か3層ですね。土壁のダンジョンは3層までなので」


 リーダーが浅い層だと確認してほっと安心した。


 もし、自分達では対応できない深い層だったらと緊張していたのだ。


「それでは一応、外に出て、何層か番号を書いてる所まで行き、確認しましょうか。魔力の減りと潜った階層を確認して目安をはっきりさせたいので」


 タウロがそう提案する。


「…そうですね。スライム層なら安全なのでそうしましょう」


 全員は成功の安堵から気が抜けると談笑しながら部屋を出た。


「あ、スライムもいますね。やっぱり、みなさんが言うスライム層ですね。思ったより魔力の減りが大きかったので、深い層に潜れたとばかり思ってましたよ。ははは」


 タウロがスライムを指さしながら笑うのだった。


「うん?普通のスライムと比べて光り輝いている様な…、もしかしたら貴重なものかもしれない。いや、違うあのスライム、知っているぞ!みんなタウロ殿をお守りしろ!あれはスライムエンペラーだ!」


 リーダーが慌ててみんなに警告する。


 タウロ以外の戦士達はリーダーの警告に、一瞬戸惑ったが、タウロを守る為に壁を作った。


「タウロ殿、休憩室まで急いでお逃げ下さい!あれはスライム層にいないはずの魔物です!」


 一流の戦士達の恐慌状態に近い緊張感にタウロも事の重大さを肌でびりびりと感じるのであった。

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