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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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247話 銀貨1枚

 タウロ達一行と、ダレーダー伯爵との面会はまだ続いていた。


「──それと、機密書類の最後に暗号では無い文章で走り書きされた一文がありましてな。それが、タウロ殿の名前と数字でして、その後に「×」が付いてました。我々の調査ではこの「×」は、暗殺された者と結論を出していたのですが…、タウロ殿はもしや、刺客に狙われるような事がありましたか?それも、相手が暗殺したと誤解する様な出来事が……」


 ダレーダー伯爵が悩み抜いた末の結論から推測を立ててタウロに聞いた。


 タウロの返答次第では、他の暗号で書かれた文と数字は自分達が調べ上げたものと一致した事は偶然だったという事にもなりかねないのだ。


「はい、冒険者ギルドにも報告しましたが、先日、僕を暗殺する為の事件がありました。暗殺ギルド側は、成功したと思っていると思います。でも、暗殺ギルド側には今回逃げ遂せた者がいるのですぐバレるとは思いますが……」


「……なるほど、ではやはり、我々の読み通り……か。タウロ殿の暗殺はどうやら暗殺ギルド側主体だったようです。と言うのも、タウロ殿に掛けられた金額がとても安くて普通では暗殺ギルドも引き受けない額でした」


「というと?」


「申し上げづらいですが……、銀貨1枚です。これでは経費にもならない額なので、最初、機密書類自体が本物かどうかも疑われましたが、暗殺未遂自体があったのなら、暗殺ギルド側が低価格でも引き受ける理由があったと裏付けできます。タウロ殿の名前と額の走り書きで、機密書類の価値が変わるところでした。あ、もちろん、タウロ殿の価値が無いわけではないですぞ?整合性の問題でして……」


 ダレーダー伯爵の言いたい事はわかる。


 わずか銀貨一枚で暗殺ギルドは普通仕事を引き受けないだろう。

 暗号で書かれた機密書類に読める文字で走り書きされた内容が説得力の無い一文だったら、暗号化された方の説得力も無くなるというものだ。


 でも、銀貨一枚は酷くない?


 タウロは自分の価値の低さにちょっと傷つくのであった。


 だが多分、サイーシ子爵側と大きな契約を交わす中で、おまけ、もしくはサービスで誰か1人処理しますよ?と、提案した結果、サイーシ子爵の口から出てきた名前が自分だったのかもしれない。


 暗殺ギルド側は、因縁深い自分の名前が出てきたので、乗り気だった可能性は高い。

 あんな大掛かりな暗殺内容だったのだ、ほぼ十中八九間違いないだろう。


「……暗号で書かれた文章は解明されていないのですか?」


 タウロは確認する。


「ええ。解くのに時間はあまりかからないとは思いますが、まだ、日が浅いですからな。今、部下達が日夜問わず暗号を解いている最中です。……ところでタウロ殿。もし、あちら側に生きているとバレたらまた、狙われる可能性があります。ひとまずどこかタウロ殿を誰も知らないところに身を隠した方がよろしいかと思いますが……」


「……考えてみます」


 タウロとしては、自分自身の事だけならいいのだが、みんなを巻き込む可能性があるので慎重にならざるを得なかった。

 実際、自分が『範囲即死呪法』で一旦死んだ時、仲間を巻き込んでいてもおかしくなかったのだ。

 これは真剣に考えなくてはいけない問題だった。


「タウロ殿、あなたは命の恩人ですから、いくらでもご助力するつもりです。何でも相談して頂いて構いませんぞ」


 ダレーダー伯爵は、そう言うとタウロ達『黒金の翼』の城館への自由な出入りの保証、そして、領内での支援も約束した。

 タウロは、流石に断ろうとしたが、これはダレーダー伯爵が譲らなかった。

 もしもの時は、その町村の責任者に自分の名前を出して協力を仰ぐ事が出来る様にと、ダレーダー家の紋章が入った札を渡されるのであった。



 こうして、ダレーダー伯爵との面会は無事に終わった。


 一応、ダレーダー伯爵の依頼はこれで終わりだ。


 馬車で宿屋まで送って貰うと、そのままタウロとアンクの泊まる部屋にエアリスとラグーネが押しかけて、今後の話し合いに移った。


「で、どうするのタウロ?ほとぼりが冷めるまでダンサスの村を離れた方が良さそうだけど。どこか行く当てはあるの?」


 エアリスが、具体的な案を求めた。


「うーん……。一つあるのだけど、みんなはどうしたいかが先かな」


「うん?俺達か?俺は、リーダー達と行動する事に文句はないぞ?」


「私も仲間として、一緒に行動するつもりだぞ?…まさか折角仲間になったのに、解散するとか言わないだろうな?……くっ殺せ……!」


 ラグーネは相変わらずだが、何気なく鋭い事を言った。


 タウロは、案として自分が一時的にチームを抜ける事を考えていたのだ。


「……まさか1人チームを抜けて身を隠すとか考えてる?」


 エアリスが、ラグーネの言葉にヒントを得て、タウロが考えそうな答えに辿り着いた。


「……そのまさかなんだけどね。あ、でも、みんなが知ってるところに行く予定だから、心配する必要はないよ?連絡もすぐ取れるだろうし」


 そう言うとタウロは暗殺ギルドの魔の手から逃れる為の場所について話し始めるのであった。

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