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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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245話 指名依頼

 Dランク帯冒険者として数日クエストをこなしていたタウロ達一行だったが、ある日の朝、支部長のクロエがクエスト選びをしていたタウロ達を支部長室に呼んだ。


「何の用ですか?」


 タウロが代表してクロエに聞いた。

 暗殺ギルド支部殲滅作戦の事後処理はすでに終わっているので、呼ばれる理由がわからなかったのだ。


「…実は、ちょっとみんなに指名依頼が来ているのよ」


「「「「指名依頼?」」」」


 全員が頭に「?」という文字が浮かんだ。


 わざわざ支部長室に呼ぶような事ではないはずだ。

 受付で済む話に思えた。


「…依頼主が秘密厳守でお願いしたいらしいの」


「…なるほどそういう事ですか。それで、依頼主は誰なんですか?」


 タウロは、クロエに続きを促した。


「依頼主は…、ダレーダー伯爵自身で、依頼内容は直接伝えるそうよ。内容を言えない依頼は基本拒否するところだけど、相手が領主様だから…。報酬はかなりいいわよ。あちらは極秘の案件らしくて話を聞くだけ聞いて欲しいとも言ってるわ」


 クロエも依頼内容を聞かされていないそうだ、余程の依頼なのだろうか?


「…断りたいところですが、ダレーダー伯爵には昇格時に推薦して貰った恩義がありますし。…聞くだけ聞いて断ってもいいんですよね?」


 タウロは確認する。


「もちろんよ。あちらもそう言ってるし、何かあったら冒険者ギルドが全力で守るわよ!ダンサス支部にはそんなに力はないけど…」


 最後にごにょっとクロエが不安になる事を付け足したが、タウロは聞こえなかった事にした。

 相手は領主であり、有力貴族でもある。

 クロエが弱気になるのも仕方がない。


「…みんなはどう?僕は受けても良いけど」


「私は別にいいわよ。ダレーダー伯爵の人柄は悪くないと聞いてるから、大丈夫じゃないかしら?」


 エアリスが理解を示した。


「俺はリーダーの判断に任せるよ」


 アンクはニヤリと笑って判断をタウロに任せる。


「みんなが賛成なら私も反対する理由が無いな」


 ラグーネも笑顔で承諾する。


「…では、クロエさん。このクエストお受けします」


「そう、良かった!これで、今日はゆっくり寝れるわ。この話が来てから正直ドキドキしていたのよ。タウロ君、断るんじゃないかと思って」


 クロエはほっと大きく息を吐いて、椅子に深く座り込んだ。


「ははは…。内容がわからないから、本当は断りたいところではありますけどね」


 タウロは苦笑いすると本音を漏らす。


「そうよね。相手がダレーダー伯爵じゃなかったら、断るわよね」


 クロエもタウロに同意するのであった。



 タウロ一行は、極秘という事でその日の内にダンサスの村を立ち、ダレーダーの街に急行した。

 夜に到着するとそのまま宿屋に直行して、翌朝一番にダレーダー伯爵の城館に出向く事にするのだった。



 朝。


 タウロ一行が宿屋を出ようとするとそこには馬車が止まっていて、それがダレーダー伯爵からの出迎えである事がわかった。


 一応、目立たない様に地味な馬車ではあったが、そもそも、冒険者に馬車で出迎えを寄越す依頼主がいるだろうか?


「お迎えに上がりました。それでは御乗車下さい」


 御者が丁寧に頭を下げると、タウロ達を馬車に乗せる。


 タウロ達一行は馬車に揺られながら、


「リーダー、これ仕事だよな?」


 と、アンクがタウロに念の為に聞く。


「そのはずだけど…」


 タウロもこの待遇には戸惑っていた。

 もしかして、リバーシ絡みの依頼なのだろか?と、内心身構える気分だ。


「大丈夫よみんな。私達は堂々としてればいいの」


 エアリスは動揺する事なくどっしり構えている。


 ラグーネは、何とも思っていないのか、目を閉じている。


「ともかく依頼主であるダレーダー伯爵から依頼内容を聞いてそれから判断しよう」


 タウロはそういうのが精一杯であった。



 ダレーダー伯爵の城館に到着すると、一応、裏門から通された。

 やはり、極秘は極秘の様だ。


 姿を見られるのをちゃんと避けている様なのでそれなりの依頼の様だ。


 タウロは少し、安心した。

 ちゃんとした?仕事の様だ。


 タウロ達は、直接ダレーダー伯爵の執務室に通された。


 そこには、書類に目を通し、サインをする恰幅のいい男性がいた。


 王都では何度かあった事があるタウロはその人がダレーダー伯爵だとすぐにわかった。

 以前あった時よりは老けた気がする。


 本人の暗殺未遂事件や、暗殺ギルド支部殲滅作戦など度重なる心労で、多少苦労したのかもしれない。


「旦那様、タウロ様ご一行がお越しになりました」


 タウロ達を執務室まで案内した男性が、仕事に夢中のダレーダー伯爵に声をかけた。

 ダレーダー伯爵は、呼ばれてやっと思い出した様に顔を上げて、タウロの顔を見ると笑顔になった。


「お久しぶりです、タウロ殿!ささ、みなさんもお座り下さい」


 ダレーダー伯爵はその貴族然とした見た目からは想像できない気軽さと腰の低さでタウロ一行を歓迎するのであった。

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