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24話 旅立ち

モーブとの契約が済むとタウロは商品の差別化に着手した。


一般向けにシンプルな安上がりの盤から、お金持ち向けのデザインが凝った盤も制作、さらにその上の限定品として将棋盤の様な足付きの豪華な盤も制作した。

ここで、これまで地味だった『精密』の能力が大いに役に立った。

限定の品は、その辺の木工所では発注できない様な精密な出来に仕上げた。


「タウロ君、これは芸術品よ…。」


鑑定を使ったネイの感想である。


この3種類を商業ギルドに提出しモーブの名で登録して貰った。


登録はスムーズだった。

商業ギルド側は、まだ、このリバーシの将来性はよくわからなかったようだ。

ただ、限定品の盤の芸術性に息を飲んでいたのは確かだった。


─数日後─


「いい品が必ず売れるわけではありません。宣伝が重要です。」


タウロが話しているのはギルド運営のお店、『安らぎ亭』の店内だ。


「幸い、このお店は街一番の観光スポットです。ここでみなさんにはお客さんに混じってこのゲームをして貰い、時折、楽しさを伝えるだけで結構です。」


そう、タウロが考えたのはサクラである。


お客に混じってゲームをする人、それを囲む人だかりを演出し商品の宣伝をする人を用意したのだ。

ちなみに店内の座席、数席はそれ用に店側と交渉して空けて貰った。

興味を持ったお客さんにすぐに買って貰えるよう、会計横に販売コーナーも忘れない。

冒険者ギルドと取引がある商人達にも販売権を与えてお店の店頭に置いて貰う手はずになっていた。

そして、領主には既に支部長のレオから限定盤を贈り物として届けて貰っている。

領主の知らぬところで流行らせて、あとから何かネチネチ言われるのは避けた方がよいと、レオの助言だった。


娯楽の少ないサイーシの街だ、人気スポットで流行っているゲームと知れば若者はすぐに飛びついた。

そして、ルールがわかり易いから子供から老人まですぐできる。


街のあらゆるところでリバーシはやられ始めた。


家の軒先で卓を囲んでやり始めるとギャラリーが集まりだし、そのプレイヤーのゲーム運びに一喜一憂し、解説しだす者も現れる。


一般用なら安く買えると知ると、商品を扱う商会の前に列ができた。




「モーブさん、バカ売れですよ!安いのもですが、高い方のも売れ行きが凄いです!」


冒険者ギルドに出入りしてる商人が丁度クエストを確認していたモーブに声をかけてきた。


「お、おう。そうか、それは良かった。だが、商売の話はギルドに任せてるからそっちと話してくれ。」


「ははは!そうでした。とにかく、このリバーシはこの街だけでなく外でも売れる事間違いなしなんで!じゃあ、増産の話し合いしてきますよ。」


ホクホク顔の商人は支部長の部屋に上がっていった。


「だ、そうだぞ。タウロ。」


モーブは隣でFランクのクエストを探していたタウロに話を振った。


「生産拠点を増やす話はもう、支部長とは済んでますから。」


「…そうか。この分なら、俺も仲間と一緒にデカい街で勝負できそうだ、ありがとよ。」


モーブが拳を軽く突き出すとタウロはその小さい拳をこつんと合わせるのだった。




半月後、チーム「銀剣」は、サイーシの街での高ランクのクエストを一通りクリアし終えるとB-ランクに昇格、ギルド支部長レオの紹介状を携えて大きな街に旅立った。

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