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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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239話 地下一階制圧戦

 タウロはみんなの拘束を解き、牢屋を出て気を失ったソークをそのまま閉じ込めた。


「じゃあ、みんな武器を渡しておくね」


 タウロはそう言うと、マジック収納から各自の武器を取り出し渡していく。


「…このクズは放置しておいていいのか?」


 アンクが失神しているソークを指さす。


「この男は、『遁走』という能力を持っているらしいので、下手に連れ回すより、牢屋に入れておいて後で連行した方が良いと思う。それより今は、『範囲即死呪法』の阻止が先だよ」


 タウロはアンクに答える。


「…そうだった。今はそっちが先だな」


 タウロ達一行はすぐ上に上がる階段に急行した。


 階段の辺りに近づくと、上から声が聞こえてくる。


「奇襲だ!戦える者は全員、上に上がって武器を取れ!」


「何?ここがなぜバレた!?」


「もしかしたら、ダレーダー伯暗殺未遂で捕まった呪術師から情報が漏れたのかもしれない。」


「馬鹿な!あの呪術師は一流だった。漏らそうとすれば、自決する呪術式は施していただろう?」


「わからんが、あの呪術師は呪い返しをされていたらしいから、その呪いで自殺が出来ない状態になっていたのかもしれない」


「…もし、それが事実なら、すでにここは包囲されているのではないか?」


「知らん!とにかく今は立て籠もって抵抗するしかない。あと、呪術師に宝物庫に来る様に言っておいた。アレを使う事になるかもしれん、準備をしておけ!」


「下の階の捕虜はどうする?」


「今はそれどころではない、放っておけ!」


 そのやり取りの声がすると、足音が遠のいていく。


「…予想通り宝物庫にあれはあるみたいだね。場所もこの上の地下一階」


 タウロは魔力回復ポーションを飲み干しながら、みんなに聞こえる様に言う。


「宝物庫を押さえる事が出来れば、私の仕事はなさそうね」


 エアリスは緊張していたが、少し安堵したのかほっと一息つく。


「宝物庫を押さえるまでは安心できないぞ。リーダー俺が先頭で行くぜ?室内戦では大剣は使いづらいが、俺には仕込みが沢山あるからな」


 アンクがそう言うと身に着けた鎧の懐の投げナイフや短剣やらを軽く叩いてみせた。


 そうだ、アンクは冒険者になる前までは傭兵をやっていたのだ。

 暗殺ギルドの刺客とはまた違う人の殺め方を心得ている。


「アンク、先頭は私がやろう。耐性持ちの私がここでは有利だ」


 ラグーネが敵の毒や麻痺を警戒してだろう、盾を片手に槍を突きだして前に出た。


「じゃあ、ラグーネが先頭で二番目にアンク、エアリスと続いて後詰は僕が引き受けるよ」


 タウロがリーダーらしくそう決めると全員が頷いて階段を上がって行くのであった。



 地下一階ではラグーネとアンクの独壇場であった。


 いくら手練れの暗殺者達とはいえ、狭い空間でこの二人と正面から勝負するのは命取りであった。


 ラグーネが盾を翳しながら鋭い突きで敵を倒していけば、アンクがその脇から投げナイフでラグーネの隙をカバーして同じく敵を倒していく。

 エアリスはその二人を魔法でフォローし、タウロは『気配察知』と真眼で全体を見て的確に後方から指示を出しながら、背後から接近する敵を警戒した。


 そして、タウロ達はあっという間に奥にあった宝物庫に辿り着くと敵を一掃し、制圧した。


 タウロは鍵が開かない宝物庫に、『空間転移』を使って一瞬で中に入ると、マジック収納で全て回収する。


 回収した中にはとても貴重であろう大きな魔石が2個と呪殺石が沢山あった。


「これは…、あの村で見た魔石より大きい。こんな魔石で範囲即死呪法を使われていたら、どうなっていたか…」


 タウロは冷や汗をかく思いだった。

 あの呪法を体感した身としては、あの恐ろしさは二度と経験したくはない。


「誰か来たぜリーダー!」


 タウロが安堵する中、アンクが声をかけてきた。


 タウロが急いで宝物庫の内部から『空間転移』で表に出ると、5人の敵が宝物庫を取り返そうと構えている。


「お前達は一旦ここから離れろ。私が、この魔石と呪殺石で奴らを片付ける。巻き込まれるな」


 1人の、呪術師らしき男が、子供のこぶし程度の魔石を懐から出すと、前に出て仲間を下がらせる。


「エアリス!」


 タウロは、すぐに察して声をかける。


 呪術師は自分の仲間達がこの場を離れる時間を作ったのが命取りであった。


 その間にエアリスが結界魔法でその呪術師の周囲を覆うのが早かった。


 呪術師から黒い靄が噴き出した時には、結界はその靄が広がるのを押さえ込み、閉じ込めていた。


 呪術師は、「結界師か!」と、気づいた時にはすでに遅く、術の代償によって呪術師はその場に倒れて息絶えるのであった。


「個人でも持っているのか…。エアリス、大きな魔石は全て回収したから大丈夫だと思うけど、呪術師がいたらまた、こういう事が起きる可能性があるから気を付けて」


 タウロはエアリスに注意を促し、自分は魔力回復ポーションを飲む。


「…わかったわ。いつでも結界が張れる様にしておくわね」


 エアリスは頷くと緊張で杖を握りしめるのだった。


「じゃあ、地上に出よう。上では味方が戦っているはずだから!」


 タウロがそう言うと、みんなは頷いて地上に上がる階段へ向かうのだった。

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