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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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217話 黄門様的なの

使者とのやり取りの翌日。


使者と会った後のリリョウがタウロ達の家を訪れた。


使者からお悔やみと母の生活の保障を約束して貰った事の報告と改めての謝意、そして、気になった事を、話しに来てくれたのだ。


「実は、タウロさん達の事を色々と聞かれまして…。ちょっとその内容が暗殺を謀ったあの有力者との接点を調べている感じだったんです。」


やっぱり、納得してないよね…。


タウロは内心ため息を吐いた。


あちらは疑惑を持った時点で、有罪になる為の証拠集めをしているのだろう。

あの使者達はそのつもりで最初から動いていた。

なので、昨日の『憩い亭』でのタウロの説明は、犯人の言い逃れに聞こえ、逆に確信を与えた可能性もある。


「わざわざありがとうございます。」


タウロはお礼を言って帰って貰うと、どうしようかと悩んだ。


それをルームシェアしているアンクが聞いていたのだが、


「使者がダレーダーの街に帰る前に、疑いを晴らしておかないとややこしくなりそうだな。すまん、俺の不用意な発言が元だろう?」


と、反省を口にした。


「僕がアンクに嘘を吐かせたのが原因だからね。小細工をした僕の責任だから。」


タウロも反省を口にした。


「…俺が話をしてこよう。雇い主の名を出す事になるがリーダーの身の上の証明くらいは出来るだろう。」


アンクがそう言うと、使者達が滞在する『憩い亭』へと向かった。


そう言えば、アンクの雇い主とは誰なのだろうか?


ヴァンダイン侯爵だと思うのだが、実際には聞いていない。

まあ、エアリスを守っている時点で9割9分、ヴァンダイン侯爵だとは思うのだが。


一時するとアンクが戻ってきた。


「話はついたぜ。俺も疑われたが、俺が前もって渡されている紋章入りの護符や指輪を見せてようやく信じて貰えたと思う。」


使者を納得させる程の紋章とはやはり、ヴァンダイン侯爵だろう。

…うん?護符に指輪?複数の紋章という事は依頼主は複数いるの?


タウロはそっちが気になったが、使者を説得して貰えたのは良かった。


「アンクありがとう。また、手間を取らせちゃったね。」


「いいって事よ。それより、ダレーダー伯爵に存在を知られたんじゃここも居づらくなりゃしないか?リーダーは有名人みたいだからな。」


「…うーん。もう、多少は知られても仕方がないとは思ってるんだけどね。色々やってるから。それにある程度自分の身も守れる様になってきたし、友達や仲間もいるから心強いし。」


タウロはそう言うと決意した様に続けた。


「ダレーダー伯爵には悪い印象ないけど、念を入れてあれを使わせて貰おうかな…。」


「あれ?」


アンクがタウロの含みのある言い方に聞き返した。


「うん。ちょっと、僕も『憩い亭』に、使者の二人にまた会ってくる。」


そう言うと今度はタウロが『憩い亭』に向かうのだった。




『憩い亭』の酒場。


そこには、酒が入り酔っぱらっている二人の使者がいた。


「…何もんなんだあの子供は?急に大貴族のご令嬢や、有力貴族の部下が身元の保証をするとか…!」


「上司の話では、伯爵様の暗殺を未然に防いだ英雄として面会したら、面会の場で伯爵様の命を狙うつもりだった可能性が大いにあるという事だったのにな?容疑者どころか伯爵様以上の貴族に擁護される人物って一体…。」


使者二人は酒場の片隅でそんな話をしている。


うん?大貴族のご令嬢…?エアリスもここに来たのね?


タウロは内心でエアリスにも感謝しつつ、使者二人に声をかけた。


「お二人とも、僕の疑いは解けましたか?」


使者二人は、ビクッとすると声をする方を振り返ると答えた。


「いやだな…。最初からそんなつもりは…。」


1人が言葉を濁す。


「そ、そうですよ。自分達はただ、仕事をしてたけです。もちろん、上司からの命令なので疑うのも仕事ですが…。」


もう1人も、言葉を濁す。


「まだ、疑いが晴れないようでしたら、先日話した僕の証言を裏付ける為の証拠をお見せします。」


タウロはそう言うと、腰に佩いている小剣を鞘ごと抜くと柄に巻いた布を取り始めた。

そして、柄のカバーを外す。


使者二人は何をするのかよくわからず、タウロの行動を見守っている。


「これが、リバーシの指南役として認められ、また友として第五王子から使用を許された王家の紋章です。」


タウロが小剣の柄に描かれた王家の紋章を二人に見せた。


二人は最初、ポカーンとその王家の紋章を酔った目で見ていたが、目を擦り、大きく目を見開いて凝視すると、椅子から床に滑り落ちて、その流れで土下座した。


「も、も、申し訳ありませんでした…!自分達はあくまで命令されてやった事ですので、お許し下さい!」


二人は王家の紋章が出てきて、自分達が大変な人を疑っていた事に気づき許しを請うのであった。


「ちょ、ちょっと、お二人とも止めて下さい!」


王家の紋章の思った以上の威力にタウロも焦り、慌てて二人を立たせようとするのであった。

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[一言] 「も、も、申し訳ありませんでした…!自分達はあくまで命令されてやった事ですので、お許し下さい!」 下手をうつと、また拷問の日々が待ち受けていたかもしれません。簡単に許してあげるから相手がの…
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