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20話 まだ一振り目

ネイのお見合い騒ぎから、数日がたった。


タウロにネイを尾行させようとした事が男性職員マルコの、


「みんなタウロ君を使ってネイさんを尾行させたみたいけど、結果はどうだったんでしょうね?」


という他人事の様に悪気が一切無い発言によって支部長レオとネイにバレて、冒険者の大人達は怒られる事になった。


現在、ギルドの受付前で皆、正座中である。


「…みなさん、クエストがありますし、そのくらいで…。」


タウロがフォローに入ろうとする。


「お前も利用された被害者なんだ、怒ってもいいんだぞ?」


支部長レオが正座中の冒険者達に、にらみを利かせた。

隻眼のその鋭い眼光に正座中の冒険者達の大人達は首をすくめた。


「子供を使ってギルド職員のプライベートを監視させようなんざ、冒険者の恥さらしだ。」


支部長レオの言う事ももっともだった。


「支部長、私は気にしてないのでそれくらいで許して上げて下さい。」


ネイが助け舟を出した。


「…優しい…、天使だ。」


正座してる冒険者達からひそひそとネイを讃える声が聞こえた。


「本人が言うならいいが、お前ら!良いタイミングだ。これから1か月、お使いクエストの刑だ。」


がーん


地味できつくて、汚い、報酬もその割に少ない。

一端の冒険者にとって文字通り罰ゲームだった。


Gランクがそれなりに長かったタウロにとっては、慣れて苦にならないクエストが大部分だが、これからの時期、とてつもなくきついクエストが入ってくる。

Gランクの時、タウロは非力過ぎて受注できなかった、城壁補修クエストだ。

石の切り出しから運搬、積み上げと、力仕事のオンパレードで報酬も大した額にならない為、人気薄のクエストのひとつだった。


「今回は人手不足だから、予算が多めに出るそうだ。報酬は悪くないぞ、良かったな。」


支部長レオが不敵に笑って見せた。




なぜかタウロは今、石の切り出し現場、採石場にいた。

現場監督が採石のコツを手ほどきしている最中だ。


「──というわけで、いいか?あんまり小さくなっても使い物にならないから気をつけてくれ。あと、石とは別に鉱物が出る事があるから、それらしいものが出たら俺達、現場作業員に知らせてくれ。価値が有れば、通常の報酬とは別に支払うぞ。まあ、この表層で出る事はそうそうないがな。」


という事らしい。

タウロは、普通にこのきつい仕事をクエストで受注したのだ。


ネイには、


「タウロ君まで責任を感じて受ける必要ないのよ?」


と、心配されたが、ただ単に興味を持っただけだった。

運搬と積み上げ作業には全く興味は無かったが、切り出し作業は採掘も含まれているとなると真眼が役に立つと思ったのだ。

それにアンガスの所で鍛冶屋の真似事をするようになり、鉱物にも興味を持った事もある。


「じゃあ、野郎ども、仕事の時間だ!」


現場監督の号令でみな周囲に散っていく。


タウロは早速、真眼を使って採石場を見てみた。

反応がほとんどない。

やはり地層的に上の層は大したことが無い様だ。


と、こんもりと積み上げられた石の山にひとつ強い反応があった。

切り出した後の屑石の山だが少し大きめの石の内部から反応がある。

タウロは駆け寄るとその石にピッケルを振るった。


「その石の山は屑石だから、関係ないぞー!」


タウロが屑石に駆け寄るのを見て現場監督が声をかけてきた。


タウロが振り下ろしたピッケルで、割った石の内部からは光り輝く鉱石が出てきた。

真眼では、ミスリル鉱石と表示されている。

すると、脳裏に『世界の声』が響いた。


「特殊スキル【&%$#】の発動条件の1つ<一投目でお宝を掘り当てる者>を確認。[精密]を取得しました。」


「坊主、そこは採石後の屑石の山だ、何もないだろう。」


現場監督が近づいてきた。

そこに、ミスリル鉱石を見せると…


「…!!?こりゃ、ミスリル鉱石じゃないか!!!ま、まさかこの採石場でミスリルが出るとは思わなかった…!これは、大変だ、一端みんな作業を止めてくれ!」


この採掘場は石の切り出しが主で、出ても、少しの鉄だった。

それが世界でも貴重なミスリル鉱石である、今後の作業の在り方も変わってくる大問題だった。


「えっと…まだ、一回しかピッケル振るってないんですけど…!」


タウロは新しい能力ゲットも忘れて、ツッコむのであった。

続き読んでもいいかなと思えましたら、

評価、ブックマーク登録の程、よろしくお願いします。<(*_ _)>

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