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2話 神様との邂逅

「変死!?」


神様?から告げられる事実に、佐藤のショックは大きかった。

つまり今、この段階で自分は死人なのだ。


「…あ、じゃあ、無双用リュックとその中身は…」


「ああ?あの背負っていたリュックか?中身のせいでお主の変死の謎に一役買っておる様だ。」


神様?は他人事なので楽しそうである。


「あの…、『神様』でよろしいですか?」


ショックの大きい佐藤だったが最早引き返せない。

確認したい事もある。


「うむ、儂はこの地域の神だ、地球は担当外だが、お主が手違いで飛んできてここにいる以上、今はお主の担当は儂じゃな。」


少し考える素振りをみせながら神様は答えた。


「じゃあ、俺はこれから転生させて貰えるという事でしょうか?」


佐藤としては、ここは切り替えて行くしかない。

元々、異世界ものに憧れていたのだからこの機を逃してはいけないのだ。


「そもそも、転生自体が長い事廃止されていてのう…。」


「え?」


「さっきも言ったがついさっき、魂リサイクル法が出来たから転生は出来る事になったのだが…。それがのう…、自力で魔法陣を使用した転生は、一度死ぬから自殺扱いでな…。」


神様が佐藤に同情する様な眼差しを向けつつ、言いづらそうに言葉を濁した。


「自殺扱い?」


何やら不穏な流れを佐藤は意識しつつ、聞き返した。


「自殺はおのれを殺める行為だから転生にはマイナスに働くのじゃ。それに前世の能力を持って行こうという悪だくみを考える者もいる、なので良くて酷く劣悪な環境下の赤子に転生するか、後は獣や魔物、虫などに生まれかわるのが普通だ。」


「(獣や魔物、虫!?)!?じゃ、じゃあ、劣悪な環境とはどのくらいですか!?」


折角の異世界への転移が転生になり、その転生が最悪な方向に向かっている、せめて人への転生に一縷の希望を持ちたかった。


「そうじゃな、生まれてもすぐ死んだり、不幸を背負って生まれたり、親が奴隷商に売り飛ばしたりと、環境は最悪じゃな。生きられるだけマシ、くらいの状況が多いかもしれん。」


眉間にしわを寄せながら神様は答えた。


「じゃあ、チートスキルとかは…?」


絶望的な状況だが目の前に神様がいる、これは今後を左右する最初で最後の最大のチャンスだと思った佐藤は交渉に打って出た。


「チートスキル?ああ、下界で生きるのに有利になる特殊スキルの事か?地球では存在しないものをよく知っておるな。儂が担当する世界では確かに存在するがチートなるものは無いぞ?」


「その特殊スキルを転生の際に頂けないでしょうか?」


「うーむ…。特殊スキルは効果を発揮すればとても役には立つが発揮するまでが時間と労力、さらには発動条件が厳しいものが多い。ただでさえハンデを負って転生する事が決まっているとなると普通のスキルと違って特殊スキルでは命も危ういぞ?」


これは賭けだ。

マイナスからのスタートが決まっているなら普通のスキルでは打開する事は難しいかもしれない、そう考えた佐藤は…


「一番の特殊スキルを貰えませんか?」


「…ほほう。聞いてなお、求めるか。まぁ、長く転生が禁止されていた中、解禁第1号だからな、しかし、贔屓はできんぞ。あと、注意しておくが特殊スキルは努力無くして発動は無い。発動条件も特殊なものが多い。最初から前途多難じゃ。さらにはお主はマイナスからのスタート、転生直後にすぐ死ぬやも知れんぞ?」


改めて確認をする神様、よほど大変な事なのだろう。


「はい!お願いします!!」


ここで、ビビっては駄目だと言い聞かせて返事をする佐藤だった。




「それでは、転生させるが勘違いしているといかんので言っておくが…、前世の記憶は一切消えるからな?」


「えー!?聞いてないよ!?いや、今聞いたけども!」


「当り前じゃろ、贔屓はしないと言ったであろう。」


「それじゃ、このやり取りも?」


「もちろんじゃ、全て消去した上で転生じゃ。そんなズルが許されるわけがなかろう。」


ガーン!


「やっぱり普通のスキルで…」


最後まで言う事もできず転生される佐藤太郎であった。

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