183話 その後の行方
レンとユウの引っ越しは、タウロがマジック収納で手伝う事になった。
1つ1つ片づけるのを待っていては時間がかかるからだ。
タウロが一瞬で、部屋の荷物を回収すると、二人組はその光景に唖然としていたが、それは無視して二人をとっとと家から追い出した。
エアリスが不機嫌なままだからだ。
自分達の家を嫌いな連中に好き勝手にされていた事が相当嫌だった様で、タウロに『浄化』魔法をお願いするのだから、かなり不快だったとわかるのだった。
タウロは、近所であるシンとルメヤの家に荷物は押し込む事にした。
二人はもちろん、反対などする事なく受け入れた。
後は、ルメヤとレン、シンとユウの問題なので、タウロとしては巻き込まれたくない。
「じゃあ、あとは4人で話し合ってね。」
タウロはそう言うと、ささっと自分の家に戻るのだった。
「やっと、家に戻れたね…。」
タウロがエアリスの荷物をマジック収納から出して元に戻すと安堵の息を漏らした。
「本当よ。やっと我が家ね…。でも、あの4人、どうするつもりかしら?」
「どうなんだろうね?こればっかりは、当人同士の問題だから。」
タウロは苦笑いするしかない。
前世でも男女の問題はいまいち理解できてなかったから、こちらで急に詳しくなったわけでもない。
なので、聞かれても答えようがないのが本音だった。
この日は、二人とも旅の疲れとは別に騒動でも疲れていたので早々に就寝するのだった。
翌日の朝。
タウロとエアリスが朝食を取っていると、シンとルメヤが会いに来た。
あんまり寝てないのか、目に隈ができている。
話し合いが長引いた様だ。
タウロは疲れてる二人を家に招き入れると椅子を勧めた。
「レンとユウの事なんだけど…。昨日の事は改めてごめん!」
二人は頭を下げる。
「僕達も長い事留守にして二人に迷惑をかけたし、お互い様でいいんじゃないかな。ごめんね。」
謝るとタウロが、それで納めようと提案した。
「そうね。私のせいで長い事王都にいて二人に迷惑かけたものね。私も謝るわ、シン、ルメヤ、ごめんなさい。」
エアリスも頭を下げて謝罪した。
慌てたシンとルメヤは頭を下げるのを止めた。
「いや、俺達もあの二人にはっきり言ってればこんな事にはならなかったからさ、ごめんよ。」
「そうだよ。最初だけと問題を後に回してたこっちが悪いよ、ホントごめん。」
シンとルメヤがまた、謝りだす。
「ははは。これじゃ、収拾つかないから止めとこうよ!」
お互い謝りだして終わりが無いように思えたのでタウロは笑って話を止めた。
「…ところで、シンとルメヤはどうするの?」
エアリスが、今後の活動について聞いた。
これは大事な話だ。
「もちろん、『黒金の翼』として、タウロとエアリスと4人でやっていきたいよ!」
「俺もさ!…レンとユウとのチームは以前から、タウロ達が戻るまでの間と言ってたから、解散する事で納得して貰った。二人は朝から、ギルドに前衛ができる奴を探しにいってるよ。」
「…それは、交際は続くって事ね?」
エアリスが、二人の反応から何か察したらしく質問した。
「…まあ、それは別の話という事で…。」
ルメヤが、ちょっと恥ずかしそうに答えた。
なるほど、寝不足は話し合いだけじゃなかったのかもしれない。
タウロとしては、別にシンとルメヤのプライベートまで口を挟むつもりはない。
だが、レンとユウの二人組には、タウロとエアリスに対して思うところはあると思うので、後々しこりにならないかが気になるところではあった。
「そう言えば、シンとルメヤはもう、ギルドランクがE+なんでしょ?」
エアリスが話を変えた方がいいと思ったのか、それともただ単に気になっていたのか二人に話しを振った。
「おお、そうだぜ!二人が留守の間にオサーカスの街にまた行ったりして色々クエストやってたら、上がったんだよ。なあ、シン?」
「うん。レンとユウもいたから、良い恰好しようと頑張ったところもあるけどね。」
どうやら、彼女の存在はやはり大きい様だ。
二人も大人だ、そういう部分がやる気の源にもなるだろう。
「じゃあ、僕とエアリスも早く追いつかないとね。」
「そうね!じゃあ、今日からまた、チーム『黒金の翼』復活でクエスト探しに行くわよ!」
「エアリス、落ち着いて。二人は寝不足だから今日は止めといて上げて。」
タウロがはやるエアリスを宥めた。
「そう言えば、二人とも疲れてるみたいだものね。仕方ないわ、今日は二人は休んでなさい。私とタウロだけでギルドに行ってくるから。」
「じゃあ、お言葉に甘えて俺達は家で寝てくるよ。」
ルメヤとシンはそう言うとうちに帰っていくのだった。
タウロとエアリスはそれを見送ると、朝食を済ませて後片付けをし、冒険者ギルドに向かうのだった。




