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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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158話 後見人決定

タウロの再度の暗殺未遂とエアリスの誘拐未遂から数日。


真相が明るみになってきた。


誘拐未遂で捕らえた男達には、ヴァンダイン家で阻害系スキルの実力を買われて雇われた使用人が混じっていたのだ。

その使用人の証言でアヤンシー伯爵の名を騙っていた事がわかった。


指示役も使用人の男で、その手下に使者役を務めた男、タウロに麻痺毒を使用した暗殺ギルドの男とがいて、逃げて捕まらなかった御者がいた。

指示役の男の供述では、屋敷の裏にも誘拐したエアリスを乗せて運び去る為の馬車が待機していたそうだが、その者達も逃げたらしい。


今回タウロが居た事が、あちらには大いなる不測の事態だった様だ。


急遽、エアリスに使う予定だった麻痺毒をタウロに使い、エアリスは力ずくで誘拐する事に変更、指示役の男は阻害スキルを使用するだけのはずだったが、エアリスを羽交い絞めにする役を引き受ける事になった。


だが、タウロが想定外過ぎて失敗に終わったと全てぶちまけたのだった。


暗殺ギルドの男は、ヴァンダイン侯爵夫人の伝手で雇ったらしい。

この暗殺ギルドの刺客を雇った事などは、裏社会と通じていた事の証明にもなる。

何しろ暗殺ギルドはこの国の闇の部分だ。


ギルドと呼ばれてはいるが、もちろん国は認めていない。


表向きにはこの存在は「悪」であるが、それは「必要悪」なのか「絶対悪」なのか、扱い方次第でヴァンダイン侯爵夫人への追及は変わるかもしれない。


こうした情報は、近衛騎士団団長のコノーエン伯爵からの手紙で知る事になった。


いくら実の娘を家へ連れ戻す為とはいえ、理由が理由だったし、暗殺ギルドまで使っての事なので世間に知れれば批判は免れないだろう。


それとは別にタウロの暗殺未遂に関しては平民相手の事でもあるし、実行犯は塔から飛び降りて死んでいる為、証拠はない。

その方向からの追及は難しいだろう。


これで、エアリスをちゃんと保護する後見人が必要な雰囲気作りはできた。

貴族達もこんな証拠が残る事件まで起きたら反対する者もいないだろう。

あとは、先延ばしになっていた後見人を誰にするかだった。

やはりヴァンダイン侯爵家という名家の娘の後見人なのだ、ヴァンダイン侯爵夫人も黙らせる程の貴族でないといけないのだが…。


タウロは、コノーエン伯爵からの手紙を読み返しながらそれらの情報を頭の中で整理するのだった。




昼過ぎの事だった。


フルーエ王子から面会できる時間が出来たと知らせが来た。

いつもなら、余裕をもって日程を決めてくれているのに、今回は急遽の様だった。

今回はエアリスと一緒に来る様にという事だったので、二人は急いで準備をした。


二人は準備すると馬車に乗り込み、王城に向かうのだった。



フルーエ王子の部屋に付くと、王子の第一声は、タウロを心配するものだった。


「タウロ!二度も刺客に襲われたそうじゃないか!本当に怪我はないのか?」


「フルーエ王子殿下、僕は大丈夫です。あ、ちなみに数日前にはエアリスの誘拐騒ぎもありました。」


「そうなのか!?エアリス嬢、君も大丈夫だったか?怪我は?」


「フルーエ様、私はタウロのお陰で大丈夫でした。お気遣い頂きありがとうございます。」


エアリスは恭しく頭を下げた。


「そういうのは、止めてくれ、エアリス嬢。君も僕の友達だ。ここでは誰も見ていないから楽にしてくれ。…そうだ、今日呼んだのは、エアリス嬢の事で何だが…。」


「…私ですか?」


エアリスは思い当たる節がないが、タウロと一緒に呼ばれたのでタウロと関連する事だろうと思ってはいた。

だが、自分個人となると想像がつかないのだった。


「そうだ。エアリス嬢は後見人を探しているのだろう?王家でも話題になったから自分の友人だと話したら母上が後見人になってくれると仰ってくれたのだ。王族が後見人になったら、誰も文句は言えないだろう!」


フルーエ王子はどうだとばかりに鼻高々だ。

これにはタウロも予想していなかった。

一貴族のお家騒動だ、王家が後見人を名乗るとは思わない。

それに、フルーエ王子の母はもちろんこの国のトップ、国王陛下の側室だ。

今、最も寵愛を受けている存在で、エアリスの後見人になってくれたら、これ以上の存在はないだろう。

貴族は王家に仕える者である以上、利害ははっきりしているから、他の貴族の様に利用される事や、弱みになる事もない。

ただ、これまで以上に仕えればいいのだ。

それは、エアリスの亡き父、ヴァンダイン侯爵も忠臣だったから、親に倣うだけの事だった。


「本当によろしいのでしょうか?」


エアリスは思ってもいなかった申し出にそう答えるのがやっとだった。


「もちろんだ。王家としても忠臣であったヴァンダイン侯爵に報いる事にもなる。これで、お家騒動も一件落着だ。」


フルーエ王子は友人の力になれた事を喜んで、タウロとエアリスの肩を叩くのであった。

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