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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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154話 未遂に終わったので…

タウロが王城に辿り着く頃には、日が落ち、城門も閉ざされる寸前だった。


タウロは慌てて、王家の紋章が入った小剣を出すと門番にそれをかざして見せた。


「うん?王家の紋章!?…あ、タウロ様ですね?お約束の時間をとうに過ぎておりますし、この時間とあってはお通しするわけには…。」


門番にはタウロの訪問は話が通っていたらしいが、門番の言う通りだ。


「それでは伝言だけお願いします。『刺客に襲われて遅くなりました、申し訳ありません。後日また、会えると幸いです。』とお伝え下さい。」


「え?刺客?ですか!?」


門番は不吉なワードに聞き返す。


「あ、無事なので殿下が心配したら大丈夫だとお答え下さい。いや、大丈夫でもないのですが、結果的には大丈夫で…。とにかく遅れたのはそういう理由で、好きで面会をすっぽかしたわけじゃないと、念を入れてお願いします…!」


いくら友と言えど、相手は王子殿下だ。

面会をすっぽかしたとあっては不敬に違いない。


門番もその辺は察したのだろう、頷くと、


「わかりました。至急お伝え致します!」


門番は詰め所に走っていくと、待機してる者と門番を代わり、王宮に走って行った。


「…これで、なんとかなったのかな…。」


タウロは頭を整理しながら宿屋に戻る事にした。


自分が狙われたのは、エアリスの誘拐に邪魔だと判断されたのだろう。


実際、ウワーキンの邪魔を何度もしているのだ。

ウワーキンが自分を脅威だとヴァンダイン侯爵夫人に進言したに違いない。

そして、実際にあちらの狙い通りに、自分は殺されるところだった。


「…あちらも相当本気になってきたという事かな…。それにしても、白昼堂々狙ってくる程の実力者か…。エアリスに害が及ぶ前にけりをつけないと。」


タウロは前世の物語などであるあるの、自分が死んだ事にして敵を出し抜くという方法も思いついたのだが、考えてみたら標的の自分がいる方がまだ、相手の狙いがはっきりすると思った。


そう、また自分の命を狙わせる方が、刺客の厄介な猛毒針を自分に向けさせる事が出来る、あれは近衛兵でも耐えれるとは思えない。


「『毒完全耐性』を能力として得たからには…。」


タウロは珍しく今回は根に持っていた。

流石に助からないと思ったのだ。

それに、毒が思いのほかというか、文字通り死ぬほど苦しかったのだ。


「やられたら、やり返す…、倍返しだ!」


タウロもリアルでこれを言うとは思っていなかったが、本気で口から洩れた言葉だった。


となったら、普通に宿屋に帰ろう。


多分、自分に気づけば刺客は相当、動揺するはず、『気配察知』を使ってその驚きだけでも感知してやろうと思うタウロだった。



宿屋の前まで帰ってくると、案の定『気配察知』に自分に向けられる大きな驚きを発する気配を察知した。

相当動揺しているのか距離が離れていくのがわかる。


ふふふ。驚きすぎて『気配遮断』が仕事してないよ、刺客さん。


タウロは追いかけようかとも思ったが、相手は一流と思える刺客だ。

追い詰めても返り討ちに遭う可能性もある。


まずは驚かせただけでも、収穫だと思っておこう。

それに、お腹がもの凄く減っている。

死地から戻るのに『超回復再生』がフル活動してくれたのでその為かもしれない。

早く、夕飯を食べたい。


「あ、タウロお帰りなさい。あら?ちょっとやつれた気がするんだけど気のせい?」


エアリスがタウロを見るなり指摘した。


鋭い!


タウロはエアリスの洞察力に舌を巻いた。


これは隠してもすぐバレる可能性が大きい、黙ってたら絶対怒られる!


咄嗟にタウロは本能で危険を察知して、護衛の近衛兵も呼んで日中の暗殺劇を話す事にしたのだった。


「…それは、暗殺ギルドの刺客の可能性があるな。」


近衛兵の1人が指摘した。


「針に猛毒の様な特殊な暗殺技術は確かに暗殺ギルドの可能性が高い。」


もう1人も頷く。


「それより、君、何で助かってるんだ!?」


近衛兵4人はそこが一番重要だった様で、タウロは囲まれると体中を見られた。


「ははは…。僕、毒に耐性があったので大丈夫でした…!」


詳しく答えると説明が厄介な能力もあるので、そういう事にした。


「そうなのか?それでも致死性の猛毒から助かるとは…、奇跡だな。」


呆れる近衛兵達だった。


「まあ、ヴァンダイン侯爵夫人が雇ったのは十中八九暗殺ギルドの人間だろうから俺達もこれまで以上に気をつけないとまずいだろうな。」


近衛兵達が団結している中、エアリスはタウロが死にかけた事にショックだったのか涙を浮かべていた。


「あ…、だ、大丈夫だから!ほら、僕、ピンピンしてるからね?」


「…そうだけど…。私のせいでごめんなさい。」


エアリスは鼻をすすり、泣きそうになるのを我慢するのだった。

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