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152話 あちらの狙い

エアリスの誘拐未遂から数日が経った。


コノーエン伯爵が誘拐未遂の報告を聞いて護衛を倍に増やしてきた。

二人は普段通りエアリスの側に付き、後の二人は離れて周囲を警戒する役割に就いた。


その結果、遠めからエアリスとタウロを監視しているらしい者がいる事が発覚した。

タウロの『気配察知』にも引っ掛からなかったところをみると、少なくとも気配遮断系スキルを持っている相手の様だ。


近衛兵が気づいたのは高感知系スキルと経験と分析力だった。


時折『視線感知』スキルで視線を感じるが、姿を確認できなかったので、こちらが場所を移動しながら視線を感じる場所、感じない場所を確認してその対角線上に範囲を絞り、タウロとエアリスの宿屋を監視し易い場所を特定したのだという。


「あちらに気づかれない様、他の仲間に応援を頼んで現場に踏み込みましたが、紙一重で逃げられました。他にも『鷹の目』を使って監視してる者がかなり離れたところにいたのですが、こちらは捕らえたら一介の冒険者だったので依頼主に関してはギルドを通して聞いてくれ、の一点張りです。」


雇われた冒険者にするとそう答えるしかないだろう。

そして、ギルドは守秘義務があるから、依頼主を話す事はない。

監視するだけでは違法にならないので、ギルドを責めるわけにもいかない。


それにしても、近衛兵から逃げ遂せた者が気になる。

ヴァンダイン家の監視を任せていた冒険者の報告にあった、こちらの監視に気づいた者かもしれない。

紙一重で腕利きの近衛兵から逃げ遂せるのだから、相当な実力者ではないだろうか?


ヴァンダイン家の人の使い方は下手だなと思うタウロだったが、そんな相手だからこそ、ここまで順調に有力貴族をエアリス側に引き込む工作活動をお金をかけてやってこれたのかもしれない。


あちらも、巻き返そうとお金をばら撒き始めた、とこちら側についた貴族から報告があった。


だがヴァンダイン侯爵夫人の醜聞の噂は貴族社会でかなり広がり始めている。

それが、侯爵家の乗っ取りなのだから他の貴族にしても聞き捨てならないものなので一度信頼を失うと取り戻すのは難しいだろう。


もし、逆転を狙うとするならば、エアリスを取り戻し、ウワーキンとの間に子を作る事だが、それだとエアリスが素直に従うわけもない。


となると、エアリスを取り戻した上で用意した子供の親だと触れ回り、エアリスは不慮の事故に遭う事が理想だろう。


死人に口なしだ。


問題は用意する子供の件だが、冒険者からの報告ではヴァンダイン侯爵夫人は屋敷に籠って姿を確認できないらしい。

なんでも半年以上ずっと確認できていないらしい。

もしや死んでるのでは?とも思ったが、それは無いらしく侯爵夫人の実家の伯爵家の人間が時折面会してる様だ。


監視の冒険者は「妊娠しているのでは?」と、予想していた。


実家の伯爵家の人間が、持ち込んだ荷物に乳母車が混じってたそうだ。


という事は、出産が近くなったからエアリスを連れ戻し、子供の親に仕立て上げるつもり、ということになりそうだ。


そんな事にエアリスが素直に従うわけがないので、侯爵夫人の計画ではエアリスの命は無いだろう。

エアリスを攫ってヴァンダイン家の屋敷で不慮の事故で亡くなってくれればいいのだ。

もしかしたら、産後不良で亡くなるという筋書きなのかもしれない。

そして、残った子供を祖母の侯爵夫人と夫のウワーキンが盛り立てて侯爵家は万々歳というわけだ。


それで夫人とウワーキンの目の黒い内は侯爵家は今後も好き勝手に出来る事になる。


これで大体、あちら側の目的ははっきりしてきた。

だが、それはエアリスを連れ戻せたならの話だ。


なので近いうちに、また、あちらが手を打ってくるだろう。


だが、近衛騎士の護衛が増強されたのでそれも難しいはずだが…、策はあるのだろうか?


タウロは自分が敵だったらどういう手を打つか考えるのだが大したものは思いつかなかった。


「タウロ?今日はフルーエ王子との面会日じゃないの?」


エアリスが、部屋で考え込むタウロに声をかけた。


「あ、そうだった。大事な報告があるらしいから、行ってくるね。」


今回はエアリスは置いていく事にした。

今、エアリスが動き回ると敵に付け込む隙を作る事になると近衛兵と話し合ったからだ。


近衛兵もいるし、タウロは安心してフルーエ王子のいる王城まで出かける事にするのだった。

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