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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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149話 友との面会

タウロとエアリスはセバスに急かされると、馬車に乗せられて宿屋を後にした。


「セバスさん、ところで今は?」


「私は今も殿下にお仕えしております。」


タウロの疑問にすぐにセバスは答えた。


「じゃあ、この馬車は?」


「王家の馬車を出すとタウロ様が困るだろうと殿下のご配慮です。」


「あ、覚えていたんですね。前回の事を。」


前回の事とは、リバーシ指南役のタウロを王家の馬車で迎えに行った際、大騒ぎになって宿屋を替える羽目になった事があったのだ。

その事をフルーエ王子は聞いて覚えていたので今回タウロを迎えに行く際には馬車を貴族の使うレベルの物に下げて行くよう指示したのだ。


「当然です。殿下は今でもタウロ様を大切なご友人だと思ってらっしゃいます。その友人を困らせたくないからとおっしゃっておられましたよ。」


セバスは微笑みながら答えた。



タウロとセバスのやり取りを聞いていたエアリスは王子の名前が出てきたり、その王子とタウロが友人という言葉が相手から出てきたりと、想像の上を行く内容に内心戸惑っていた。


エアリスが知るタウロは農民の子供で母を幼くして亡くし、暴力を振るう父親から6歳で逃げてその後、8歳で冒険者になったという経歴だ。


どこに王族との接点があるのか全くわからなかった。

貴族との接点にしてもダンジョン調査で知り合った学者のシャーガや、ガーフィッシュ商会からの紹介でのものだったので直接はないと思っていたのだが…。


そう言えば面会した貴族の中には、タウロを知っている素振りを見せる者もいた気がする。

ずっと私の話が中心だったからタウロの話にはならなかったけど…。


エアリスはひとり、隣に座る仲間の過去が気になってグルグルと想いを巡らすのであった。



「大丈夫ですかな、エアリス嬢。何か気になっているご様子ですが?」


「あ、いえ…、タウロが王族と友達と聞いた事がなかったので…。」


エアリスは正直にセバスの疑問に答えた。


「あ、ごめん。…あんまり言って誤解されたり、勘違いされても困るから秘密にしてたんだけど…」


タウロは、リバーシの指南役として以前に王都に訪れた事がある事をエアリスにこの時初めて説明したのだった。


「…私がマーチェス商会でリバーシ買って帰って家でやった時、負けたのはわざとだったのね?」


以前、エアリスが王都で流行っているゲームよ、と自慢げにタウロに教えて対戦した事があったのだが、タウロはほとんどエアリスに負けていたのだ。

それが、わざとだった事が判明したのだった。


「…ごめん。」


「…もういいわよ!タウロが私に花を持たせてくれたのはわかるから。」


エアリスは頬を膨らませ怒る素振りを見せたが、本当にはそこまで怒っていないのは誰でもわかった。


そんなやり取りをしていると馬車は王城に到着した。


ひと時の和んだ雰囲気から一変、エアリスは現実に引き戻されると緊張した。

いくら父親が中立派の重鎮だったとはいえ、子供のエアリスは王家と関わる事はなかったのだ。

緊張するなと言う方が無茶だ。


その一方でタウロは集中して足を運んでいた事もあり、緊張よりは懐かしいなと思う気持ちが勝っていた。


「エアリスは王宮は初めて?」


タウロは馬車を降りてセバスの案内で王宮の中を進みながら緊張するエアリスを和ませようと話しかけた。


「あ、当り前じゃない!普通、子供の私が出入りするなんて有り得ないのよ!」


エアリスは思わず緊張で声を上擦らせてしまい、王宮の廊下に声が響いた。


咄嗟に自分の口を塞ぐとエアリスは周囲を見渡す。


「大丈夫ですよ、ここまで来るとフルーエ王子殿下の住まいの領域です。多少騒いでも咎められる事は、ありません。」


セバスがエアリスを安心させる様に言う。


エアリスがその配慮に感謝して会釈しているとセバスが立ち止まった。


タウロが見慣れた重厚な扉だ。


セバスがノックして、タウロとエアリスが来た事を告げると、中から「入れ」と、応答があった。


扉が開くと窓からの光を背にフルーエ第五王子のシルエットが浮かんで見えた。

尖がった耳からエルフの血が入っている事が一目でわかる。

それにエルフのイメージと違うぽっちゃり体型…ではなく、そこには背が伸びてスレンダーなエルフのイメージそのままの体形になった、フルーエ王子が立っていたのだった。

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