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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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148話 面会の日々

タウロとエアリスはコノーエン伯爵との面会を皮切りに、影響力を持つ有力貴族と面会して回った。


貴族との面会は会う予定を取り付けるだけでお金がかかる。

貴族という存在自体がブランドなのだ。

いくら、ヴァンダイン侯爵の娘とはいえ、貴族なのは父親の方だったのだ。

タダで会う気は毛頭なかった。


そんな中、面会して回ったのだが、ヴァンダイン侯爵夫人の影響力を恐れる貴族もいた。

だが、一人娘であるエアリスに味方する方が有益と判断する貴族も多かった。


「うちの息子が丁度まだ独身でしてな…。エアリス嬢と婚約出来れば、両家の結びつきも強くなって協力が容易になりますが?」


と露骨に婚約を後ろ盾の条件に出す貴族も多かった。


さらには長年、中立派の重鎮のひとつであったヴァンダイン家と親交を結ぶチャンスとばかりに好意的に協力を約束する貴族もいた。


何より面会の間エアリスの背後には近衛騎士団から派遣された騎士がいた。

この軍部の有力者であるコノーエン伯爵が後ろ盾に付いてる事も、タウロとエアリスという子供だけの交渉にも関わらず、後押しとなってうまく作用してくれたのだった。



一週間余りが経ち、ヴァンダイン家の一人娘エアリスが自分の後見人を探していて、ヴァンダイン侯爵家の正当な血筋の存続を守る為に動こうとしている事、それがヴァンダイン侯爵夫人とその間男によって阻まれようとしている事が貴族社会で囁かれ始めた。


これはタウロの狙ったものだった。

ヴァンダイン侯爵夫人は、ひとり娘のエアリスは領地の屋敷にいて婚約者と仲睦まじく過ごしていると嘘の情報を流していたから、それを打ち消す為に事実を噂で流して貰ったのだ。


この噂にヴァンダイン侯爵夫人もやっと気づいたのか、王都のヴァンダイン侯爵屋敷が突如慌ただしくなったらしい。

調査依頼をした冒険者チームからの報告では領地は執事の1人に任せて夫人は王都に滞在してるそうだ。

王都周辺の領地持ちの貴族にはよくある事で、領主のいない今、領地を空けるのはそれなりに問題なのだが、表向きは娘の婚約者が領地にいるから大丈夫と言いたいらしい。


そして、王都屋敷には、色んな人間が出入りを始めていて、見張りをしていたこちらに気づく様な、その筋の者もいたそうだ。


「あれは、冒険者とはまた違う気配を持ってたよ。もしかしたら裏の人間の可能性もあるから、気を付けた方がいい。C+ランクの俺をみつける時点でただ者じゃないよあれは。」


盗賊系職冒険者からの定期報告で、タウロは忠告された。

とはいえ、エアリスに危害を加えるとは思えない。

なぜなら、そうなるとお家断絶騒ぎになり、ヴァンダイン侯爵家の血筋が入ってる他所の家から家を継ぐ者を立てる事にもなりかねないからだ。

そうなると夫人とウワーキンは今までの様に好き勝手出来なくなる。

それだけは避けたいはずだ。


…となると。


エアリスを密かに連れ戻す為の人間を集めているのが一番に思いつくのだが、その為だけに裏の人間を雇うだろうか?

それに噂が流れた以上、エアリスに手を出しにくい状況になっている。


気を付けるに越した事は無いが、エアリスには非番の近衛騎士の護衛も付いているし、当分は安全だろう。


今は、エアリスの後見人を早く決めなくてはいけない。

公平性があり、力があり、今後に口を挟まない権力欲が無い人物が望まれるが、今のところ出会った貴族はヴァンダイン家の大きさ、力を利用したい者ばかりでエアリスの将来を保証できそうな人物はいなかった。


流石にそんな都合の良い貴族を探すのは難しいのかもしれない。

ある程度妥協も必要なのか、エアリスとも話し合ってはいるが中々決められずにいた。


「タウロ、この後、会う予定ないわよね?」


エアリスが、タウロの部屋の窓から外を眺めながら聞いてきた。


「うん?今日はもう、さっきの面会で最後だったけど?」


「貴族の馬車っぽいのが表に止まったわよ。」


「誰だろう?うちなのかな?」


こんこんこんこん


その会話をしていると、ドアがノックされた。

やはり、うちだったようだ。

どうやら、エアリスに会いたい貴族があっちからやってきた様だ。


「はい。」


タウロは返事をするとドアを開けた。

すろとそこには見た事がある人が立っていた。


「お久しぶりでございます、タウロ様。今日は、お迎えに上がりました。」


そこに立っていたのは、この国の第五王子であるフルーエ王子の側近であるはずのセバスだった。

セバスはタウロがリバーシの指南役としてフルーエ王子に教えていた時、馬車でよく迎えに来てくれていた人物だ。


「セバスさん!?お久しぶりですが、どうしてここに?王子殿下の側近だったはずでは?」


タウロは想像していなかった訪問者に驚くのであった。

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