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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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147話 団長との面会

近衛騎士団本部の執務室は騎士達の豪奢な板金鎧に反して、地味だった。

質素だが清潔、無駄な物は排除して必要なものだけ置いている感じだ。


この執務室の主の性格が出ているのだろう、回りくどい事は言わず、直言した方が良さそうだ。


エアリスと二人、しばしの間、近衛騎士団団長コノーエン卿の執務室で待っていた。

窓から外を覗くと、眼下には近衛兵が訓練している光景が広がっている。

さすがこの国の王家を護る騎士団だ、人物鑑定が出来なくても、冒険者としてそのレベルの程は容易に理解できた。


そこにコノーエン伯爵が入ってきた。

先程までの板金鎧姿ではなく、平服という楽な姿であった。

時間がかかって遅れたのは、獣人族の、それも、獅子人族で長い髪がふさふさしてるので水浴び後、乾かすのに時間がかかったのかもしれない。


「お待たせしたな。楽にしてくれるとこちらも助かる。」


コノーエン伯爵はそう言うと座る様に促し、自分も二人の向かい側に座った。


「それで、話とは何だろうか?シャーガからはぜひあって欲しいと懇願されたのだが、相手がヴァンダイン侯爵のご令嬢と聞いたらこちらも断れない。それに…」


コノーエン伯爵は一度言葉を切るとエアリスを見つめる。


「…それに、ダンジョンではヴァンダイン侯爵を守れなかったのは同行していた我が近衛騎士団の失態だ。誠に申し訳ない。」


コノーエン伯爵は深々と頭を下げてエアリスに謝罪した。


「頭を上げて下さい伯爵。父は調査隊と共に行動している最中、神隠しにあったかの様に突然消えたと聞きました。それでは誰も責めるわけにはいきません。もしかしたら、他の人だったかもしれないですし…。」


「…だが、それが護衛対象であったヴァンダイン侯爵だった事は事実です。それは守れなかった我が騎士団の過失です…。」


「もう、止めましょう。ダンジョンは何が起きるわからない領域です。父もそんなダンジョンに潜る度に覚悟はしていました。」


「…その消えたヴァンダイン侯爵はどこのダンジョンで消えたのですか?」


タウロは、エアリスが望むなら、シャーガに頼んで許可を貰い、そのダンジョンに花を手向けに行けないだろうか、と思ってコノーエン伯爵に聞いた。


「国の極秘事項だが…、ここから半日のところにある『バビロン』と呼ばれるダンジョンだ。ただ、深層で消えたのではなく、一層で新たに発見された部屋の調査中に消えたと聞いている。」


「一層で新たな部屋?」


エアリスもその情報は初めて聞いた様で、聞き返した。


「この事は、極秘中の極秘なので秘密で頼みます。今、現在、『バビロン』は101層まで解明されているのだが、その1層から101層まで同じ下に降りる階段の側に小さい部屋が突如現れたらしい。その調査の為にヴァンダイン侯爵が責任者として隊を連れて赴いたのだ。結果、調査中のヴァンダイン侯爵がその部屋で消えたという報告です。」


「重要な事を教えてくれてありがとうございます。…それに関わるというかその為にヴァンダイン家に起きたというか…」


エアリスが、本題であるヴァンダイン家の騒動について話し始めた。


「なんと!そんな事が!?…侯爵夫人の醜聞は噂で聞くには聞いていたが、浮気は貴族ではよくある事、だがそれが事実なら家を乗っ取ろうとする行為は貴族社会の根底を揺るがす悪行と言わざるをえないだろうな…。」


「今は、証拠を集めている段階ですが、あちらはヴァンダイン侯爵家の権力を振るってエアリスに害をなす可能性が十分あると僕は思ってます。なので、今はその権力に太刀打ちできる支援を求めてシャーガさんに伯爵をご紹介頂きました。」


タウロの言葉にコノーエン伯爵は、


「正直な話、自分は新興貴族なのだよ。なので貴族への人脈は武官としてのものだけで、力になれるとは到底思えない。だが、この王都で行動する間、エアリス嬢の護衛に人を出そう。」


と、協力を快諾してくれた。


「「ありがとうございます!」」


タウロとエアリスは立ち上がるとお礼を言うのだった。


「…それにしても、君。タウロ君と言ったか。歳はいくつだい?」


コノーエン伯爵はタウロに興味を持った様だ。


「12歳です。」


「そうか…。うちの息子と同い年だが、その腕前でしっかりした物言いだな。今後、他の貴族と会う時は今以上に気を付けたまえ。貴族は何を考えてるか分からない者の方が圧倒的に多いからな。エアリス嬢を守ってくれよ。」


息子を見る様に目を細めてタウロを見つめるとアドバイスした。

コノーエン伯爵も苦労しているのだろう。


「はい!」


タウロは返事で答えると、エアリスと共に協力に感謝を述べて退室するのだった。

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