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141話 チームの危機!?

クロエは自分のところの冒険者を守る為とはいえ、貴族、それも侯爵の関係者と思われる人間を相手に噛みついてしまった。


内心では、「やっちゃった…。私、終わったかもしれない…。」と思っていたが、性格上普段から沈着冷静なお陰で表情には微塵にも出さずに済んでいた。


「…ぐ!兵士達よ、その辺で許してやれ。吾輩も争いはこのまぬ。」


自分で言いだしておいて、あたかも兵士が勝手にやった事の様に取り繕い、及び腰になった。


クロエはその反応に、「え、今のでビビってくれたの?もしかして大した人じゃないの?」と、感じて上手く収める方向に持って行く事にした。


「こちらもいらぬ争いをするつもりはありません。この村の治安もギルドは任されています。今後はお気をつけ下さい。」


クロエはそう言うと、内心、ドキドキしながらギルドの建物内に戻って行った。



「…さっきの者達はどこにいった?」


クロエがギルド内に戻るのを見届けたウワーキンは兵士達に改めて視線を送ると、トラブルの相手がいなくなってる事に、この時やっと気づくのであった。




村の民家が並ぶ、路地裏。


「クロエさんのお陰で助かったな。」


「本当にな。エアリス、大丈夫か?」


シンとルメヤが大きく息をつくとエアリスに声をかけた。エアリスは黙って頷いた。


「とりあえず、うちに帰ろう。タウロに相談した方がいいよ。」


シンが提案すると、エアリスはやっと「そうね。」と答えて戻る事にしたのだった。



家に戻るとタウロが丁度起きてきて、窓から三人に気づき寝惚け眼で「おはよう…。」と挨拶したが、三人の雰囲気に気づくと「何かあったの?」と聞くのであった。



三人は家に入るとギルド前での一部始終をタウロに説明した。


「なるほど…。偶然でここに来る様な人物ではなさそうだね。…それにしてもその人、エアリスの婚約者と言っても、没落貴族の次男なら、名乗る爵位はないはずだよね?それにエアリスの家の家名を名乗る資格も無いはず…、これは問題だよ。」


タウロはニッコリと、陰のある笑顔を見せた。


「タウロ、笑顔が怖い怖い…!」


その笑顔にシンとルメヤがツッコみを入れるのだった。


「エアリスは、どうしたいの?」


タウロはエアリスの意思を確認した。

そこが最も大事なことだからだ。


「…家は取り戻したいけど…。私はもう、母とは縁を切っているもの。それにあんな男と結婚なんてありえないわ。」


「…わかった、…うん。タウロ、動きます。」


前世で誰かが言っていた台詞をタウロは口にすると、エアリスにあれこれと質問を始めた。

その内容にエアリスは「?」と思うものもあったが答えていく。

質問が終わると、タウロは考えをまとめようと唸っていたが、一人頷くと自室に戻り手紙を数通書き始めた。


その間、三人はどうしたらいいのかわからず、手持無沙汰な時間が過ぎ去っていったが、手紙を書き終わったタウロがエアリスを呼んで、エアリスにも手紙を書く様にお願いした。

タウロが求める内容のものをエアリスは綴る。


「…お父さんの弟、私の叔父さんはヴァンダイン侯爵家よりも下の伯爵家に婿養子で入ってるから助けを求めても難しいと思うわよ?」


手紙の内容は叔父への助けを求めるものだが、エアリスの言う通り普通に考えると寄親とも言うべき侯爵家をはばかって動いてくれないだろう。大丈夫だろうかと心配になるのも仕方が無い。


「何も出来なくても、心情的に味方になってくれればそれだけで十分だから。」


タウロの答えにエアリスは疑問符しか頭に浮かばなかったが、タウロが何か考えてくれてるのだ。信じようと思うのだった。


「俺達は何をすればいい?何でもやるぞ!チーム『黒金の翼』の一員だからな!」


「そうだ。こんな時こそ仲間としてやれることがあるはずだ。」


ルメヤとシンは鼻息荒く意気込んだ。


「二人ともありがとう。みんなと仲間で良かった。」


エアリスが二人に感激して涙目になった。


「うーん、じゃあ、『黒金の翼』は解散でお願いします。」


「おう!任せとけ!」


「うん、解散だな、わかった!」


「解散なら簡単にできるわね!」





「「「え!?」」」


三人は、タウロの正気とは思えない言葉に動揺した。


「ど、ど、どう言う事だよ、タウロ!」


「何でだよ、タウロー!」


「嘘だと言ってよ、タウロ!」


室内は阿鼻叫喚状態になった。


「あ、間違えた。一旦休止でお願いします。エアリスと僕は王都に行ってきます。」


「「「え!?」」」


三人はタウロの撤回した内容にまた驚くのだった。

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