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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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138話 浮遊実験

タウロ達一行は、昼には山村を出て帰路に就く事になった。


去り際、村人達が感謝の言葉と共に名残惜しそうに見送ってくれた事が印象的だった。

中には少し涙ぐむ者もいて、それに感化されたルメヤが涙目になっていたが、タウロは気づかないフリをする事にした。

大工仕事を手伝ったり村人と交流する時間があったので友情が芽生えたのかもしれない。


それから数日、また野宿しながら帰路についていたのだが、途中タウロは夜になると新しく覚えた能力『浮遊』を試していた。

ファンタジーの醍醐味の1つである空を飛ぶ事がついにできるのかもしれないと内心ワクワクしていたのだ。

試さずにはいられなかった。


「よし、みんな起きてきてないね?…『浮遊』!」


唱えるとタウロの身体が軽く浮いた。


「おお!面白い!…でも、もしかしてこれが限界?」


タウロの体は浮いたが、感想の通り、50センチほど浮くとそれ以上は限界なのか浮き上がる気配がなかった。


「…うーん。確かに浮遊だけども…、僕の想像してたのと違う!」


空中で浮いたままがっくりと、うな垂れるタウロだったが、実験を続けた。


「浮いたまま木に近づいて…っと。」


タウロは空中を歩くと進める事を確認しながら、木に掴まった。

そしてそのまま、手の力だけで木をするすると登り始めた。


「おお!この『浮遊』はつまり、僕の体重を軽くしてくれるのであって、高さ制限で浮いてるわけじゃないって事だね!」


木の頂上まで登ると、手を離してみた。


ゆっくりと降りていく。


「…あれ?これは、もしかして…。」


タウロは木を蹴って距離を取ると、タウロは急に落下した。


「わあー!」


地面スレスレでタウロの体は止まり、跳ねる様に50センチ程まで浮き直した。

感覚としては見えないクッションに勢いを吸収された感じだ。


「…怖かった。…これはつまり僕を中心に『浮遊』効果が多分、球状に出ていて、木の側だと木に作用しながら下にゆっくり降りていくけど、範囲外の距離を取ると作用範囲までは真っ逆さまになるという事かな。」


冷や冷やしながらタウロは、『浮遊』の特性を理解した。


「何はともあれ、落下ダメージは相殺できるみたいだから、使い方によっては、これは使えるかな。それに案外魔力の消費がほとんど無いっぽい。」


浮いたまま、ジャンプしたり、走ってみたりしながら、確認した。


「あとは水の上ではどう作用するか。」


確認したくなったタウロは『真眼』で周囲の地形を確認した。

森の中に川がある。


「よし、あそこの川で試してみよう!」


タウロは、浮遊したまま森の奥に駆けて行く。


だが、それがいけなかった。


エアリスの張った結界の境界線を越えたのだ。

エアリスは飛び起きると一緒にテントで寝ていたリーダに警戒を呼びかけて、シンとルメヤ、御者の男も慌てて起きてくる。


川へ向かっていたタウロの耳にもその騒ぎが微かに聞こえてきた。


「あ、結界忘れてた…。」


夢中のあまり、自分の落ち度に気づいたタウロは慌てて引き返した。

野営場所に戻ると、武器を身構えたエアリス達がいたので、結界を破ったのは自分だと告げた。


「私も、張っていたのが簡易結界だったから、タウロとわからなかった落ち度はあるけど、こんな夜中に何してるのよ!」


「…ごめんなさい。」


「…はぁ。みんな、騒がせてごめんなさい。タウロの説教は私がしておくからみんな休んで。」


エアリスはリーダ達に寝る様に促すと正座してるタウロに向き直った。


「あなたの事だから、どうせまた能力を覚えて試してたんでしょ?」


…読まれてる。


タウロはエアリスの勘の良さに冷や汗をかいた。


「『浮遊』魔法というのを覚えて、試したくなりました…。」


「…!『賢者』や『教皇』、『勇者』スキルなんかが覚える激レア能力じゃない!」


思わぬ能力にエアリスは小声だが強い語気で驚いて言った。


「そうなの?でも、それほど大した能力じゃなかったよ?」


タウロが実験の途中結果をエアリスに報告した。


「そういうのは、熟練度を上げると汎用性が増したり、その上の『飛行』に成長したりするのよ?」


エアリスが呆れながら答えた。


「そうなの?でも、僕の能力の覚える条件、特殊過ぎる上に制限がかかる事が多いからなぁ…。」


自分の事ながら、自分のスキルを理解できてないので、エアリスの言う様な、常識的な覚え方をするのか疑問しか残らないのであった。

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