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135話 グリフォン討伐

山を登っていくと目的の場所から少し離れた所まできた。

これ以上近づくとグリフォンの警戒網に入る可能性がある。


「あなたは、離れて待機してて下さい。巻き込まれない様にお願いします。」


そう告げると、猟師は大きく頷き、急いでその場を離れた。


「で、私はどうすればいいの?」


エアリスはやる気満々で聞いてくる。


「じゃあ、この場に結界と魔法トラップを張って。」


タウロは周囲を確認すると、そう答えた。


「え?ここで、いいの?こんなに離れてたら、グリフォンが気づかないから意味ないんじゃないの?」


「大丈夫。この距離ならぎりぎり射程範囲だから。」


タウロは答えると周囲の木を確認して登り始め、マジック収納から縄を出して木と木を括り始めた。

その作業は念入りで、見上げる空にはあたかも蜘蛛の巣の様に縦横無尽に括られた縄が広がっていった。


「なるほど。これで上空から接近しづらくしたのね?」


エアリスは広がる光景に、タウロの思惑を見て取った。


「ついでだからエアリス、耐魔法防御結界もお願い。」


グリフォンと言えば、風魔法を使うらしいから、その対策だ。

エアリスもそれはわかったので、素直に従う。


「でも、本当にここまでグリフォンが来ないと意味ないわよ?」


結界魔法を唱え終えると、エアリスはタウロに確認した。


「ここに来る前に仕留めるのが理想だけど、グリフォンは一頭とは限らないでしょ?相手はBランク帯冒険者も苦戦する相手だから準備は大事だよ。」


「まあね。伝説ではグリフォンは襲ってきたドラゴンを逆に退散させた事があるって話もあるから…。慎重なのは大事よね。」


え?そんな伝説あるの!?


タウロはエアリスがしれっと話した情報に無言で目を見開くとエアリスの方を見た。


「グリフォンってそれほどなんだ…。」


「そうよ、だから一流の冒険者でも相手をする人は少ないのよ。相手にする人はよっぽどおかしいか、切羽詰まってる人だと思う。」


「…うん、今からそのグリフォンを相手にする僕の前でする話じゃないよね?」


タウロはオブラートに包まないエアリスにツッコミを入れるのであった。



タウロは、近くの一番高い木に登ると、『神箭手』によって弓の射程距離範囲なら肉眼で見えるのでグリフォンの巣を直接確認する。


「グリフォンの数は2頭…か。エアリス、そろそろ始めるよ。」


下で待機してるエアリスに知らせる。


「いつでもOKよ。」


タウロはその言葉に頷くと、下に降りると、上空に向かってアルテミスの弓を引き絞る、手には2本の矢がつがえてある。

見上げる頭上はもちろん、縄が幾重にも張られている。


「『神箭手』遠距離狙撃&光の矢&連射…!」


タウロがそうつぶやくと、矢を放った。

二本の光の矢が幾重もの縄をかいくぐり、異なる弧を描いてグリフォンの巣まで飛んでいく。

タウロはさらに二本の矢をつがえると即座に放つ。


空気を切り裂いて放たれた矢は、巣にいるグリフォンに吸い込まれていく。


タウロからはそれを確認できないが、グリフォンの甲高い鳴き声が聞こえてきた。

命中した様だ。

手応えはあった。


『真眼』にグリフォンのシルエットが入ってきた。

こちらに一頭が高速で近づいてきている。

タウロは森の中なので肉眼で確認できないが、『真眼』でシルエットを確認できるのでまた、上空に続けざまに矢を放った。


しかし、


「…躱された!」


そう、タウロが言い放って上空を見ると突っ込んでくるグリフォンが迫っていた。


が、グリフォンは結界に弾かれ、それと同時に、トラップ魔法にかかり、上空で雷撃に痺れて甲高い鳴き声を上げて苦しんだ。


タウロはその隙を見逃さず、普通の矢を放った。

光の矢を放つ程の余裕はなかったからだ。


『神箭手』による、力補正、そして、アルテミスの弓による威力増大で普通の矢は普通の威力ではなかった。


矢はうなりを上げて、グリフォンを貫通する。


「よし、仕留めた!」


タウロが手応えに勝利を確信した瞬間だった。


グリフォンは最後の力とばかりに風魔法『真空刃』をタウロに向けて放った!


「…それは読んでたよ。」


グリフォンの放った『真空刃』は、エアリスがあらかじめ唱えていた耐魔法防御結界に相殺されて霧散した。


グリフォンはそれを確認したか出来なかったか上空で絶命すると蜘蛛の巣の様に張った縄の上に落ちて止まるのだった。


その瞬間、脳内に『世界の声』が響いてきた。


「特殊スキル【&%$#】の発動条件の1つ<空の気高き番人を討伐せし者>を確認。能力[浮遊]を取得しました。」


「…これで、この山林にも獣が戻ってくるはず…。」


タウロは『世界の声』は他所に、ほっとすると、エアリスに結界のお礼を言い、死骸の回収をするのだった。

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