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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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124話 工房巡り

「今後の取引を考えるとやり過ぎではなかったでしょうか?」


リーダが商談後、タウロと二人になった時に呟いた。


「商品の性能を考えるともっと高く価格を設定しても売れると思うので、割り引かずともお互い納得だと思いますよ。」


タウロがリーダの心配を拭って上げた。


「すみません、大商会相手にこんなに沢山売れる事今までなかったので、何となく心配になってしまいました。」


リーダにしてみれば、片田舎の小さい商会が大都市の大商会を相手に対等の取引が出来る事がそもそも、嘘の様な話だった。

その背景には、ガーフィッシュ商会との取引実績がある事が、相手商会へのある程度の牽制に繋がっていた。


今回の取引は、勢いのある王都のガーフィッシュ商会がわざわざ取引する小さい商会の商品となれば、商売の街でもあるオサーカスの商人が興味を持たないわけがない。

キシワンダ商会は商品の噂を耳にし、背後にいるのがガーフィッシュ商会だと知って取引に踏み切ったのだ。


キシワンダ商会にしてみればこの街にガーフィッシュ商会がまだ支部を作ってないので、牽制の意味もあった。


お互い、縄張りは大切にしようね、という商会同士の思惑もある今回の取引であった。



リーダとタウロはキシワンダ商会の紹介で工房をいくつか回った。

オサーカスの街にも製造拠点を作る為だ。


さすが王都に次ぐ第二の都市だけあって、技術力はもちろん、規模が大きい工房が多い。

だが今回は技術はあるが規模は小さめの工房をいくつかまとめて契約する事にした。

大きいところはやはり大きいところとの取引があり、そちらを優先する傾向があるからだ。

後から来た上に小さい商会だとキシワンダ商会からの紹介でも、相手にして貰うには信用も信頼も実績も無さ過ぎるのだった。


その点小さい工房は、小さい商会の依頼は受けてくれるし、納める相手がキシワンダ商会と聞くと今後の取引に繋がると張り切ってくれる。

お互い利益がある契約だった。


契約を結んだ工房の職人に冷蔵庫の見本を見せると一様に、


「こう言っちゃなんやが、田舎の工房が作ったという割に、よく出来とるな…。」


隅々まで職人は眺めると感心した。


「核心部分は、基本、うちとの特別契約を結んだ工房が製造したものを送りますのでそれを嵌めて完成になるようにお願いします。」


「それじゃ、そうするわ、ほな、この継ぎ目なんやけど…」


職人は早速、技術の話について質問をしてきた。

それにはタウロが応対し細かく説明する。


「こりゃ驚いた!ボウズ凄いやんけ!自分も職人やったんか!」


職人達は少年であるタウロが細かい技術について説明するどころか実際にやって見せたのでさらに驚いた。


「神童、現るやな!」


タウロは職人達に質問攻めにあうのだが、技術について他で使用するのは良いが技術を口外するのは極力しないで下さいね、と釘を刺した。


「もちろんや。技術は職人の命やからな。ただで教えてもろうとって、人にバラしてたら仕事失うわ。わはは!」


そういうと、職人達はタウロを手本に早速真似しながら、技術の習得に励むのだった。




商談成立の翌日。

前日に続きタウロは工房を回って冷蔵庫製造の技術の簡単な指導をする事になった。


その間、リーダが街を見て回って商売のヒントになりそうなものをみつけたいというので、一応、用心の為にシンとルメヤを警護に付けて街中を巡る事になった。


エアリスはそれには付いて行かず、タウロに引っ付いてずっと側で作業を見ていた。


職人達はその姿に、


「ボウズの彼女を待たせるわけにいかないから、とっとと覚えて終わらせたるわい!」


と、妙なやる気を見せてタウロの指導の元、冷蔵庫製造に必要な技術をマスターするのであった。


「ほな、お二人さん。お昼からはデートでもして過ごしてきてなー。」


「そんなんじゃないわよ!もう、男ってすぐそういう事言うわよね!」


エアリスが過剰に反応していたが、職人達にそれを冷かされると、


「もういいわよ!」


と、不貞腐れてしまった。


職人さん達、その後、ご機嫌取らないといけないの僕だから止めて。


タウロは、内心思ったが、口にしたらエアリスがまた怒るのでそれは言わずに我慢するのであった。

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