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122話 自由時間

オサーカスの街、到着翌日。


朝からリーダが取引相手に到着を知らせると、取引は明日の昼という事になり、今日は自由時間になった。


各自、自由という事で街を散歩する事になったのだが、タウロが行くところにエアリスが付いてきた。


「エアリス?」


「何?」


「自由に散歩していいからね?海を見に港に行くもよし。買い物をするもよし。宿屋で休むもよし。…ね?」


「うん。だから行きましょ。タウロが居ないと荷物持つの大変じゃない。」


そう言うとエアリスは当然の様にタウロの腕を引っ張り、人の多い通りに向かうのであった。



タウロとエアリスは色々と見て回り、買い食いをしたりとデートの様であったが、タウロは徐々に人通りの少ない地味な通りに入っていこうとする。

周囲を見ると珍しい植物やその種、道具などを扱う農家を相手にするお店が軒を連ねる通りだった。



「あ、あの山村の為の買い物ね?」


エアリスがすぐに察した。


「うん、約束したから役に立ちそうなものないかなと思ってね。」


タウロは物を鑑定できる『真眼』を使ってひとつひとつの植物を見て回ってると一つの植物に目が止まる。


「…トモロー、…これってもしかしてあっちでのトウモロコシか!」


「このぶつぶつの植物、良いものなの?」


エアリスが見た事が無い植物を物珍しそうに眺めた。


「うん。これは塩ゆでしただけでも美味しく食べれるよ。それに元々高地で出来る植物だから山村の畑に向いてると思う。」


「へー。じゃあ、買っていけば?」


「そうする!…すみません。ここにある種用のトモローを全部下さい。」


「いらっしゃい…、って、全部!?これはありがたいわー。ここだけの話、珍し過ぎて買い手がつかなかったんだわ。」


店主はそう言うと喜んで商品を包んでタウロに渡すと、


「買ってくれたお礼に、同じく南の方で育てられてる高地向けのトメートの種もおまけしたるわ!」


「トメート…、ああ、トマトか!じゃあ、それも全部下さい!」


「全部!?おまけの量じゃ駄目なんかいな?」


店主が買いっぷりが良すぎる少年に驚きながら、トメートの種も包んだ。


「よっしゃ、ほな今度こそ、こちらでは珍しい高地でも育てやすいらしい耐寒性に優れたカラシンの種を付けたるわ。これは、この量で全部だからこれ以上は売れへんで。」


店主は、在庫の無いこれも珍しいらしい品種をおまけしてくれた。


「カラシン…、何々、ハーブの一種…?カラシン…、カラシナの事かな?」


タウロは『真眼』でおまけの商品を確認すると一つの答えに行きついた。


「カラシン?」


エアリスがおまけの品を覗き込んで、聞いてきた。


「このカラシンは多分、マスタードの事なんだ。このままでも食べれるし加工して調味料にもなるから、加工の仕方を教えれば山村の特産品になる可能性もあるよ。」


タウロはそうエアリスに答えた。


「マスタードを知らないけど、特産品になるのなら、山村も助かるわね。」


エアリスはタウロの言う事をよく理解出来なかったが、タウロが言うのなら大丈夫だろうと納得した。


タウロはマジック収納に購入した全ての商品を入れると育て方も教えてくれた店主にお礼を言い、お店を後にするのだった。



エアリスはその後、今度は私の番ね、と言うと、服や装備品を買うのにタウロを付き合わせた。


順番とかあったの?と、タウロは疑問に思ったが、エアリスが楽しそうなのでまあ、いいか。と、納得するのであった。



夕方。


海に到着したタウロはこの世界に来て初めての海に感慨深いものがあった。


「タウロは初めてなんだっけ海。」


「うん、よく知ってはいたんだけどね。(この世界では)初めてかな。」


「そうなのね。じゃあ、今晩は魚介料理を食べるわよ!」


エアリスはお腹が空いたのか、タウロの海を前にした感慨は無視して夕飯を提案した。


「あ、魚介類を買い溜めしておくの忘れてた!」


タウロは目的の1つを思い出したが、


「それは、帰る時でいいから、今から食べに行くわよ。この街の名物料理!」


というエアリスにタウロは腕を引っ張られていくのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 高地で採れるトウモロコシって日本で主流のスイートコーン系じゃなくてソフトコーン系じゃない? 粉に挽いて加工するタイプの奴
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