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小説の湧き出る小川2

Love is the answer ~小さな恋の物語~

作者: レモン

 「さやかー!早くしないと遅刻するよ~!」私の母は家の1階から私を呼んだ。

 「今行くよー!」私は2階から返事した。

 私、山川さやかは中学2年生。岩井島という小さな島で、白石学院という私立の学校に通っている。

 学校に着くと親友の大村圭ちゃんがいた。

 「圭ちゃん、おはよう!」

 「おはよう!聞いた?森田先生と今村先生結婚したんだってー!」

 あんまり大きくない島だから噂はすぐ広まる。

 私は圭ちゃんと一緒に学校生活を十分堪能できていたので、恋愛とかにはそんなに興味がなかった。


 私と圭ちゃんはバレーボール部だった。

 体育館ではその日、男子バレーボール部が女子バレーボール部の隣で練習していた。

 ボールが男子の練習している方に飛んでいってしまったので、私はあわてて取りにいった。

 すると、村上修一くんという男子バレーボール部のエースの男の子がそれを拾い、「はいよ」と私に笑顔で投げてくれた。

 「ありがとう!」と私も笑顔で言った。

 試合中、私はつい気になって隣の男子のプレーしているところをちらっと見ると、ちょうど修一くんがアタックで点を取っているところだった。

 『か、かっこいい』と私が見とれていたら、私の頭にバレーボールが当たった。

 「ちゃんと試合に集中しろ!」とコーチに注意された。

 「はい、すみません!」


 それからというもの、私は修一くんの一挙一動が気になるようになってしまった。

 体育祭では紅白リレーで他の選手を追い抜いて優勝したり、文化祭ではクラスの中心となってみんなをまとめたり、合唱コンクールでは指揮者をしたりといつも活発で人気者な修一くん。

 対する私は地味で恥ずかしがり屋で、これといって自慢できるものなんて何も持っていなかった。圭ちゃんにさえ、恥ずかしくて恋していることなど告げることができなかった。

 しかし、ある日圭ちゃんにバレてしまった。

 圭ちゃんが私の家にお泊まりに来た時、彼女はこう聞いてきた。

 「ひょっとしてさー、さやかって修一くんのことが好きなの?」

 「えっ!」

 「やっぱりね。」

 「どうして分かったの?」

 「見てれば分かるって。」

 私たちは笑った。

 「圭ちゃんは好きな人とかいる?」

 「私はまだかな。でもさやかのこと、全力で応援してる!」

 「ありがとう。」


 しかし、そんな修一くんにある時、彼女ができてしまった。

 私は結局想いを伝えることもできずに失恋した。

 私は圭ちゃんと映画館に行き、『Love is the answer』という映画を見た。その映画は、主人公の女の子が担任の先生に恋をして付き合い、周りから反対されながらも高校を卒業してからその先生と結婚するという、ちょっと大人な恋の物語だった。

 「あーあ、修一くん、切ないな~。」

 「大丈夫、さやかなら次もっといい人がきっと見つかるよ。」

 「ありがとう、圭ちゃん。」


 ある日、修一くんと彼女が別れたと聞いた。

 これはチャンス!と思って、私は修一くんに思い切って告白してみた。

 「ごめん、俺、あんまり興味ないんだ。」

 この一言であっさりフラれた。やっぱり恋は簡単じゃないんだなと知った。

 でも、ちゃんと想いを伝えることができたのは良かった。

 そのことを圭ちゃんに伝えると、「あら、さやかも大人になったじゃない。」と笑いながら言ってくれた。

 それから私はあんまり修一くんのことを意識せずに過ごせるようになった。圭ちゃんという素晴らしい友達がいてくれたからこそ、私は何とか2回の失恋から立ち直ることができた。次の恋まで、私はもうしばらく、この人生の旅を続けていこうと思った。

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