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魔法

 

 幸せな夢を見た。

 わたしの叔父さんと、その弟子レイトとアシルと一緒に過ごす夢。その夢の中でわたしは剣を教わったり、魔法を教わったりした。

 幸せな夢の余韻に浸っていると、部屋のドアが開いた。



「姫、起きていますか?」



 アシルだ。

 昨日のことで、アシルに悪気があった訳ではないとわかっているけど、アシルに苦手意識ができてしまった。だから、部屋に入って来たのがアシルだとわかった瞬間、ガバッと布団を被って隠れてしまった。

 すると、アシルはベットのそばまできて、ベッドのふちに腰掛けた。



「起きていないかもしれないけど、聞いていてください。………………昨日は、すみませんでした。姫の気持ちも考えずに、あんなことを言ってしまって。」


「………………」



 アシルの声に後悔が滲んでいるのがわかって、もういいよ、と言いたくなる。でも何故かそう言うのがひどく恥ずかしかった。こういうのは《アリア》の精神に引っ張られるのだろうか。それでも、もう大丈夫、という気持ちだけは伝えたくて、布団から手だけ出してアシルの手をきゅ、と握った。



「っ!許して、くれるんですか?」



 まだ不安そうなアシルの手を、もう一度きゅ、と握る。



「……………………初対面で、しかも自分の師匠の姪を、あんな研究対象みたいに見たくせに、あのときの勢いはどこにいったの。」



 ……………………いけない。ただの心の声だったはずが、言葉になって出てきてしまった。



「ははっ、たしかにそうですね。やっぱり貴方は面白い。」


「それって、研究対象として?それとも、人間として?」


「………………どっちもです。」



 ……………………そこは人間として、って言って欲しかったな。それなら安心できたのに。

 それにしても、布団の中ってけっこう暑いし、苦しい。



「あの、そろそろ布団から出てきたらどうです?ずっと布団の中は暑苦しいでしょう。」



 今まさに考えていたことを言われて、そのとおりなのが少し悔しいけど、ずっとこのままも暑苦しいので、布団から出ることにする。アシルのそ、と布団から出てきたわたしに驚きながらも優しく笑った。



「やっと目を合わせてくれた。やっぱりとても綺麗な瞳ですね。…………さ、着替えましょう。師匠も待っていますから。」


「え?着替え?服まで用意してあったんですか?」



 なんと、そこには可愛らしい清楚系ワンピースが一着、置いてありましたとさ。



「一旦俺は出ていきます。部屋の外にいるので着替え終わったら呼んでくださいね。」



 アシルはそう言って部屋を出ていってしまった。

 わたしはさっさと着替えてアシルを呼ぶ。



「着替え終わりましたか?………………似合っていますね。さすがレイトのセンス。こちらに座ってください。」



 アシルに示されたドレッサーに座ると、アシルはわたしの髪の毛を溶かしてくれる。

 なんか………………



「……………………アシル、なんか手慣れてない?もしやロリコ」



 言いかけのわたしの声をアシルの大声が遮った。



「なわけあるか!………………ごめんなさい。俺には姫と同じくらいの妹と弟がいるんです。その妹の髪の毛をよくこうしてやってたから、こういうのに慣れているんです。」


「へぇ、兄弟がいるんですね。」



 ……………………わたしと同じだ。わたしも菜乃花の髪の毛よく結んであげてたな。菜乃花、今どうしてるかな。お兄ちゃんも。


 それからは、雑談しながら髪を整えた。その妹さんについて聞いたり、弟くんについて聞いたり。

 その時に、今わたしの頭についているリボンをもらった。黒地の長めのリボンに、青色の細かい刺繍が施してある。



「師匠が作ったんですよ。これには保存魔法がかけられているから、ただ髪飾りとして使うだけなら色褪せることはないし、切れません。」


「すごいなぁ。わたしもこういう魔法、使ってみたいです。」



 何気なく口に出した言葉で、アシルが固まった。



「………………その話題、出さないようにしませんか?反応に困ります。」



 ……………………そっか、そういえば昨日、魔法がどーたらこーたらわたしの前で言ってルーク様にしばかれてたもんね。



「ごめんなさい、気をつけます。」


「はい、そうしてくれると嬉しいです。行きましょう。師匠が待ってます。」



 そうしてルークとレイトが待っているリビングに連れて行ってもらう。移動中は、アシルに抱き上げられていた。自分で歩けると言ったけど、絶対わたしは迷うから、と歩かせてくれなかった。



「お待たせしました。師匠。」


「ああ。おはよう、アリア。」


「おはようございます。姫様。」


「おはようございます。えっと…………」



 わたしがルークの呼び方をどうするべきか迷っていると、アシルがそっと教えてくれた。

 


「師匠のことはルーク様と呼ぶといいですよ。」



 というアシルからのありがたい助言もあり、わたしの中でルークの呼び方はルーク様に決まった。



「おはようございます、ルーク様、レイトさん。」


 わたしは普通にあいさつをしたつもりだったけど、ピク、とレイトが反応した。そして少し恥ずかしがるように、困ったように言った。



「さん、はつけなくて結構です。レイトと呼んでください。」



 ……………………まぁ、アシルも呼び捨てしてるから、レイトもそれでいっか。


 でもなんでさん付けしない方がいいのか聞くと、自分が姫様呼びしている相手に敬称で呼ばれるのは変な気持ちでいやらしい。



「師匠、姫、レイト、朝食出来ましたよ。冷めないうちに食べましょう。」



 わたしは朝食をみんなで食べたことがない。元いた家では一人で食べていた。昼食や夕食も同じだ。たぶん、これがこの世界の普通なのだろう。

 わたしが部屋を出ていこうとすると、レイトに呼び止められた。

 


「姫様?どこ行くんですか?」


「部屋に戻ります。あ、部屋の場所は覚えているので大丈夫です。それでは、失礼します。」



 わたしがそう言ったら、急にレイトとアシルがあたふしだした。ルークは目を見開いて固まっている。



「姫様?なにか気に触りましたか?」


「あっ、朝食に嫌いなものでもありました?」



 ………………え?なんでそんなに慌ててるの?


 わたしが内心パニクってると、これまで固まっていたルークが口を開いた。



「アリア、君は今まで、どのように朝食を食べてきた?」


「えっと、自室で一人で食べてました。………………………あの、わたし、なにかしてしまいましたか?」



 あまりにみんなの様子がおかしいので聞くと、ルークは眉間に皺を寄せて小さくため息をついた。その仕草が、わたしに失望した時の妖精族の人達のそれと重なって見えて、ビクリ、と体が強ばった。


 ……………………また、失望されたんだ。結局、わたしはここでも出来損ないなんだ。



「っ!姫様?どうされたのです?」


「え?………………あ」



 わたしは、泣いていた。

 本当は、すがりつきたかった。わたしだってできる、失望しないで、見捨てないで、って。でも、出来なかった。すがりついて、振りほどかれた時の方が、ただ失望される時よりもずっと、悲しいから。

 何も言えずに俯いていると、ポン、と頭に手が乗せられた。



「大丈夫ですよ、姫。師匠は姫のこれまでの扱いに怒っておられるだけで、姫に対しては怒っていません。」


「アシル…………………?」

 

「アシルの言う通りです。ね、師匠?」


「ああ。最初に言ったように、私達は、君の味方だ。絶対に、君を見捨てない。分からないことは教わればいいし、できないことはできるように練習すればいい。 …………………………それで、朝食の話だったな。これからは、朝食は、全員で食べる。もちろん、昼食も夕食もだ。」



『見捨てない』

 その言葉が、わたしの心の傷を軽くしてくれた。


 ……………………もう、わたし、一人じゃないんだ。



「なんで、励ましたはずがさらに泣くんだ……………………」



 ルークの困りきった声が聞こえる。涙で視界が滲んでよく見えないが、きっと眉間に皺を寄せて、でも困ったような顔をしているのだろう。



「これは嬉し涙です。」


「……………………そうか。これからは、嬉し泣きがたくさんできるといいな。」


「はい!」



 わたしは、 やっと、この世界での自分の居場所を見つけた気がした。



「そういえば姫って何歳なんですか?」



 ……………………あれ?言ってなかったっけ?そういえば名前しか言ってなかったような………………。



「五歳です。」



 わたしがそう言うと、アシルとレイトは目を見張った。



「姫はまだ五歳なのにだいぶ大人びてるんですね。てっきり小さな八歳くらいだと思っていました。」



 まあそりゃ精神年齢十三歳だから。五歳よりは精神年齢高いよね。

 なんてことは心の中にしまっておいて。わたしの中身が《咲良》だということは隠しておく。気味悪がられたくない。だから、笑って誤魔化した。



「ふふっ、ありがとうございます。それより、わたしはこれから何をするんですか?」


「君はどうしたい?あちらに戻ることもできるし、このまま私たちと一緒に過ごすこともできる。だが、もしそうするのならば、君には勇者見習いとしての訓練を受けて貰うことになる。それは、想像以上に厳しいものだ。」



 あちら、とは妖精族の世界のことを言っているのだろう。


 ……………………嫌だ。戻りたくない。



「あちらに戻るくらいなら、訓練を受けたいです。」


「いいのだな?もう後戻りはできないのだ。」


「はい。」


「そうか。なら、まず実力を確認しないとな。朝食を食べ終わったら外に出なさい。」


「はい。」



 そして、朝食を食べて外に出た。そこには、昨日来る時に見た森とは全く違う砂漠が広がっていた。



「あの、レイト。ここって森でしたよね?」


「ああ、これは魔法ですよ。本来は森ですが、姫様の力が暴走した時のために砂漠に移動したんです。」



 ……………………あれ?わたしの力って暴走するほど強くないよね?魔力とか全然ないし。


 わたしの考えが顔に出ていたのかレイトはクス、と笑った。



「姫様は【ライロント】の純血です。国ひとつくらい吹き飛ばせるくらいの力は持ってますよ。」


「ライロント…………?」



 それってたしかわたしの名前に入ってるよね?アリア・ライロント・リーベリヒって。



「おっと、喋りすぎてしまいましたね。師匠に怒られそうです。今のは忘れてください。」



 レイトはおどけたようにそう言った。



「アリア、こちらに来なさい。」


「あ、行かなきゃ。教えてくれてありがとうございます、レイト。」



 ルークに呼ばれていくと、ルークは難しい顔をしていた。



「あの……?」


「君は魔法が使えないと言っていただろう?どれくらいできないのかステータスを見せてくれないか?」


「はい。」



 手のひらを上向きにしてステータスを開くと、ルークが小さくため息をついた。



「はぁ、それでは他の人には見えないんだ。左下にオープンボタンがあるだろう?それをタップしなさい。そうすれば他の人にも見えるようになる。」



 言われてステータス画面の左下を見ると、確かにオープンボタンがある。それをタップすると、僅かに画面の透明度が下がった気がした。



「あの、これでいいんですか?こんなの使う相手がいなかったのでどうすればいいのか分からないんです。」


「ああ、そうだったな。これからはそういうものは私でもアシルでもレイトでもいいから、どうすればいいのか聞くようにしなさい。朝食の時にわかったと思うが、ここではあちらの常識は通用しない。」


「はい。」



 ルークは覗き込むようにわたしのステータス画面を見ると、二秒くらい固まったあと、動揺が隠しきれない声でわたしの名前を呼んだ。



「アリア。本当に君は魔法が使えないのか?」


「え?………………はい、使えません。」


「……………………見なさい。」



 ルークに示された場所を見るとそこにはありえないものが表示されていた。



「うそ…………なんで?」



 魔力量が表示されているはずのそこには、[7000]の文字があった。

 元々、わたしの魔力は200程しかなかったはずだった。それが、一晩で三十倍以上も伸びたのだ。



「手を見せてくれるか?」



 ルークに言われて右手を差し出すと、くるりと手のひらを上にされて、手首の辺りを触られた。

 そこには、黒い十芒星のマークがあった。



「なんですか?これ。」


「これは純血のライロントに現れる紋章だ。ほら、私にもあるだろう?」



 ルークが見せてくれた右手首にも、たしかに十芒星のマークがあった。



「おそらく、君を縛っていた何らかの封印が解けたのだろう。だから、この印も現れた。昨日はなかったからな。」


「え、いつ見たんですか?」


「昨日、君の手首を掴んだ時。……………………とにかく、こればかりは私でも分からない。」


「そうですか。まあ、増えたならいいんじゃないですか。減った訳でもないし。」



 なんでも知ってそうなルークでも分からないならわたしに分かるわけがない。そう割り切って言うと、ルークは苦笑した。



「君はポジティブだな。」




 わたしの場合ポジティブなんじゃなくて大雑把なだけなんだけどね。《咲良》の時はO型だったし。そんな心の声は心の中にしまっておいて。



「魔力があれば魔法が使えるんですか?」


「ああ。魔法は想像力だ。魔力量と魔力を動かす感覚を掴めばあとは想像するだけだ。…………そうだな。魔力も有り余ってることだしやってみるか?」


「はい!」



 返事をすると、ルークはわたしの目を手で覆い隠した。



「まずは、体の中にある魔力を感じるんだ。感覚を研ぎ澄ませ。」



 言われた通りに集中していると、胸の中心辺りに『なにか』があった。



「これですか?胸の中心辺りになにかあります。」


「そうだ。それを意識して右手に集めてみなさい。」



『なにか』を動かすのはとても大変だった。例えるなら、手を使わずに耳を動かすみたいな。それのもっと難しい版。だから結構時間がかかったけど、その間ルークはずっと待っていてくれた。



「できました。」


「剣を想像しなさい。剣を持っている自分を。」



 よくスピードが速い女の人とかが使っていそうなレイピアとか侍が使っていそうな刀とかマンガでありそうな大刀とかが思い浮かんで来たけど、やっぱり普通の剣が想像しやすかった。

 剣を想像すると、右手になにか現れた。それと同時にわたしの目を覆っていたルークの手が外れた。



「ん、眩し………………」


「ああ、すまない。急に光を見せないほうがよかったかもな。」


「大丈夫です。……………………わぁ、本当に剣がある!」



 わたしの右手には、確かに想像した通りの剣があった。


  ……………………あーなんか授業で剣道やってたのが懐かしいな。面!って大声で言いながら竹刀振るやつ。


 この剣でも剣道らしきものができるのかも知れないと思って、授業で習った通り両手で持って中段に構える。そして振り上げてから、軽く踏み込んで剣を振り下ろす。心の中では面!って言いながら。剣を振り下ろしたらヒュン、と風を切る音がしてなんだか気持ちがよかった。

 あれ?でも…………



「あの、ルーク様。この剣、握ってる感覚はあるのに全く重くないんです。なんでですか?」


「それはその剣が君自身の魔力でできているからだ。基本、魔力でできているものは重さがない。」


「魔法、すごい………………」


「君にはこれから魔法に加えて剣の技術やありとあらゆる知識を得てもらう。」



 それが勇者見習いとしての最低限の条件らしい。

 わたしは体を動かすのは大好きだから剣を習えるのは大歓迎だけど、なにかを覚えるのは得意じゃない。《アリア》の要領の良さに期待するしかない。



「剣が作れたなら剣術も少しやってみるか。………………レイト、こちらに来い。」



 ルークに呼ばれたレイトは主人に呼ばれた犬のように嬉しそうな目をしてやって来た。



「剣術はレイトに教えて貰いなさい。レイトは誰よりも剣術に長けている。」



 最後にボソッと「私以外の」と聞こえたのはわたしの気のせいということにしておこう。



「よろしくお願いします。」


「はい、こちらこそよろしくお願い致します。姫様。」


「レイト、ここは任せたぞ。私はアシルの相手をしてくる。」



 そう言ってルークはどこかへ行ってしまった。



「それにしても、もう魔力の扱い方を覚えたのですね。さすが純血のライロントですね。」


「あの、さっきも言ってましたよね、純血のライロントって。それって、なんなんですか?」



 一瞬。

 レイトの目が、驚愕と、動揺と、怒りと、哀しみの、いろんな感情が混ざったような、真紅の瞳をしていた。でも、二秒後には、まるでなにもなかったかのようにオレンジ色の瞳に戻っていた。そして、困ったように笑った。



「僕からこの話題を出しておいてなんですが、もうこの話題はやめましょう。もう僕もこの話題を出しません。だから、忘れてください。」


「え………………うん。」



 よく分からないけど、さっきのレイトはまるで、何かに追いかけられていて、今にも死んでしまいそうな目をしていた。でも今は普通の、昨日のレイトと同じ優しげな風貌のレイトだった。



「さて、姫様は剣を習ったことはないんですよね?剣を持つのもこれが初めてと。」


「はい。」


「ではまずは基本の型から教えて行きましょう。」



 そこから、レイトによる剣の練習が始まった。



「姫様、そこはもっと一歩を大きく!」


「はい!」


「肘は下げない!」


「はい!」


「もっと重心を低く!」


「はい!」


「肘上げすぎです!」


「はい!」



 ………………鬼。鬼がいる。レイトは剣のことになると人が変わったようになる。


 レイトに教えてもらったのは基本の型らしいが、それだけですでに結構難しかった。しかも、ここは砂漠なので足元が不安定だ。でも、レイトの教え方が上手(鬼)なのもあって、なんとか基本の型は全部覚えた。もちろん、全てを覚え終わった時には疲れ果てていたけど。

 わたしはこの時、体力をつけておいてよかった、と本気で思った。



「すごいですよ姫様!基本の型だけとはいえ、これを一日で覚えたのは姫様が初めてです!しかも五歳で!筋がいいです!」



 レイトは、もうわたしを褒める時に『純血のライロント』という言葉を使わなかった。



「そういえば姫様はこれからもその剣を使いますか?」


「?どういうことですか?」


「姫様が今日覚えたのは〖ソードライン〗という一番基本の型です。ですが、それだけじゃなくて〖ダガーライン〗という短剣の型や〖レイピアライン〗という細剣の型とか、〖スピアライン〗という槍の型があります。あ、剣じゃないといけないとかはありません。弓矢とかでもいいんですよ。 」



 剣によって型が違うのは当たり前だけど、まだこんなに種類があるらしい。



「型って全部でいくつくらいあるんですか?」


「えっと………………今言ったのが一般的に知られている型で、それをもっと細かく分けることもできますし、その人の【能力】によってそれぞれ別の型があったりするので……………………二百は超えるんじゃないでしょうか。」


「二百……………………」



 絶句。

 そんなにあるなんて……………………。しかも能力ってなんだろう。


 

「あの、レイト」



 能力について聞こうとするとちょうどルークに呼ばれた。



「レイト、アリア。そろそろ帰るぞ。」


「はい。……行きましょう。」


「はい。」



 二人で砂漠を歩いてルークとアシルのところへ行く。


 

「レイト、アリアの剣術はどんな感じだ?」


「姫様はすごいです!もう基本の型は全て完璧です。」


「そうか。さすがだな、アリア。」



 くしゃりと頭を撫でられてくすぐったいような、恥ずかしいような気持ちになる。



「それで、師匠。姫様はこれからも〖ソードライン〗を使うんですか?姫様なら〖ファーストライン〗も習得できます。能力によっては」

 


 ぐっと拳を握って力説するレイトの声をルークの声が遮った。



「そこまでだ。一旦家に帰ってから話そう。アリアにもあとで説明する。」


「「「はい。」」」



 ちなみに、なんにもないただの砂漠からどうやって家に戻ったかと言うと、【転移魔法】だ。そう、魔法である。



「すごいです!」


「いつかアリアも使えるように練習するといい。 」



 そうだった。わたしは、魔法が使えるようになったんだった。今まで全然使えていなくて急に使えるようになったから、まだ実感ないけど、魔法使えるんだ。そんなどこかほかほかした気持ちで心が満たされた。


読んでくださりありがとうございます。

まだまだ続きます。

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