これが俺の、勇者の冒険譚だ!!
処女作ですが頑張って書いたので是非読んでください。感想お待ちしております。
「待って、まっって、まてぇぇぇぇええい!!!!」
緑色の変な挙動する巨体を相手にしながら俺は全力で今を凌ぐ。あ、俺の名前は静浜湖岡です。俺は、普段からいろいろなことを後悔しているのですが、今はかつてない程に後悔しています。神に祈ればどうにかなりませんか…
「よくぞ参った!異世界の客人よ!さぁ、歓迎のパーティをしようか!」
突然視界が晴れると、俺は豪華絢爛な場所でいかにもな恰好をしたおっさんに何か話しかけられた。部屋で暇をしていたらこんな場所に突然移り変わるとか、もしかしなくても異世界召喚だろうか?試しに腕をつねってみるがちゃんと痛い。
「どうした?もしや言葉が分からぬのか?」
ああ、突然すぎておっさんを無視してしまっていた。
「ああ、いえ、突然の事で驚いてしまって。こんにちは。これは、どういうことなのでしょうか?」
「ふむ、少し飛ばしすぎたの。お主は異世界召喚の儀でこの国、イパギナウに召喚されたのじゃ。」
異世界召喚きたぁぁ!!!男は誰しもがあこがれる異世界召喚。きっと俺の体には異世界人ならではのなんか強い力が眠っているのだろう。いやぁ、人生楽しいなぁ!!
「因みにお主、名は何という。」
「俺の、あ、いえ、私の名前は静浜湖岡です。」
「ふむ、静浜湖岡か。湖岡よ、そうかしこまらんでもよいぞ。お主は異世界からの客人、我らがこちらの都合で呼んだのじゃ。気楽にするとよい。」
このおっさん良い人そうだな。たまに、呼んだ国が腐敗しきっているとかあるがそんなことなさそうだ。
「さて、話がそれたが、お主のために盛大なパーティを用意しておる。存分に楽しんでいってくれ。」
「そんな、態々ありがとうございます。ご厚意に甘えさせていただきます。」
(そんなこんなでパーティなう)
おいしい料理も綺麗なお姉さんも沢山で超楽しい。これだけで満足できるな。
「国王陛下、並びに国女殿下のおな~り~!!」
とうとうお偉いさんの登場ですね。全員一斉に跪くのを見て慌てて跪きながらちらっと入り口を見る。おっさんが王様なのは分かっていたので特になんともなかったが、国女殿下が想定外だった。そう、国女殿下がドストライクな見た目しているめっちゃ可愛い人なのだ…遺伝子仕事しろよ、全然似てねぇぞ…見ているこちらに気づいたのか、こちらを見て姫様が微笑んだ。可愛い。国王と姫様がこちらに歩み寄ってくる。
「湖岡よ、楽にしてよいぞ。このパーティの主役はお主なのだからな。それと、これは我が娘のウナーイだ。」
「湖岡様、初めまして。ウナーイと申します。どうぞよろしくお願いします。」
「ははははは初めまして!湖岡と言います!!よろしくお願いします!」
「ふふ、随分と活発な方なのですね。」
はい、可愛い。是非よろしくしてください。
「ふむ、仲良くできそうで何よりだ。暫くは城で暮らしてもらうが、困ったことがあればこれに聞くとよい。」
「よろしくお願いします、湖岡様。」
神よ、感謝します…
「さて、何故お主をこの世界に呼んだのかをまだ話していなかったな。」
これは、勇者となってうんぬんかんぬんの流れか…!?
「お主にはこの世界を救ってもらいたいのじゃ。数年前から我が世界には異世界からやってきた異形の生物が住み着き始めたのじゃが、こいつらがとても厄介での、手を焼いておるのじゃ。そこで異形の生物が異世界からやってきたのであれば、こちらも異世界の住人を呼んで対抗することにしたのじゃ。」
「成程。つまり俺はその異形の生物を倒していけば良いということですね。」
「そういうことじゃ。お主には是非とも活躍してほしいが危険が付きまとうお願いなのでな、無理強いはせん。出来れば引き受けてほしいがの。」
「そうですね。俺自身は戦いの技能を持っているわけではありませんので少し慎重に考えさせていただきたく思います。」
実際、どんなチートが授けられているか分からない状態で戦闘を安請負いしちゃいかんよな。まずは自分の能力の確認が先だな。
「湖岡様、どうか私たちの世界を守ることに力を貸してください。微力ながら私もお手伝いしますので。」
「任せてください。俺が世界を救って見せますよ(キリッ)」
「ほんとですか!?ありがとうございます!!」
可愛い人が上目遣いでお願いしてきたら即OKするのが男ってもんですよね…やってしまった。つい条件反射で…
「湖岡よ、感謝するぞ!武器や防具などはこちらから用意させてもらうからの。頼りにしておるぞ!」
こうして、一般人な俺が異世界で勇者となる物語が始まったのであった…
「そういえば、異世界人は何か特殊な能力があるんですか?」
「いや、お主が初の異世界人じゃから、何とも言えんが特にないのではないか?」
冒険譚終わったな。
パーティが終わり宛がってもらった部屋に来て思考を巡らす。
……神なんていなかったんだ……姫様可愛かったなぁ…ゆくゆくはウナーイと呼び捨てで…
さて、実際のところ今まで戦うすべを学んでこなかった俺が戦っていくためには訓練が必要だろう。勢いあまって答えてしまったとはいえあんな公の場で戦う宣言をしてしまったのだ。もう後には引けないだろう。…もしやこれが狙いだったなんて言わないだろうな…異世界人ならではの特殊能力が本当にないのかも要確認だな。まずは、訓練をつけてもらえるよう誰かに打診しないといけないな。城の兵士さんが訓練しているところに俺も混ぜてもらうのがいいかな?姫様が便宜を図って下さるらしいし姫様に相談しよう。…姫様って気軽に会えるのかな。確かメイドさんが呼べば来てくれるらしいな。…どう呼べばいいんだ?
「………サモン!!メイドA!!」
「お呼びでしょうか?」
「ふえぁ!?!?」
「……?」
部屋に知らない人がいるとかプライバシーどうなってるんだ!?じゃなくてこの人どっから来たんだ!?
「私は呼ばれればどこへでも駆け付けますので。それで、要件は何でしょう?」
思考までよめるのはずるいと思います。しかし、このメイドすごいな。
「ちょっと、姫様に相談したいことあるんだけどどうしたら姫様に会える?」
「殿下は基本城内で将来に向けて励んでいらっしゃいますので、短い時間でしたら教育係のものに打診をとれば会えますよ。」
「成程ね。教育係の人への打診はAさんにすればいいの?ていうかAさんって呼べばいいの?」
「そうですね。私への呼び方はAで大丈夫です。教育係への打診も私が行いましょう。」
「じゃあ、今日はもう遅いから明日のどこかで姫様に会えないか打診しておいて。」
「かしこまりました。では、訊いてきますね。」
お辞儀をした後、瞬きをした瞬間に目の前から忽然と姿を消したAさん。…Aさんに訓練つけてもらえばよくないかという思考を抱きつつ今日の疲れを癒すため、ふかふかのベッドに身をゆだねることにした。
「本日のお茶の時間に姫様の時間が取れました。」
「Aさん、ありがとう。お茶の時間ね、どこに行けばいい?」
「本日は中庭でお茶をするとのことなので中庭でよろしいかと。」
「分かった。」
早速姫様との会話イベントを発生させてしまったな。話す内容はとりあえず兵士の訓練に参加させてもらえないかだけでいいかな。時間が余ったら姫様との親睦を深めることにしよう。あ、ていうか異世界定番の魔法とかステータスとかあるのかな。
「……ステータスオープン!!!」
……
違うから。ちょっと叫びたくなっただけだから。最近カラオケ行ってなかっただけだから。これ好きな歌の出だしなだけだし…
「湖岡様との会話はとても楽しいですわ。」
「姫様にそう言っていただけてとても嬉しいよ。」
姫様との会話は滅茶苦茶緊張するけどすげぇ楽しい。だってこんな可愛い子が俺の話を楽しそうに聞いてくれるんだぜ?俺今幸せだ…
「そういえば、姫様。異形の生物に対して兵士の皆さんは今までどのように対抗してきたのですか?」
「そうですね、基本的にあれらは単体での行動をするので周りを包囲して集中攻撃して倒していましたね。」
「成程。俺も戦いの術を身に着けたいので訓練に混ぜてもらうことってできますかね。」
「ええ、勿論です。では、兵士長に話を通しておきますね。」
「ありがとうございます。一刻も早く勇者になれるように励みますね。」
「有難いのですが、ご自身の身を大切にしてくださいね。」
はい、可愛い。自分の身を案じてくれる可愛い女の子とか勇者になれる要素しかないな。
「因みに、俺の世界では異世界人は魔法やステータスがあるという風に考えられてきたのですが
、この世界にありますかね?」
「…マホウ?すてーたす?すみません、分からないですね。どのようなものなのでしょうか。」
「そうですね、何もないところから火を生み出したり自分の能力を好きなように伸ばしたり出来るものですね。」
「…ふふ、そのような便利なものあるわけないじゃないですか。異世界の方々は面白いことを考えるのですね。」
「まぁ、そうですよね。自分たちにできないからこそ夢を見るものですからね。」
「ふふ、確かにそうですね。」
畜生、魔法もステータスもないのか…俺まじで素のまま戦わないといけないのな…それ、異世界人呼ぶ必要あったか?
さて、そんなこんなで兵士長さんに挨拶しに行って訓練に混ぜてもらえるようにお願いするか。兵士長さんは訓練場みたいなところ行けば会えるのかな。
「サモン!Aさん!」
「こちらに。」
「兵士長さんってどこに行けばあえる?」
「兵士長は基本、第一訓練場で勤務しておりますのでそちらに向かっていただければと思います。」
「分かった。ありがとう。」
まじで呼んだらすぐ来るな…
第一訓練場ってここか。すげぇ広い空間だな。…ああ、リアルな騎馬戦してらぁ…異世界だなぁ…
「む、そこにいるのはもしや異世界の客人殿か?」
「え、ああ、そうです。初めまして、異世界から来た湖岡と申します。よろしくお願いします。」
「ふむ、よろしく頼む。ああ、名乗りが遅れたな、この国の兵士長を務めているギーパイと申す。殿下から湖岡殿が訓練をつけてほしいと願っていることはうかがっている。今日から訓練するか?」
「そうですね、今からやろうと思います。」
「うむ、その気概や良し。では、まずは湖岡殿の体力や技能が実際どのようなものなのか確かめるところから行うとしよう。体力はこの訓練場をひたすら走ってもらう。技能の方は俺と模擬戦してはかるとしよう。」
「よろしくお願いします。」
こうして俺の勇者への第一歩が踏み出されたのであった…
「どうしたどうしたぁ!!まだ訓練場の半分も到達していないぞ!!」
「も…無理ぃ…」
勇者への道は険しい…
「城での生活はどうですか?最近は訓練に励んでいると聞きましたが。」
「良くしてもらっていますよ。訓練も俺だけ集中的に鍛えてもらったりしていますし。」
「まぁ、辛くはありませんか。」
「辛いですけどここで頑張らなくては勇者になれませんからね。」
「ユウシャですか…勇気ある者という意味ですか?」
「そうですね、言葉としてはそれであっているんですけど、俺の世界では大まかに困っている人を救ってあげる正義漢のことを指すのですよ。」
「成程。ということは、この困っている世界を救う者になるということですね。」
「そういうことですね。…自分で言ってて恥ずかしくなってきましたね。」
「ふふ、いえ、とても格好いいですよ。」
あかん、まじ天使やなこの人。いや、神か。絶賛姫様とのティータイムなうだがこの時間が今の俺にとって一番の幸せであることは疑いようないな。……はぁ、かわゆい。
「そういえば最近異形の生物がこの付近に出没したという情報が入っています。今はまだ正式には確認が取れていませんが、お気をつけて。とは言っても城の中にいれば基本的には遭遇することは無いでしょうが。」
「そ、そうですね。」
フラグぅ。姫様最後の一言なくてよかったんやで。しかし、異形の生物って実際どんな見た目してるんだろう。
「Aさんやい、出ておいで。」
「どうしましたか、今日は元気がないですね。」
「ちょっとね、あのさ異形の生物ってどんな見た目してるの?」
「異形の生物は姿かたち様々でございます。言葉の通り何物にも形容しがたい姿をしているものや人の形をとっているものなど、形に縛りのようなものが無いようですね。」
「ふーん、人の見た目してるってどうやって人じゃないって見わけがつくの?」
「あれらは総じて目に生気がなく体の周りに何かもやがかかっています。恐らく一目見ればわかるかと思います。」
「成程ねぇ。形によって強さが変わったりするの?」
「大きければ大きいほど対処のしようがなくなるので強敵とされていますがかつて人を形どっていたものはその身では考えられないほど力強く頑丈であったため強敵であったと言います。」
「確かにねぇ。考えられないほどでかい生物に対する戦い方なんて普通考えないもんな。」
もやがかってる生物なんて普通はいないしぱっと見でわかるか。ずっと城内にいるとはいえ気を付けておこう。
「兵士長、あれは…」
「うむ、間違いない。あれは異形の生物が一種、小鬼だな。急いで各部署へ連絡を。民間人の避難を急げ。」
「はっ、かしこまりました。」
「…人型で小型か…被害が少なく済めばよいが…」
「え、正式に異形の生物が見つかったんですか?」
「はい、城下町近辺に確認されたため、民間人は避難をしております。湖岡様はこの城内にて待機となりましたので連絡させていただきました。」
「そうですね、まだ俺は戦力にならないですからね。大人しくしています。」
「民間人の避難に際して城の者が一部出払う為、何かと湖岡様には不便をかけるとは思いますがご容赦ください。」
「いやいや、それよりも俺に手伝えることがあれば俺にも手伝わせてね。」
「有難う御座います。何かあれば手を借りることになるかもしれませんが、その時はお願い致します。」
「うん、その時はよろしく。」
「それでは私も避難の手伝いに行ってまいりますので一時的に参上できなくなります。また落ち着き次第連絡いたしますのでそれまで失礼します。」
確かにAさんがいたら作業とか百人力だよなぁ、とお辞儀の姿勢からどうやって消えたのか分からないままに考える。しかし、部屋に居るだけっていうのも何だし、早く戦闘に参加できるように訓練でもしますかね。
第一訓練場は空いてるみたいでよかった。一人でもできる訓練となると、ランニングや素振りとかかな。倉庫にある剣は自由に使っていいらしいから少し借りていよう。あ、倉庫の鍵持ってないわ。空いてないかーっと、ほんとに空いてんじゃん。余程急いでたのかねぇ。さて、剣を一本拝借しよう。
「……QQssyalakag#$'as?」
「………??!?」
今なんか倉庫の奥から声しなかったか!?
「Opds#'(gjxi~\qkfs!!!!!!!!!」
「うおぉえうぁ!?!?」
変な声出た!…じゃなくて何だあいつ!?緑色の肌したマッチョがこっちに気が付いて…おいおい、何かもやがかってんじゃん…嘘ぉ…
「フラグ回収早くないっすかねぇ!?!?危ねっっ!!」
「Hifkuhsgk5#%'epkg!!!」
「分かる言葉でおなしゃす!!?」
じゃなくてやばいって。俺まだ戦闘訓練全然してないぞ!?何しろ根幹のスタミナが皆無だったからなぁ!?!?危ないって!?!?
「待って、待とう、落ち着け、ステイ!!!!!」
「Fuios36#'S$')”shigij!!!!!!」
「言語の壁は分厚いなぁ!?!?」
これはやばい、何がやばいって相手のパワーやばい。ただ殴ってるだけなのに壁とか吹き飛んでる。その力俺も欲しかった!!戦闘能力皆無なうえに特殊能力がない俺に剣一本でどうしのげってんだよ!?取り合えず逃げろ俺、戦っても勝てないぞ俺!!Bダッシュだ俺!!!
…あいつ足めっちゃ遅いですやん。歩くことしかできないのかな。腕に筋肉つけすぎて体で支えられてないのかな。…となると、城に民間人が避難してきていることを考えればこいつをここに留めておくのが吉か…?しかし、俺にはあいつを倒す術が無いから兵士たちが帰ってくるまでの持久戦になるとしたら俺のスタミナが持つか分からんな。どうにか助けを呼びつつここに留めておけないか…取り合えずあいつの興味が俺から外れないように一定距離を保っておこう。
「Fajie%'”!jigksmg??!?」
あいつ立ち止まってどうしたんだ?何か前屈みたいな格好してるけど…
「Jfaihgid#'(3………Gsryhsfd$&(dgh!!!!!」
「はぁぁぁぁんいうえ!?!?」
4足歩行で突っ込んできたぁぁ!?!?腕の力だけでこっちまで飛んできたのか!その移動方法とられたら距離なんて取ってられねぇぞ!?勝てないと悟った時点で逃げるが吉だったかぅぁ!?危ね!!畜生!!どうすんだよこれ!!!!取り合えず生物というからには傷をつけたら動きも鈍るだろう。となれば、この剣でぶった切るなんて言わず傷をつければ多少は有利に持ち運べるだろう。慎重に、慎重に機を狙って…大振りの後の今だ!!!
「せいやぁあぁぁぁあああ!!!!」
カンッ
は?固くね?え、は?
「Dajifmeohgus(#$%”?!lkfi!!!!」
「待って、まっって、まてぇぇぇぇええい!!!!」
ええい、おかしいだろ!剣当てたのに切れないぞあいつ!くそう、武術初心者な俺が出しゃばるんじゃ無かった…
後悔はいつも後にするもの。しかし、いかに後悔しても今は改善されない。いかに神に祈ろうとも神は微笑まない。あ、今口元が動い…笑顔邪悪すぎません?…神は邪神だったか…
「何か訓練場の方が騒がしくありませんか?確か避難場所としては使っていませんでしたよね。」
「はい、訓練場は武器などが置いてあるため只今封鎖しております。」
「そうですよね、一度確認しに行きましょう。」
「いえ、殿下がお行きにならなくとも私共が行きます。」
「いえいえ、皆さんは民間人の皆さんのお手伝いをしていて下さい。」
「ですが…いえ、かしこまりました。念のため数人護衛として連れて行ってください。」
「心配ありがとうございます。では、行ってきますね。」
「お気をつけて。」
しかし、何故こんな時に訓練場で騒いでいるのだろうか…?
…!?これは戦っている音ですか!?
「皆さん、急ぎますよ!誰かが戦っています!」
武器が置いてあるとはいえ倉庫は閉まっていたはず。一体何が…
「!?湖岡様!?それとあれは、人型の小型!?何故ここに…ではなく、いけません、助けなくては!!」
「いけません殿下!!殿下の身に何かあれば…!!」
「大丈夫ですよ。すぐに終わります。」
良かった。助けが来てくれた…って姫様!?
「何故姫様が!?」
「ふふ、安心してください。もう大丈夫ですから。」
「大丈夫って何が…?」
「小型であれば私も戦えるのです。」
「そ、そうなのか。どうやって、二人で戦おうか。」
「作戦なんて不要ですよ。見ててください。」
「え?」
腰に下げていた剣を抜き放ち異形の生物と向き直る姫様、って
「姫様、あの構えの後は飛んできます!!注意して!!」
「いえ、大丈夫ですよ。」
そう言って、大上段に剣を構えた姫様。
「ふっ!!」
飛び込んできた異形の生物が姫様のカウンターによってきれいに真っ二つになっていた。
「ね?大丈夫だったでしょう?」
…いや、ね。これ、本当に、俺を呼ぶ必要あった…?
兵士さん達も無事異形の生物を倒し終え、平和な日常が戻ってきた頃。
「実際、姫様はどれくらい強いのですか?異形の生物を一発で倒せるなんて中々な腕前だと思うのですが?」
「そうですね、私の腕前は兵士の中でも上位に入るとは自負しております。このような異常事態が続く状態ですからね、王族も守られているだけではなく、自らも戦えるようにならなければいけないのですよ。」
「成程、そういう理由で強くなったんですね。」
「ええ、私たち王族が戦闘の矢面に積極的に参加する訳ではありませんが、いざ戦いになった時に後ろで見ているだけの人間は今、必要とされていないのです。最低限自分の身は自分で守れるようになっていなければいけません。それに、私には好きな言葉があるのです。」
「好きな言葉、ですか。どのようなものでしょう?」
「攻撃は最大の防御、です。何よりも脅威を向けてくるものを沈黙させるのが、事態の鎮圧に最も早いのです。」
「な、成程。」
王族のする思考じゃねぇな…
「ふふ、確かにお転婆な思考だとは思いますが、守って下さるのは騎士がやって下さいますので安心している、というのもこの思考になる理由ではありますね。」
こんな平和な会話が出来るくらいまでこの間の出来事が静まりつつある今、俺にできることは姫様にも戦闘技能で負けている現状から勇者にならんとする為に、より一層の努力を積むことである。兵士長には疲れている中申し訳ないが、より一層厳しめに訓練を見てもらい、ゆくゆくはこの天使のように可愛い姫様に一目置いてもらいたい…ではなく、いや、違うわけではないが、先に誓った言葉を違えないように邁進していくつもりだ。
こうして、俺の冒険譚は周りが優秀すぎる状態で始まったのであった。
勇者になるのって大変なんだな…
今後も頑張って活動しようと思います。良い所も悪い所もご指摘宜しくお願い致します。