登場する人物・国家・地域の紹介
~~人物紹介~~
☆主人公
「ノエイン・エリル」
本作主人公。父親は将軍、母親は王家の三女で、第5位の王位継承権がある。
魔術の使えない人の国の生まれだが、生まれた時に手から光を発したため、禁忌として長らく軟禁生活を強いられていた。今回、兄ノエイン・レオの働きによりゴルグレーで魔術を学ぶため留学することになった。多くの国民からは将軍の病弱な一人息子と認識されていて、留学は体のいい人質だと思われている。姉のノエイン・サティナに体力と剣術を鍛えられていて、また語学や魔術についてもある程度の水準にある。学園で突然魔術が使えなくなり、助けてもらう代わりにリグルス・メサと主従の契約を結んだ。
☆学園関係
「リグルス・メサ」
ノエイン・エリルが出会った不思議な少女。無期限の停学が解除され、エリルと同級生となった。
紛争地帯の出身で、母国は滅びてもう存在しない。魔力を失って悲観に暮れていたエリルを助ける代わりに自らを主とする怪しげな契約を結ばさせた。言葉を話す魔法帽の「ハット」を被っている。エリルが起こした爆発で隠れ家に帰れなくなったため、エリルの部屋に押し掛けた。英雄を作ることを目的としているらしいが・・・
「ラムレス・サラーサ」
学園で初めてできたエリルの友人。セルバウルの隣国フィクサス共和国の出身。
魔力量はあまり多くないため、知識と技術でそれを補う。力に頼るような考えに批判的で、力こそ正義だと言い張るゴナシ・カナミとはよく喧嘩をしている。とても世話好きで、事あるごとにエリルやカナミの世話を焼き、たとえ喧嘩をしていても最終的には面倒を見ている。
「ゴナシ・カナミ」
学園二人目のエリルの友人。強い魔術師を数多く抱えるとされるエイレーン魔法国の出身。
新入生の中でトップクラスの実力者である。汚れることを厭わない男勝りな性格をしているが、喧嘩っ早く、難しいことはすぐにやる気を失うため、教授達から少し敬遠されている。入学当初はだらしのない生活を寮で送っていたが、ラムレス・サーラサに付っきりの生活指導をされて表向きは健全になった。
「イーリス寮長」
学内で最も待遇が良いとされる学生寮の寮長。
魔力量は多いが才能は無く、魔術の詠唱は爆発、魔法陣は書いている途中で崩壊する。他の誰かに書いてもらった魔法陣に魔力を供給することで寮の機能を維持している。魔法陣の効果を自分の力のように大きな顔をしているが、無茶をして暴走させることも多く、アマリア学長などには頭が上がらない。つまみ食いの常習犯で、よく何かを食べている。最近つまみ食いの仲間が増えて機嫌が良い。
「カトレア」
学園に配属された軍属の衛兵。受付窓口や来訪者の案内、侵入した学生への説教など主に雑用係を務める。戦場出の兵卒上がりで、言葉が汚いことを気にしてる。
ノエイン・エリルが学園に来た際の案内役を務めた。魔術師としては珍しく高品質な剣を持ってはいるがその扱いは適当で、エリルの琴線に触ることになった。その後、剣術を教えると言う名目の下、エリルの無慈悲なスパルタ訓練に付き合わされている。年上及び軍人としてのプライドから表向きは平気な顔をして訓練を受けているが、酒が入ると本音が出でてよく泣くようになった。普段とのギャップから同僚達からの人気はあがったらしい。
「ヴァン・アマリア学長」
ヴァン・ゼードル理事長が作り出した動き考える人形。魔物と同様に物に魔力が宿ることで動いているため、忌避する魔術師も多くいるが、おそらく理事長の強引な手によりドラグノーツカレッジの学長に就任させられた。
機械的に動くゴーレムと違い、自ら考え人のために行動する。製作者である理事長の趣味だとされるが、主人の命令に反論し従わないこともよくある。行動規定は1に人命、2に知識、3と4は場面に合わせて可変で、5番目ぐらいに理事長の意向が入るらしい。触れても冷たさを感じさせない不思議な素材で作られている。
「ヴァン・ゼードル理事長」
ドラグノーツカレッジの理事長で、最高責任者。
人形フェチの変態と、学園内での評判は地の底にある。魔術師としての能力は非常に高く、ゴルグレーの国王から評価もされていたが、その性格が影響してドラグノーツカレッジの理事長に左遷された。学園の最深部で研究に没頭していて、ほとんど表には出てこない。
「ダン・アニル教授」
太く長いひげを蓄えた壮年の魔術師。魔道具をメインとした研究を行っていて、魔道具関係をメインとした講義を受け持つ。弟のダン・オットー教授とは非常に仲がいいが、魔道具へのこだわりについては譲れないものがある。イーリス寮長に色々な魔道具を提供している。
「ダン・オットー教授」
細く短いひげを蓄えた壮年の魔術師。ゴーレムをメインとした研究を行っていて、ゴーレム関連をメインとした講義を受け持つ。兄のアニル教授とは非常に仲がいいが、ゴーレムへのこだわりについては譲れないものがある。イーリス寮長に様々なゴーレムを提供している。
「ブラッド・セルネル教授」
医務室を担当する教授。
治療は研究兼副業として行っているため、ささいな怪我で来る学生は迷惑としか考えていない。スタイルが良いためか一部の学生からは熱狂的な支持を受けるが、無暗に医務室に突撃した学生は地獄を見ることになる。学生を実験材料にしているという恐ろしい噂があるが、実際には問題を起こした留学生を拘束して国に送り返す兼業をしていた。どちらにせよ、学生にとって恐ろしい教授であることには変わりない。
「エルデ・ザク・ツアイ・ステンス教授」
深き森にあるエルフの都を出身とする教授。教鞭を持つのはノエイン・エリル達の学年が初めてとなる。
幻想の類と言われるほどエルフは珍しく、森から出たエルフはごく数人しかいないとされる。白い体には木目があり人の体とは明らかに違っている。エルフの事については全く話さないが、自身は森を勝手に出奔した身で異端な存在だと話すのが口癖になっている。考え始めると終わるまで永遠に動かなくなる癖があり、教授であるにも関わらず講義によく遅れる・・・というより来ない。そのため講義の際は学生の誰か、主にエリルが研究室に呼び行くこととなっている。考え事を中断されても機嫌は変わらないため、案外優しい性格をしている・・・のかもしれない。
「サンラーク・フィーア先輩」
ゴルグレーの出身で、生徒の代表を務める優秀な学生。白の会という派閥のリーダーでもある。
過去、小等部に編入されたリグルス・メサと同級生となり親交があったとされる。メサと黒の会が起こした事件により家族のように思っていた犬の使い魔を失っている。メサの復学を察して探していたが、アマリア学長に釘を刺され手を引いたと考えられる。
「ジャン王子」
ゴルグレーの第三王子。
第一王子や第二王子と比べ、魔力が少なく力が弱いため冷遇されている。待遇を改善するため、自ら率先して軍の作戦に加わるなど危険な軍務に従事していたが、同盟国の支援に赴いた先でセルバウルのノエイン・レオに誘拐された。その後、レオの提案に意気投合し、支援に赴いた同盟国を嵌める形で和平を結ぶことに成功した。表向きには同盟国が裏切り、ジャン王子を暗殺しようとしたのをセルバウルが止めて救出したことになっている。その後も同盟への加入、奴隷解放令の提案、交易にノエイン・エリルの留学と様々な便宜を図っており、セルバウルへの貢献は計り知れない。同盟後はノエイン・レオの設立したセルバウルの遊撃部隊を使い、数多くの紛争を平定している。
☆セルバウル関係
「ノエイン・レオ」
ノエイン・エリルの異母兄弟で双子の妹がいる。母親は幼少の時に病で亡くなっている。
早くから才能を発揮し、父親の下で兵器の開発や防衛戦に加わり活躍した。エリルの誕生後は鬼神のような活躍をし、セルバウル周辺にあった多数の魔術国家を滅ぼした。戦争を終わらせた英雄と歌われるが、魔術師の同盟に加わることでセルバウルに平和をもたらしたため、魔術師に心を売った裏切者とする声もある。今は自らが設立した遊撃部隊を率いて国外の紛争地をジャン王子と共に渡り歩いている。エリルの前では剽軽な態度を取っているが、戦場では徹底した指揮官殺しを行うことから「頭喰らいの銀狼」と恐れられている。
「ノエイン・サティナ」
ノエイン・エリルの異母姉妹。セルバウルの王子直属の近衛兵を務めている。
ノエイン・レオとは双子であるが姉として立ち振る舞おうとしている。体力があり武芸にも秀でていたため、子供の頃はレオに対し剣技で常勝であった。過去、自身を差し置いて戦場に出ようとしたレオを止めるため一騎打ちを申し込むが、策略を混じえたレオの本気に負け、それ以降不仲となる。エリルには彼女なりの愛情を注ぐが、その過度にスパルタな鍛錬からエリルは苦手としている。
「ノエイン・フィリアル」
ノエイン・エリルの母親。王家の三女。
ノエイン・ラドル将軍を長く横恋慕していた。将軍が前妻を失って落ち込んだ際に、元気づけようとして強引に迫り結婚に至った。血のつながりのないレオとサティナも子供として大切に思ってはいるが、それ以上にエリルを溺愛している。エリルの留学には大反対していたが、最終的にアンネを付き添わせることを条件にレオの説得に応じた。
「ノエイン・ラドル」
ノエイン・エリルの父、セルバウル騎士団の将軍を務め国の一角を担う。
魔術師達を国の奥まで引き込んで殲滅する戦術を駆使して長らく国を守っていた。国王からの信頼は厚いが、国土を何度も戦火に晒したため、不信感を持つ人々も多い。流行病で妻を亡くし、王家の三女であるノエイン・フィリアルと再婚した。再婚に至るまではフィリアルからの熱烈なアタックから駆け落ち寸前までの大騒ぎまでになり、セルバウルでは劇の演目になるほど有名だったりする。
「アンネ」
ノエイン家の使用人。今は交易所エリル支店の職員を務める。
手先が器用でどんなことでも大抵こなせる、のだが生粋のトラブルメーカーのため生かされることはない。致命的な事件をたびたび起こすが、無傷で生還する強運の持ち主である。エリルの母親であるノエイン・フィリアル多大な恩があって頭が上がらない。アンネの起こすトラブルが留学を反故にしてくれないかフィリアルは期待していたりするが、アンネは怪しい噂に怖じ気づいて学園に入っていない。
「ヴィルミア」
ノエイン・レオの部下。交易所エリル支店の副支店長を務める。
レオが戦場で偶然出会い、部隊に勧誘したとされる。セルバウルの北にある氷河の出身らしいが詳細は不明となっている。能力は非常に高く、レオからは全幅の信頼を寄せられて斥候や伝令役を勤めていた。よくノエイン家に入り浸っており、エリルにとっては兄のレオより身近な存在となっている。もしもの時は学園からエリルを救出するための作戦指揮を任されている。
「チーチル」
ノエイン・レオの部下。交易所エリル支店の職員を務める。
年齢は不詳、背が小さく幼い見た目をしている。魔力を保持するが魔術を行使することが出来ず、魔術国家では奴隷として非人道的な扱いを受けていたらしい。レオによって救出され、本人の希望もあって部隊に加わった。人前にほとんど姿を現さないため、交易所の関係者でも彼女の存在を知る人間は少ない。奴隷だった時のトラウマにより殆どの食事を受け付けず、レオが考案した非常に不味い軍用携帯食を主食としている。
「グレイス」
ノエイン・レオの部下。遊撃部隊の偵察兵を勤める。
立ち回りが上手く何かと重宝される。一応、レオの指示には従っているが、仕事はサボりがちで厄介事からは即座に身を隠している。セルバウルの出身だが国から逃げ出すようにレオの遊撃部隊へ所属した。女難の相がある。
~~国家・地域紹介~~
「セルバウル王国」
大陸の北西、海岸沿いに位置する国。魔術師に追われて逃げ延びた人々が建国したとされ、大陸においては珍しく魔術の使えない人が治めている。険しい山と凍土に囲まれ、魔力が希薄なことから魔術師からは不毛な土地と考えられているが、山々から流れる大量の雪解け水のお陰で広大な穀倉地帯を持っている。周辺の魔術国家に幾度となく攻撃されるが、魔力が希薄で魔術が使用困難となる環境に助けられ国土を維持している。エリルが生まれた頃にも大規模な侵攻を受けたが、ノエイン・レオの活躍により撃破した。その勢いのまま攻勢に転じ、周辺の魔術国と12年間に及ぶ大戦争を繰り広げた。多くの魔術国を制圧するに至ってゴルグレーの率いる同盟軍が参戦するが、早々に和解してゴルグレーの同盟傘下に加わった。国内では今も魔術師への不信が根強くあり、同盟への加入を批判する者も多い。
「ゴルグレー魔術王国」
大陸中央に位置する最も古く大きな魔術国家。
結界石と呼ばれる5つの魔石を利用した巨大な魔方陣に守られ、難攻不落の魔術国家と呼ばれている。大陸にあるほとんどの魔術国家を同盟傘下に収めている。しかし、対人戦における魔術が優れているわけでないため、同盟国でも反感を持つ国は多い。セルバウルが同盟に加わる際に追加された奴隷解放令は、その問題を深刻化させている。今のところ領土内は平和であるが、平和であるが故の軽はずみな行動や汚職が数多くみられる。その他、長く続く平和により芸術や娯楽文化が発達している。
「フィクサス共和国」
セルバウルに隣接する魔術国家。セルバウルとの戦争が始まった際に、反乱を起こして本国から独立した都市群で形成されている。魔術師の国ではあるもののセルバウルとの関係は良好である。反乱の際にセルバウルと密約があったと噂されている。
「エイレーン魔法国」
ゴルグレーの北に位置する魔術国家。ゴルグレーの次ぎに歴史があり、広い領土を持つ。優れた魔術師が多く、同盟国としてゴルグレーの代わりに戦い、数多くの国を滅ぼしている。ゴルグレーとの関係は長く、両王家の間には血縁関係もある。周囲には同盟に反意を示した魔術国が多数あり、紛争が絶えない。
「ドラグノーツ学園都市」
ゴルグレーにある地方大都市の一つ。地脈の上にあり、国防のための結界石が置かれる要所でもある。豊富なマナの影響で周辺は強い魔物が多く、近隣の山にはドラゴンが生息していると言われている。都市の半分を学校及びその関連施設が占める。
「ドラグノーツカレッジ」
学園都市にある国内最大の大学。小・中・高等部もある。狭き門ではあるが他国の留学生も数多く在学している。ヴァン・ゼードル理事長の方針が問題視されることも多いが、講義の質は高く大学としての評判は良い。学内には理事長が作製した鎧やガーゴイル像、人形が無数に配置されている。これらは非常時に動きだして学園の防衛を行う・・・設計であるが、恐ろしい外見をしている上に暴走や魔物化して人に襲いかかる事件も多発したため、撤去を求める声が出ている。
「深き森」
大陸南部に位置する大森林の深部。凶悪な魔物や魔獣が跋扈していて、この森に入って帰ってきた人間はいないとされる。地脈に流れる魔力の供給源と考えられ、神が眠っていると言われている。森の規律を守るエルフの国があるらしい。森の周辺では大量に流れる魔力の恩恵で強力な魔術を扱えるようになるため、起死回生を狙った魔術師の新興国家がよく作られる。しかし、多発する魔物の襲撃や紛争により国が亡びるのも早い。