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18話 契約

 人気を避けて駆け出した僕は学園裏の森に入っていた。

 日も暮れ辺りは薄暗く、

「あっ」

 暗がりに足を取られて倒れ伏す。

「うう・・・」


 近くにあった岩に拳を叩きつける。

「どうして! ここまで来たのにどうして!!」

 あの力があったから疎まれていたのに

「今更? 散々期待させておいて、僕の体は、僕の力は!!」


 叩きつける拳が赤く染まる。

「うわぁああああああああああああ」

 倒れて擦りむいた体や岩に叩きつけた拳以上に

 心が張り裂けそうなほど痛い。


 頼りにしていた兄上を思うほど、僕の心は僕を責め苛む。

 神が僕を見放したなら、たとえ悪魔でも構わない

「・・・誰か、誰か助けて!」


「その救済を求める声、確かに聞き届けた」

 突然の声に岩を見上げると・・・彼女が立っていた。


 これまで闇に隠されて見ることができなかった彼女の姿は、

 白髪に赤眼、チーチルと似た褐色の肌をしていた。


「我は神秘の体現者なり、我が手を取り我が望みのためその身を捧げるなら・・・汝を救おう」

彼女を中心に魔法陣が広がり、差しのべられた手が赤く光る。

 幼い容姿に怪しい笑みを浮かべるその姿は、正に悪魔の誘いそのものであった。


 禁忌に触れる。そんな言葉を思いだし僅かに戸惑うも、僕には迷う余地などないことを思い出す。

「僕は、僕はこんなところで立ち止まるわけにはいかないんだ!」

 彼女の手を掴むと闇が辺りを包み込んだ。


「我、リグルス・メサは宣言する。今ここに契約は成立した! 汝は我が宿願のためにその身をささげ、命尽き果てる時まで我は力を貸そう。今この時から我が下僕として汝を迎えよう!」


 彼女、メサの宣言と共に闇が掻き消える。

 握った手には怪しげな呪文が刻みつけられていた。

(あーやっちゃったっぽい、コレ兄上達には絶対に見せられない奴だ・・・)


「ハッ、コイツさっそくビビッテンゾ」

 突然、聞きなれない声に鼻で笑われた。

「ビビッてるわけじゃ!!って・・・」

 言い返そうと見上げるも彼女―――メサしかいない。


「ココダ、ココ」

 そう言うとメサの魔法帽が伸び縮する。

 帽子が喋ってる??


 アマリア学長の件もあるし、

 驚くことのほどでもないのかもしれないが、

 ゴルグレーの作る魔造人格はかなり進んでいるみたいだ・・・


「ナンダ、オレニ興味ガアルノカ?」

「ハット、うるさいぞ」

 メサが釘を刺す。


「さて、体の調子はどうだ?」

 促されて気が付いた、体の痛みが無くなっている。


「怪我が治ってる?」

「そっちではない、魔力の方だ」

「えっ、あ!・・・うん」

 手に力を込めると淡く光りはじめた。


「力が戻ってる!」

「良好みたいだな」

 寧ろこれまでより力があふれてくるようにすら感じる。


 好奇心に負け、僕は近くの岩に向けて魔術を編む。

「コンセントレーション、コンプレックス」

 折角の機会だし勉強の成果を加えてみる。

「折角だ、少し補助してやろう」

 メサが呪文を唱えると僕の魔力がさらに増した。


 いつも通りに少しアレンジを加える。

「フォーリピート、クオーターマジック」

「なんじゃと!!!!!!! やめーーーうぶっ」「ヒャッハー、ヤリヤガッタゾ」

 背後でメサの叫びが聞こえた気がするが・・・構わず僕は魔術を発動した。


「轟け、サンダーボルト!!!!!!」


 辺りが光に包まれる。

「でき・・・た?????」

 雷撃を放ったはずだったが、そこには輝く球体が浮かんでいた。

 的にした岩は蒸発してしまったみたいだ。


 球体は僕の視線に従って流れるように宙を舞う。


 膝をついていたメサが立ち上がる。

「早くアレを消せ! 試し打ちに我が魔力を1/4も使うとか何を考えている! 愚か者め!」

「ナニモ考エテネーサ、ヤラカシタナ」


 背後からさんざんに言われる。

 どうやって消したらいいか聞きたかったが、僕の向く方に球体が移動するせいで振り向くわけにもいかない。


 この球体は随分と温度が高いみたいだ、多少地面に押し付けても地面が融けるばかりで消えそうにない。・・・よし、水に沈めて消そう!

 僕は少し勢いをつけて球体を近くにあった大きな沼の底に沈めた。


「ぬぁあああーーーー」「コイツハヤベーゾ!!」

 叫ぶが早いか、メサが僕を押し倒した。


「大地よ呼び声に応えたまえ! マァィア! ストーンウォール!」

 メサの魔術で泥沼に体が沈み、石壁が僕らに覆い被さった。


「ダメダ、ミミヲフサゲ」「我らが身を守りたまえ、プロテ――」

 ハットとメサの声が重なる。


 直後、轟音が全ての音をかき消した。

18話にしてようやくメインヒロイン?登場。


沼は水蒸気爆発で消し飛びました。

もう少し情緒のある出会いを予定してたのにどうしてこうなった・・・・


ここまでの話を見直すとアラがひどいのでちょいちょい修正してる。。。

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