天才魔術師の召喚獣
「調子に乗ってんじゃねぞ。たかが科学者の分際で」
「お前の知能はゴブリン並みか?こいつに危害を加えると、俺にダメージが来る。さっきの話聞いてたか?」
「たかが一研究者。どうなろうと関係ない」
「俺に何かあったら、国が黙ってないぞ。この国での重要性、あんたと俺どっちのほうが高いと思う?」
まぁ、俺が死んだら俺の研究が全部奪われて、あいつのもとに行くだけだろうがな
「今の君より、魔導兵のほうがよっぽど働いてくれる」
「ふん、ちょっと表彰されたからって調子に乗るなよ?魔導兵より俺のほうが強いに決まってる」
あ、そういえば、昨日作った《疾走》の魔導兵のテスト試験まだだったな
無料でできるとはついてるな俺
「じゃあ、魔導兵と戦ってもらおう」
「いいぜ。受けてたとう」
*
自由時間に千代に魔導兵を家から持ってこさせ、体育館へと向かう
今日は、召喚獣との親睦会という感じで解散になったため。
学校はすでに終わっている
「実験開始だ」
「こんな、ヒョロヒョロな装甲の魔導兵でもいいのか?」
煽ってくるゴブリンを無視する
「いでよ。ベビーファイアドラゴン」
ドラゴンか。ドラゴン型の魔導兵とか面白そうだな
あっ違う違う、さっきこいつが召喚した獣か
俺は、観客席で仁王立ちをしている
「おにいちゃん」
「俺は、お前の兄貴じゃないぞー。主だ」
「あるじ!」
何このかわいい生き物
あっ違う違う、もうすぐ始まるな
「両者、配置についたな。始め!」
始まりの合図とともに俺は叫ぶ
「魔導兵!行け!」
「ブオォバァー(了解)」
魔導兵は、剣を持ち、駆け出す
「速い。ベビードラゴン。あわてるな、魔力が尽きるのを待つぞ」
「バァウ」
脳内ゴブリンは、見える限りの攻撃を躱す
「丸ごと、焼き尽くせ。ベビードラゴン」
「バァウ」
あたり一面に炎が広がるが、魔導兵のスピードは止まらない
「くそ、どんだけ魔力持ってんだよ。でももう、ばててくるころだろうよ」
脳内ゴブリンは、大振りを撃ち、決まったように見えたが
だがそれは、残像だった
魔導兵は脳内ゴブリンの後ろに立ち、剣を脳内ゴブリンに当てていた
「しょ、勝者。魔導兵」
「魔力に限りがあるって考えちまったのが、間違いだったな」
以下読み飛ばし可能
魔力の再生スピードは人によって異なる、一説では魔力の少ないものほど再生スピードが速くなるらしい
おそらく、体の魔力限界値の勘違いのせいだと言われている
そして、この魔導兵は千秋が込めた分だけの魔力しか所有しないから、魔力の再生を速く設定できるようになった。《疾走》は持続で魔力を失う系のものなので、失う魔力より再生する魔力が速くなると
つまり、魔導兵がずっと《疾走》で走り続けていられるようになるのだ!!
説明終了
「あるじ!かっこいい!まどうへー?かっこいい!」
「そうかそうか」
かわいいな
頭を撫でてあげてしまう
研究対象とすると、国からは莫大な予算も飛び込んでくるし、手を出すやつもいない
鬼の力って偉大だなー
「あるじは、りりのことこわくない?」
「なんでだ?最高じゃないか」
「・・・りり、うれしい!」
不純を知らない笑顔でりりは笑う
「こんにちは。西園寺 空良」
「げッ、石川・・・」
りりが石川に指をさす
「だーれー?」
「うーん、危ない人だよ?」
「こないでー」
「うちの子が怖がってるので来ないでくれませんかね。」
石川の眉毛がピクリと動き、怒っていることを悟らせないようにぎこちなく笑う
「君は、鬼が自分の子というのかね。まぁ、鬼同士仲が良くて結構。その子を渡してもらえますかな?」
「やー」
「嫌だそうだぞ?それにうちの研究室が、この子を預かると言ったつもりだったが理解できなかったか?」
りりを自分の後ろへ隠し、石川にたてつく
「研究室?あなたともう一人、たしか・・・桐崎 茜さんだったかな?その二人しかいないだろうに」
「誰だそいつ?」
「ああ、国から派遣されるはずだ」
初耳だぞ
「二人のみでどう研究ができる」
「魔導兵の完成は何人でやったと思う?」
「ぐっ」
「わかったら、失せろ」
言い負かされたぐらいで、地面に、はいつくばっている
それを無視して、体育館の外へと向かう
「あるじは、りりにひどいことする?」
「しないぞ。能力とか調べるだけだからな。」
「うん」
索敵魔法に一人引っかかった
「主様?誰ですか?その子は。まさか、主様は幼女趣味?」
「そんなわけないだろう。」
「あるじ、このひと、こわいひと?」
りりが少し震えている
「怖がってるだろう。慎め」
「幼女を従わせて、命令を・・・」
「おい、その言い方なんかまずいからやめろ」
千代って、俺のこと全く信用してないことが
いや、よそう
「この子は、召喚獣でな」
「信じられません!」
「ねーね」
「はい、ねーねですよー。」
こいつ!怒りで何も見えなくなる千代を一瞬で黙らせやがった
よし、りりをうちの家宝にしよう
「あるじは、めいれいしない。やさしいよ。おこっちゃ。めっ」
「むぅ、わかりました。ひどいことをしてないなら許しましょう。」
危ねぇ。また理不尽に怒られるとこだった
アイスでも買ってやろう
正式に超有能召喚獣を手に入れたことだし
「帰るか」
「妻のこと、忘れてませんか?旦那様?」
「春姫・・・」
・・・忘れてたというより
会う約束とかしてなかった気がするが
「その幼女はなんです?まぁ、旦那様の中で私が一番であれば、愛人であろうと何だろうと、幼女であろうと許します。つ、妻ですから」
春姫ちょっと動揺が見られる
「普通はそれ、浮気っていうんだぞ?じゃなくて、幼女趣味でも愛人がいるわけでもないからな。というかお前は妻じゃないだろう」
「ひどい。私を捨てるのですね」
「結婚した覚えもないがな」
シクシクと泣く春姫にりりが近づき、裾を引っ張る
「げんき、だして。あるじのおくさん。わらったほうがたのしいよ」
りりー!
事態を収めてくれたのはうれしいけど
奥さんじゃないぞー!
と言えるわけでもなく
そのまま
りりの連れて、家に帰った