天才魔術師の召喚術
田沼の謹慎が解除されるまであと6日
石川の目はあるが動くなら今だな
スパイとか罠とか探さなきゃいけないな
「面倒臭-----」
「ここは学校です。家じゃないんですよ。主様」
「すまん」
これ奴隷でも買ったほうが早いんじゃないか?
「なぁ、千代。昨日、研究室に侵入者は入ってきたか?」
「氷漬けにしました」
「入ってきたのか。ここ最近なかったのにな。おそらく、田沼か石川の仕業か表彰式を見た研究者たちの仕業だろう。まぁ、問題はない。見られて困るようなのはないしな」
俺の索敵魔法で、急接近してくる者がいた
千代に目配りで合図すると千代が刀を構える
学校内でもお構いなしってか?
向かってきた女子生徒が揺らめき消える
「なっ」
千代が驚いたのは消えたことではない
俺に抱き着いていたことだ
「久しぶり。空良」
「お前、春姫か!俺が追放されて以来だな」
あの時といろいろ変わったところがある
昔はこんな胸の感触はなかった
「あ、その銀髪。分家の・・・主様の婚約者」
「千代ちゃんも久しぶり」
「その、離してくれないか?」
まずい、痛い。背骨が折れる
春姫力強すぎ、さっきから千代がなにやら怖い
「無事でよかった。本当に。なんで私に教えてくれなかったの。」
「それはすまなかった。教えれば、春姫が危険を晒すことになる。」
すると、抱きしめる力が弱まり春姫が顔を上げる
その顔は、すげぇ、美人になってる
「表彰式見たとき、どれだけ私がびっくりしたかわかってる?」
「すまん」
春姫は、スカートを軽く持ち上げお辞儀する
「おほん。お久しぶりですね。旦那様。私は、今はこの学校の生徒会長を務めさせていただいている西堂 春姫です。覚えてくれていたら幸いです」
今の出来事なかったことにしやがったぞ
生徒会長?
「それで、旦那様?・・・従者と愛人のような関係と聞いたのですが本当ですか?」
「はい」
「違うだろ!千代。そのようなことはない」
千代が、即答でうそをつきやがった
面倒なことはこれ以上ごめんだ
「そうですか。私の夫ですからね」
「は、春姫様は、もう婚約者ではありませんよ?主様がなくなったという報告を聞いて婚約をなかったことにしたのは西堂家ではありませんか」
「私がしたことじゃないし、私は身も心も主様に捧げておりますゆえ」
そういえば生徒会長って言ってたか
「春姫、俺と同じ時期に編入してきたやつはいるか?」
「え?あ、千代さん以外はいませんよ」
「そうか」
石川直属の部下は生徒にはいないということか
今は、生徒に敵はいないと考えられる
金とか積まれない限り
もともと、俺のこと死んでると思ってたらしいからな
敵はあまり作りたくない
「それより、さっきからロッカーの中にいるお前の従者は何してんだ?」
春姫がロッカーの方へ歩き、バッとロッカーを開くと
そこには、隻眼の女性がいた
「何をやっているの?栗崎」
「お嬢様の護衛です。あ、お久しぶりです西園寺様。チっ」
こいつ舌打ちしやがった
「相変わらずだな。一緒に遊んだこととかあるじゃないか」
「はい、忘れません。昔、かくれんぼをした時、お嬢様が貴様殿と遊ぶことに夢中で、忘れられたことそれが原因で一晩森の中で過ごしたことを」
うわ、何その話、初耳
「うわぁー最低」
非難の声があったと思えば、その声は千秋のものであった
「いや。その・・」
「とにかく、もうすぐ授業だから、これ連れてくね」
「あ、おい。ちょっと。あっ春姫、またな」
千代と春姫をその場において教室に戻る
席に着くと、生徒に囲まれる
「すごいね、あの田沼君に勝っちゃうんだから」
「でもほとんどの生徒が田沼君にやられたから、たまたまじゃない?」
「そうかもな、じゃなきゃあの田沼に勝てるわけがない」
「でも、勝ったことには変わらないから、すごいね」
いやぁ、君たちのやり取りを俺の前でする必要ある?
ちょっと俺に失礼じゃない?
これでも、昔は田沼と互角だったんだけど
敵が多い中、それ以上敵を作るわけにもいけないので口には出さない
「はーいみんな、席についてー」
猫耳先生のお出ましか
「今日は、魔術についての授業でーす。拍手ー」
ぱちぱちと音が鳴り響く
「えーと、今日の魔術はみんなの将来も決まるかもしれない召喚術でーす。後日、召喚獣同士の決闘試合もあるから気を付けてねー」
召喚術か。
専門外ではあるが、興味は持ったことはある
一度やってみたが、なんか悪魔召喚しちゃったことがあったな
隷属魔法が苦手で、逆らい始めたから危険だし倒しちゃったけど
それで面倒になって辞めた気がするわ
黒板にすらすらと、魔方陣を先生が書いていく
「召喚獣は主人と一心同体だよ。召喚獣が傷つくとその主にもダメージが入る。召喚獣との仲が悪くなったら永久にその召喚獣を封印しなきゃいけなくなる。」
え、俺の体大丈夫かな?
壊れてない?あの悪魔ってそもそも召喚獣じゃなかったよな
悪魔倒しちゃったけど、ダメージは入った覚えない
「まぁ、気を付ければだいたい大丈夫だし。さて、みんなーこの魔方陣を自分の血で紙に書いてみてー」
猫耳教師が黒板に魔方陣をかき終わる
でも、この魔方陣、不完全だな
魔力の入れる回路があやふやだ
これじゃあ、呼び出せたとしてもゴブリンくらいだぞ
これを、改良してっと
よし、やってみるか
魔力を流すと魔方陣が光りだし、爆発した
「失敗か?どこを間違えた?」
しかし、紙の上には青い髪の目が死んでいる首輪をつけた幼女がいた
「この魔力、人間だよな。なんで、召喚魔法で人間が・・・いや、お前鬼か?小さいが角がある」
「あなただれ?このくびわなに?」
首を傾げこちらを見てくる
「ちょっと、研究者君。どこをどうすれば、こうなるの。こんな上位な魔物」
猫耳教師が近寄ってくる
「俺が知りたい、ただの召喚魔法で鬼が生み出されるなんて」
クラスがざわめきだす
「鬼?あのSS級の危険度の?」
「弱そうじゃね?」
「危険になる前に倒したほうがいいんじゃね?」
青い瞳がクラスのみんなを見渡す
「おいどけ、こいつ倒せば。ランキング入り間違いなしだぜ」
ランキング?
そんなことはどうでもいい。召喚獣のダメージは、主のダメージにもなる
封印するか
あー、隷属魔法とかマジで苦手なんだがやるしかないか
「おにいちゃん?」
くそ、それは卑怯だろ
俺は、お前の兄貴じゃない。
俺の妹は一人だけだ
「はぁ」
俺は、鬼いちゃんってか?おい
誤字じゃないからな
クラスメイトの前に立つ
「こいつは、いい実験の資料になる。危害を加えることは許さない。」
前に出てきた生徒に言い放つ
「・・・ちっ。ちょっと研究を認められただけでいい気になるなよ」
敵が多い中できるだけ敵を作らないつもりだったけど、見ず知らずの幼女のために敵に回してしまうとは阿保だな。俺は