天才魔術師の模擬戦
学校の校森にて
「お前らデュオの準備はいいか?」
猫耳変人教師がトラ耳変人教師になっている
この違い気づいてるの俺だけか?
それともなれただけか?
「はい!まず、デュオ相手に挨拶しろ」
ぞろぞろと皆が動いていく中、俺は飾りを変えただけで教師の性格が変わってしまい
驚きを隠せないでいた
「ねぇあんた」
「あ、爆睡娘」
「その呼び方不愉快だからやめてくれない?」
友達には、あだ名で呼ぶことがあるらしいが早すぎたか?
「すまない」
「で?あんたは戦えるの?」
「俺は運動音痴だ」
「うわぁ、使えな。最悪だわ」
ひどいなこの子
「とりあえず、私についてくることに集中して」
「まぁ、わかった」
そして、全員がデュオとの接触が済んだところで猫耳教師改めトラ耳教師が大きくジャンプし叫ぶ
「お前ら、ルールは簡単、最後まで立っていたペアが勝利。模擬戦の開始だぁー!!」
説明が雑!!
禁止行為とかないのかよ
「ついてきて」
といって、爆睡娘が走り出す
その背中を俺は走りながら見失った
単純に俺のスピードが爆睡娘のスピードの半分くらいしかないからだ
体力ももう限界
すると、爆睡娘が走って戻ってくる
「足遅ッ」
「すまない、研究漬けで走ることはおろか、徹夜も何度もしてたからな。体力が死ぬほどない。もうしんどい。」
俺がぜぇぜぇ言いながらばてるのを目にしながら、爆睡娘は頭をぽりぽりとかく
「使えなぁー。ここまでは初めてだわ。これからこれとデュオ組まなきゃいけないのぉ?」
俺だって好きでやってるわけじゃないと言おうとしたが限界に到達していたので言えなかった
「仕方ないな」
俺は、爆睡娘に担がれてしまう
「吐いたら承知しないから」
爆睡娘が全速力を出してきた
揺れで吐き気を催すが、風の心地よさが半端ない
機動性特化の魔導兵を作ってみようとも考えるほどの爽快感がある
「おい、爆睡娘。お前の魔力は《勇敢》だな?何の魔法が使える?」
「え?《身体強化》《怪力》《疾走》の三つだけ」
「なるほど、それでこの機動力か」
3つだけとかいうけど《勇敢》にしては、使える魔法が多いと思う
《勇敢》はその魔力があるだけで力が増す。その代わりに、魔法を放つとどんどん身体能力が下がるというあまりスペック的には推奨できない分、前衛向きだ
俺の《絶望》は、その魔力を使うと魔法の威力が増す。しかし、身体に補正はされないため魔力量が低いとただの一般人になる。後衛向きだな
魔法のレパートリーも幅広い
「相性はいいな。とりあえず、魔法で索敵は済んだ。ここ右に曲がると敵がいる」
「了解。あんた意外と使えるわね」
右に曲がり、爆睡娘が俺を投げ、二丁拳銃を取り出し構えるがそこには誰もいなかった
「前言撤回、最悪」
「俺特製の索敵魔法だ間違えるはずがない。気を抜くな」
「あーあ、やってらんない」
二丁拳銃をしまった
その時、爆睡娘の後ろに二つのナイフを持った生徒が現れ爆睡娘を切りつける
「しまっ」
「《ファイアメイデン》」
すぐに術式を発動させ、切りつける直前で炎でできたアイアンメイデンで捕らえる
「まさか、殺してないわよね。見たことない魔法だけど」
ファイアメイデンを見上げつつ、呟く
「安心しろ。中の棘は抜くように術式を構成した。ちょっと熱いだけだ」
「ならいいけど。あの・・ありが」
「もう一人いる。集中するぞ。ん?なんか言おうとしたか?」
「何でもない。見つけた。《疾走》」
見つけたと呟いたと思ったら、姿が消えた
「どこいった?」
爆睡娘は、紐でぐるぐる巻きにした生徒を抱え、シュンと忍者のように戻ってきた
「お、おかえり」
「ふん」
俺を持ち上げる
「あとは、どこにいる?」
「あと4組だな。だいぶ減ってる。ってか減りすぎだな」
「たぶん、田沼の仕業ね。あれは化け物よ」
田沼か。同じクラスだったんだな
石川の野郎
どんどん敵の数が減っていき
遂に、俺達と田沼達だけになった
「あと、俺たちと田沼だけになった。次、左だ。田沼のデュオはおそらく狙撃手だ。位置が遠すぎる。狙撃手は俺が何とかする。左曲がったら下ろせ」
「了解」
俺は、またも投げ飛ばされ、《千里眼》を使い
狙撃手を確認する
金髪の女の子だ。
俺は狙撃手に向かって指をさし、狙いを定めると
自分に向かって急接近してくる者をを感知したため、中断
田沼だ
おかしな仮面をかぶり、マントを羽織っている
「ひさしぶっ」
挨拶をすると腹にけりを入れられた
「いきなりな挨拶だな」
爆睡娘が田沼を追って、やってくると綺麗に狙撃手に撃たれてしまい。
「ごめん、逃げられた・・・」
どさりと倒れる
おそらく、麻酔弾だ
「くそッ」
狙撃がいつも俺を狙い、撃ってくる
俺に向かっては実弾を撃ってきた
それを避けつつ、田沼の攻撃も避ける
「おい、まじかよ。模擬戦の不慮の事故ってことで殺しに来てんだろ。これ」
「よくわかったな」
田沼が初めて発言する
「禁忌を犯したお前にもう一度罰を与える」
「犯した覚えわないがな。・・・はぁ、実験開始だ」
「実験?」
田沼の剣を避けるも、狙撃の影響で思うように動けない
「ほざけ。《ソウルブレイク》」
かすっただけでも肉体が消滅するとんでも魔法
むかし、俺が田沼と完成させて危険すぎるから封印した魔法
副作用として、魔法を使った直後の30秒動けなくなる
ソウルブレイクという名の黒い波動砲を撃ってきた
それを躱して、これを機に逆転しよう駆け出すと狙撃者に行動を読まれ、足を狙撃されてしまった
そして、それを仁王立ちして見た田沼が、手で狙撃手に撤退の合図を出した
もう俺を確実に殺せると思ってやがる
「いやぁー調子に乗りました。助けてください。ってか、俺は禁忌なんて犯してないって言ったろ田沼。俺は無実だ」
「黙れ、お前は信用できない。お前のせいで俺の家族は死んだんだ。お前の身勝手でな」
「あれは、石川が」
「もういい。しゃべるな。お前の寿命はあと25秒だ。安心しろ元親友として俺が殺してやる。禁忌を犯したことを悔いながら余生を過ごッ」
田沼が油断したその時
田沼の首に麻酔弾が撃ち込まれる
「なぜ、起きている貴様」
爆睡娘が田沼の後ろに仁王立ちしていた
「お前、俺の性格知ってるだろ?俺が誰よりも臆病者だってこと。あらかじめ、爆睡娘に魔法障壁張ってたんだよ。それぐらいわかれ。元親友」
「ばかな・・・」
田沼は深い眠りに落ちていった
「もうちょっと早く倒してほしかったなぁ」
俺は、爆睡娘に嫌みを言うが、返事がない
爆睡娘は無言を通す
「後は、狙撃手だが。いなくなっちまったな」
敵センサーの反応がない
「禁忌ってなに?」
ようやく、爆睡娘の口が開いた
「・・・俺が神になろうとしているって石川のクソ野郎にでっち上げられて追放された俺の悲しーい過去でも聞く?」
「・・・いいよ。聞かなくて。自分の顔でも見てからそういう調子乗ってる口調にしなよ」
ちょっと俺は今の発言で傷ついたぞ?
そんなにひどい顔してたか?俺
まぁいいか
とりあえず、ここの学校は敵ばかりって思ってたほうがいいな
「あとさ、ありがとね」
「・・・お、おう。あーいやー礼には及ばんぞ爆睡娘。デュオだからな」
「その爆睡娘ってやめて。これから、一年間ずっとデュオなんだから」
え?
「私の名前は、篠崎 千秋。千秋さんでいいよ」
「さん付けかよ。っていやいや、デュオってこれずっとなの?」
「そう。知らなかったの?」
爆睡・・千秋がふてぶてしく答える
「なに、嫌なの?」
「いや、びっくりしただけだ。命の恩人が嫌なわけないだろ」
「そう」
まぁ、俺、よく助かったな