魂を持った機械の彼女
お久しぶりです
ガラクタの山を少女は見つめる
彼女は、表情一つ変えずガラクタの山に寄っかかる
ガラクタの尖った角部分が彼女の背中を刺してもビクリともしない
彼女は、夜空を見上げ、月に手を向け口を開く
「マスター・・・」
その一言は、冷たくあたりに響く
すると、数人の足音が少女のもとへと寄ってくる
「見つけた。遂に追い詰めた。あんな紛い物のましてやクソガキがたまたま作った魔導兵とは比べ物にならない。オートマシン!!!これで、俺もあの表彰台に立てる。」
最初に寄ってきた白衣を着る男が手を大きく広げ、笑っている
「邪魔だ!!」
「おっと、すまないねぇ。後で分解するがあまり傷つけないでくれ。報酬は弾ませてもらうぞ」
白衣を着る男の後ろから来た戦闘服を着た数人の男たちが、少女を取り囲み銃を向ける
射線が少女を取り囲み
銃弾を避けられないことを少女は悟る
「嬢ちゃん。手を上げな。ガキをいたぶる趣味も追い回す趣味もないが金のためだ。すまない」
少女は、手を上げ、謝る男を見つめる
「謝らなくていい。」
戦闘員は、パラパラと何かが降ってくることに気がついた
今まであったはずのガラクタの山がなくなっていることにようやく気がつく
「お前ら逃げろ!!」
戦闘員たちが上を見上げると、ガラクタが空を舞っていた
「この体は渡さない。愛するマスターのために」
感情のないはずのオートマシンは涙を1滴流す
「オートマシンが泣いた?感情を実現させたのか?実に素晴らしい。早く分解して仕組みが知りたい」
「そこのキモいの!!早く逃げるぞ!!死にてぇのか!!」
「待ってくれもう少し」
少女は、一人も残さず逃げたことを確認すると手を振り落とす
「マスター。・・・私を一人にしないで」




