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幕
俺に、付き人が付くことになった
父に言われるとおりに、無駄に広い庭で待つ
「この子が千代だ」
可愛らしい顔をした女の子がきれいなお辞儀をしている
その横に立っていた父が、その子の背中に手を置き、僕に紹介してきた
「潰さないように使え」
そういわれて渡された
正直、死ぬほどいらなかった
まず、使い道がない
「父さん、いらない」
「厳選された個体だぞ?」
厳選?
ああ、またあの趣味の悪い蟲毒の魔術を使ったのか
これでいらないと言ったら、この子は殺される
必要ないから・・・・
本当に頭がおかしいな
「ありがたく使わせてもらうよ」
俺は、千代の手を取り父から遠ざけようと歩き始めるが
その子はピクリとも動かず
ぼそりと何かを言った
しかし、俺にははっきりと聞こえた
「殺してください・・・」
それが千代が初めて俺に言った言葉だった




