天才魔術師の異常者
「で?なぜお前がここにいる」
「昔みたいに美多ちゃんって呼んでくれないかしら」
「やめろ。虫唾が走る」
さっき近づくなと言ったばかりのはずなのにビッチがくっつこうとしてくる
「俺が追放されている間、どれだけ暇だった・・・大変だったかわかってるのか?!」
「欲望に忠実なところも魅力的ね。性欲の方はどうかしら」
「お前のそういうビッチさ本当に反吐が出る」
「あるじにちかづかないで」
ビッチを近づけさせまいと頭を鷲掴み、離れさせる
「あ、あの、主様?」
「ん?なんだ?」
「私の知っている美多さんと全然違うのですが・・・」
そうこいつは普段は、清楚ぶっていてまじめで、魔術オタクだった俺にも話しかけてきて優しくしてきた
友達とか思ってた昔の自分をぶん殴りたい
タイムマシンでも作って本当にぶん殴りに行くか?
「空良、あなたに相談があるんだけれども」
「奴隷の類は絶対に嫌だぞ。その他なら魔術の封印を解けば考えてやらないこともない」
「じゃあ、一時的な魔法の開放でどうかしら?」
一時的な開放ね
まぁ、使えないことには変わりない
まず、メリットがない
「嫌だ。聞く気すら失せた」
ありえない
「私が、あなたの奴隷になってあげるわ」
「よし乗った」
「ちょっと主様?!」
こいつをいじめにいじめ抜いて、俺の魔術を封印したことを後悔させてやろう
「そ、即答されるとちょっと興奮するわね」
「SからMにチェンジしたか?なんか嫌だから、やめとく」
「わかったわ。仕方ないわね。一部の魔法の開放でどう?」
「再封印はないやつか?」
「当り前よ。じゃなきゃ協力してくれないじゃない」
なら、いいか。
でも、よっぽど大変なことだろう
「とりあえず、話を聞こう」
ビッチが腕を組み歩きながら、口を開く
「この国に異常者が出現したわ」
「お前のことか?」
「違うわよ。アンチマジックのことよ」
アンチマジック
本で読んだことがある
あらゆる魔法の攻撃を無効化する。不干渉、異端、異常者ともいわれている
その代わり、自分も魔法が使えない
「国からの命令か。だが、大した脅威じゃないだろう」
「そうでもないのよ。今回の異端者は、魔法が使えるのよ」
一方的に魔術でぶん殴れるというわけか
確かに厄介だな
「それでも、軍が銃撃戦にでも持ち込めばいいじゃないか。」
「犠牲がどれだけ出ると思ってるのよ」
「それで?俺の魔術を封印したのも、国の命令か?」
「そんなわけないでしょう。愛よ。愛」
うわぁ、国の仕業ならまだ納得できたのに
はた迷惑だ
「で?そいつをどうすればいいんだ?」
「魔術を彼に教えなさい」
「は?」
なんで俺が・・・
面倒臭ー。もっと、脅威になるじゃねぇか
「国の考えは、こうよ。あなたが異常者を屈服させ、魔術を教えることで彼の中の『俺の力は、助けるべき女の子のためにある』とかいう痛々しい妄想を吹き飛ばして『国のために、俺の力を使う』に変えてほしいのよ」
えー
俺も、『国のために、俺の力を使う』なんて思ったことねぇよ
「まぁ、とりあえず、魔術を教えてくれればいいんだよな」
「そうよ、そうしたら魔術の封印といてあげるわ」
「まぁ、いいぞ。」
「じゃ、そういうことで、私は石川先生に報告でもしてくるわ」
といって、ビッチが消えてしまった
*
「この子がりりちゃん?可愛いわねぇ」
「かわいい、撫でていい?」
「抱き着いていい?」
「こんな子を殺そうとするやつの頭の中が理解できない」
学校に着き、クラスに入ると昨日の模擬戦でりりの歌を聞いたクラスの女子達が集まってくる
りりのことが可愛いのは当然だが、ひやひやするからやめてほしいなぁ
「撫でていいぞ」
「「「「きゃーー」」」」
「あ、あるじー!」
りり、よかったな。友達ができたみたいで
「西園寺 空良!!お前、子供に首輪をつけて弄んでいると聞いた。りりから離れろ」
誰だこいつ?
ロリコンか?そんな奴にりりをやるつもりはない
「帰れ。」
「そんなわけにもいかない。りりを救うため、君に決闘を申し込む」
手袋を投げつけてきた
「放課後、校庭に来い」
教室から出て行ってしまった
「さっきのあの子・・・異常者じゃない?」
「え?例の魔法が使える?」
クラスメイトの話が耳に入ってしまった
くそっ。行くつもりは微塵もなかったが行かないわけにもいかなくなった
「ドラゴン型魔導兵の実力を見してやろうじゃないか」
とりあえず、千代のクラスに行き、千代に持ってくるように頼んだら
嫌な顔をされつつも、了承してくれる
そして、自分のクラスに戻る途中
猫耳教師に会う
「おっ不良少年」
「ゲッ」
そういえば、昨日早退したんだった勝手に
りりの資料まとめたくて
「理事長室で石川さんが待ってるって言ってたわよ。朝のホームルームもさぼっていいから怒られてきなさい」
うわぁ
「りり、行くぞ」
「こわい?」
「怖くはない。安心しろ、面倒なだけだ」
「うん!」
唯一の癒しはやはり、りりだけだな
理事長室にノックもなしに入ると
半裸の女の子が石川にまたがっていたため、りりの目を瞬時に隠す
「まっくら、なった。ていでん?」
半裸の女の子は服を着ながら、出て行ったので、りりの目を隠す手をどける
「お楽しみのところにノックなしで入ってくるなんてひどいではないか」
「そうよ。だめじゃない」
石川が調子に乗ったところ、後ろからビッチが現れる
「あなたものぞきなんて趣味が悪い」
「安心してください、私は、空良しか興味ないから」
「いい迷惑だ。で、何の用だ石川。くだらないことだったらそこにいるビッチと一緒に焼き尽くすぞ」
すると、突然石川が笑いだした
やばい、吐きそう
嫌いな奴ランキングの1位と2位がここにいる
「面白いねぇ皮肉なもんだ。あなたがもし、この子に騙されていなかったら、あなたが追放したとき、確実に私は殺されていただろう。まぁ、今日は、田沼の復帰を伝えに来させたのさ。あなたのことを襲わせないよう指示しといたから安心しなさい。」
田沼の復帰ね。
デュオ以来か
「どうでもよかったから燃やす」
「待ちなさい。異常者についてだけれども、決闘をすると聞きました。気をつけなさい。身勝手な野心を持ったものほど危ない」
「お前が俺の心配するのか?」
「いえ、あなたが負けると国にとって惨事になりかねないので」
「そうかよ」
りりの頭を撫でてあげ、教室に戻る




